2.「占い」と「カウンセリング」

 「占い」と一緒に「カウンセリング」と表示されているところもある。同じように思っている人がいるけれど、「占い」と「カウンセリング」はまったく違うものなのだ。

 カウンセラーは依頼者の話を聞き、重要なところは「おうむ返し」をして注意を促しながら、本人が気づくように考えさせる。自分をしっかり持ち、客観的に考えることができる人にはいいかもしれない。しかし、何かヒントが欲しい、どうすればいいのか良くなる方法を知りたい、と願う人には物足りないだろう。

 私は数年間カウンセリングを学んだ。その経験から言うと、何度もカウンセリングに通うのは面倒だし、早くすっきりしたいと思ってしまった。たしかに受容と共感、つまり依頼者を受け容れ、気持ちに寄り添うことは大事だが、迷ったり悩んだりしている人には積極的に問題点を指摘して気づかせる。そして早く解決への道を探り、明るい気持ちになってもらう。それが占いの良いところだと思う。

 占いのつもりで相談し、自分が話すだけで何も解決できずに高額の料金を払ったという客の話を聞くと気の毒になる。初めにどんな占術で占うのかと確かめてほしい。

 また、スピリチュアルだ、霊能だという人にも注意が必要だ。私の姉は霊能者と言われる人たちの処へよく出かけていたが、十人のうち本物は一人いるかいないかという状態であまり信用できない。運が悪いのは先祖の因縁だとか、前世の祟りが邪魔をしているのだとか言い、水晶玉を買って清めなさいなどと何かを買わせようとする人は、まず全部インチキと思った方がいい。中にはあなたの後ろに三代前の人が立っていますとか、黒いオーラに包まれていますよ、と言う人もいるそうだが信じてはいけない。

 私はたまに方々の占い処を見学するのだが、呼び止められて、「肩の処に暗い顔の人が見えてますよ」と言われたことがある。おかしくなって、真顔で、「あなたの後ろに黒い影法師がかぶさっていますよ」と言ってみたら、びっくりしたのか、慌てていた。

 駅の近くで、「あなた、いま転換期ですよ」と話しかけられたこともあるが、「人生はいつも変化しいているから毎日が転換期ですよ」と返すと、それっきり黙ってしまった。手相を無料で見ます、と近寄って来る人もいる。いずれも無視して近づかないほうが無難だ。

 占いには国家試験があるわけではないので、信用できるところへ行かないと、かえって迷わされてしまう。しっかりしたビルの中などで、長年の実績と信用がある鑑定所なら、まず安心だが、心配ならば占い師にどのような占術をするのか、少し話をしてから鑑定を頼めばいいと思う。疑問に思うことは遠慮なく訊いた方が納得できるし、何かあれば相談に来る常連客も多い世界なのだ。

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