第3話 お茶
「俺は勉強が得意だけど心蘭はそんなに得意じゃないだろう。だから、俺が心蘭に教えて心蘭は、俺と友達になる。一石二鳥だろ」
龍輝君は私を見る。
「いいけどさ、そんなに得意じゃないってひどくない?」
私は少し怒る。
「ごめんごめん。でも、心蘭よりは成績、俺の方がいいし」
確かに龍輝君よりはあれだけど…少しひどいでしょ。
「なあ、心蘭この後時間ある?」
龍輝君が言う。
「ごめん。この後頼まれている買い物に行かなきゃだし」
私は申し訳なさそうに言う。
「ならさ、俺も一緒に行っちゃ駄目かな?話したいこともたくさんあるし」
「いいけど」
そして、一緒に行くことにした。
「ねえ、龍輝君ってさ、人生で一度も友達出来たことないの?」
私は気になって言ってみた。
「いたよ。幼稚園の時なら。でも、その子は転校しちゃったんだ」
龍輝君は寂しそうに言う。
「友達作ればいいのに。」
「俺は昔から人見知りだし友達作るの苦手なんだよ」
そんなことを話しているうちにスーパーに着く。
中に入り、かごを持ち、渡された紙を見る。
「玉ねぎ、人参、鶏肉、チョコレート、サツマイモ、カレールー」
私は紙を見た。そうすると、龍輝君が、
「カレーだね。今日の晩ご飯いいなー」
龍輝君は羨ましそうに言う。
「明日の昼だよ。だって、昨日の給食、カレーだったし一日、変えてもらったんだ」
「心蘭ん家って、サツマイモ入れるんだ」
龍輝君が言う。
「龍輝君の家はサツマイモ入れないの?ジャガイモ代わりに入れるんだ。」
「俺ん家はキノコカレーとかシーフードカレーとかかな」
それぞれみんなの家は違うんだなと思った。
具材をかごに入れて会計を済ませ、外に出る
「今度いつ遊ぶ?」
「明日でもいいけど、私の家は無理かも」
それに、他の人の家に行くとワクワクするのだ。
「俺ん家はこの近く。地図書くから」
龍輝君はメモ帳に地図を書く。その地図を渡された。
「じゃあまた明日ね」
私は龍輝君に手を振る。龍輝君は少し照れていた。そして、帰った。
あっという間に龍輝君との約束の日になる。私はカバンに勉強道具や財布、などを入れて、地図を見ながら龍輝君の家に向かう。インターホンを鳴らすとすぐに龍輝君が出てきた。
「2階が俺の部屋」
2階に行き、龍輝君に入る。龍輝君お部屋は綺麗に片付いていて、賞状が飾られていてすごいなど感心した。
「あんまりジロジロ見るなよ恥ずかしいから」
「でもさ、人の家って気になるじゃん」
そう言われたが私は見てしまう。
「勉強しに来てるんだから。そこのちゃぶ台使って。」
私はちゃぶ台の上にカバンを乗せた。
「ほとんどは暗記帳を使うんだ。漢字も。数学は公式を暗記帳に書いて覚えるんだ。歴史は紙に人物がやったことを書いて覚えるんだ。年表表を作るみたいに」
勉強を始める。集中が途切れてきたらチョコパイを食べながら勉強を進めた。気づくとあっという間に正午になっていた。お昼の鐘が鳴ったのか分からないくらい集中をして勉強をしていたのだ。
「喫茶店に行ってお昼ご飯食べようか」
私たちは喫茶店に向かう。喫茶店の少し古びた木が好きだ。席に座り、メニュー表を手に取る。
「サンドイッチもパンケーキもいいな」
私はパンケーキに決めた。龍輝君はメニュー表を見ていなかった。
「龍輝君は?」
「いつものかな」
龍輝君がそう言い驚く。
「龍輝君って常連さんなの?」
「ううん。常連客じゃないけどこの喫茶店に行くといつも頼む物があるの。コーヒーにパスタ」
龍輝君はあまり冒険をしないんだなと思った。
パンケーキと、コーヒー、パスタを頼む。以外と早く来る。
「おいしい。このパンケーキ美味しいけど龍輝君も食べる?」
龍輝君は顔が赤くなる。
「いらないよ。恋人がやっている見たいで、恥ずかしいだろ」
私はふふっと笑う。
「龍輝君ってコーヒー飲めるっていう顔してるよね」
「なんだよ、それ」
龍輝君が少し怒っていた。
「ごめんごめん」
「謝って済む問題かよ」
「龍輝君って面白いね」
龍輝君の奢りで喫茶店を出て、帰る。一週間に二回ほど勉強を一緒にしたのだ。
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