1.
ゴーン、ゴーンと鐘が鳴る。除夜の鐘が遠くから聞こえてくる。
大晦日の夜、僕は寒いから嫌だと嫌がるミナトをなんとか連れ出し二年参りに来た。
神社の近くを歩きながら「寒い、馬鹿なんじゃないの?」と言いながら屋台巡り、そこで買ったりんご飴を舐めるミナトの手を引きながら神社の参道を進む。
この時時計は十一時半を指していた。神社は同じく二年参りを行おうとしている参拝客で溢れている。
ミナトは乱暴に僕のコートのポケットの中に手を突っ込む。カイロが入っているポケットの中は二人の体温を更に温かくさせた。
「寒い」とミナトが再度呟く。やれやれと苦笑いしながら周りを見渡すと、甘酒を配っているのが見えたので「甘酒でも飲もうか」とポケットの中で繋がれた手を引く。
参拝の列ほどではないが多少の列が出来ていたので最後尾に並び甘酒の入った紙コップを受け取ろうとする。少ししてミナトは両手が塞がってることに気が付くと僕の手を優しく振り払い、甘酒の入った紙コップを受け取った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます