第15話 猪突猛進の少年
「……お前ら、今すぐ逃げろ」
カイムは突然、そう告げた。
「か、カイム? 急に何を……」
「何か危険なものが……多分、あの龍だな。3キロくらい先にいるアイツが、こっちに接近してきている。俺は避難を促すから、お前らは逃げろ」
こっちにって……。
「お、面白くない冗談を言うなよ」
「面白くなきゃ、冗談じゃねえよ」
カイムは村の方に駆け出した。
やっぱり……信じたくないけれど、本気で言っているようだ。
「どうします? あの人、行っちゃいましたけれど」
「どうするって……」
多分、今の僕では到底敵わない相手なのだろう。龍となれば尚のことだ。
でも、それでも、逃げてしまったら……。
気付けば僕は、カイムの方に走っていた。
「お前、逃げろって言っただろ!」
「うるさい! 僕の勝手だろ!」
「しゃーねえな……」
「二度と逃げろなんて言うんじゃないぞ!」
そう言った瞬間。
カイムが言った、そいつの巨体が目に映る。
やっぱり、あいつは僕の村を滅ぼした龍……今度はしっかりと見ているからわかる。
双頭で、悪意に満ちた一つ目の瞳。あれは、間違いなく、究極龍ギデオネルだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます