第15話 猪突猛進の少年

「……お前ら、今すぐ逃げろ」

 カイムは突然、そう告げた。

「か、カイム? 急に何を……」

「何か危険なものが……多分、あの龍だな。3キロくらい先にいるアイツが、こっちに接近してきている。俺は避難を促すから、お前らは逃げろ」

 こっちにって……。


「お、面白くない冗談を言うなよ」

「面白くなきゃ、冗談じゃねえよ」

 カイムは村の方に駆け出した。

 やっぱり……信じたくないけれど、本気で言っているようだ。


「どうします? あの人、行っちゃいましたけれど」

「どうするって……」

 多分、今の僕では到底敵わない相手なのだろう。龍となれば尚のことだ。

 でも、それでも、逃げてしまったら……。


 気付けば僕は、カイムの方に走っていた。

「お前、逃げろって言っただろ!」

「うるさい! 僕の勝手だろ!」

「しゃーねえな……」

「二度と逃げろなんて言うんじゃないぞ!」

 そう言った瞬間。

 カイムが言った、そいつの巨体が目に映る。

 やっぱり、あいつは僕の村を滅ぼした龍……今度はしっかりと見ているからわかる。

 双頭で、悪意に満ちた一つ目の瞳。あれは、間違いなく、究極龍ギデオネルだ。

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