3.
さてはて、行列に並んでから何分経っただろうか定かではないが、もうそろそろ日付が変わるといった時間帯になってきた。
日付が変わる一分前からどこからともなく声がする。――カウントダウンだ。時間が進む毎に声が大きくなっていくそのカウントダウンに三十秒前からミナトと加わりだす。
――十、九、八、七、六、五、四、三、二、一。「――あけましておめでとう」僕はミナトにだけ言う。ミナトも「あけおめ」と僕にだけ言う。
除夜の鐘は鳴り終わり、いつしか雪も気まぐれに降るのをやめていた。
五円玉を投げ参拝を済ますと、屋台を冷やかしに戻る。ミナトはりんご飴の残った串をゴミ入れに投げるとキョロキョロとまたいつものマイペースっぷりを発揮する。「はぐれないでね」と僕は言うし、「はぐれない」とミナトも笑う。
さて、家に帰ろう。寒さで本当に低体温症になっては困るし、ミナトの事も心配だから。こたつで温まることにしよう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます