第7話 嚆矢濫觴の景色
「起きろー、アルトぉー」
カイムに揺すられ、夢から現に引っ張り出される。
ああ、もう朝か。でも、もう少し眠っていたい。
まだ目を閉じて、脱力して、そのまま夢に――。
「ちんこ触るぞ」
その言葉を聞いた瞬間に僕は飛び起きた。
こいつ、真顔でなんてこと言いやがる。
「冗談だよ」
「よくもまあそんな嘘が言えるな! 視線が股間に向いてるぞ!」
「今起きたから冗談だ」
「起きなかったら触ってたんじゃねえか!」
ものすごく怖かった。
他人にちんこ触られるのは不快感と同時に若干の快感があるから余計に気持ち悪くて嫌なんだ。
寝起きでもこの程度の判断はできたことが救いだろうか。
■
森を歩くこと、約2時間。
やっと出口が見えてくる。ここから出るのは初めてだ。
だから、とても嬉しい。気分が高揚している。
「どんな気分だ? 冒険の始まりは」
「少し、複雑だけど……でも、ありがとう」
僕がそう言うと、カイムは笑う。
さて、旅の幕開けだ。
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