1.

 ゴーン、ゴーンと鐘が鳴る。除夜の鐘が遠くから聞こえてくる。

 大晦日の夜、僕は寒いから嫌だと嫌がるミナトをなんとか連れ出し二年参りに来た。

 神社の近くを歩きながら「寒い、馬鹿なんじゃないの?」と言いながら屋台巡り、そこで買ったりんご飴を舐めるミナトの手を引きながら神社の参道を進む。

 この時時計は十一時半を指していた。神社は同じく二年参りを行おうとしている参拝客で溢れている。

 ミナトは乱暴に僕のコートのポケットの中に手を突っ込む。カイロが入っているポケットの中は二人の体温を更に温かくさせた。

「寒い」とミナトが再度呟く。やれやれと苦笑いしながら周りを見渡すと、甘酒を配っているのが見えたので「甘酒でも飲もうか」とポケットの中で繋がれた手を引く。

 参拝の列ほどではないが多少の列が出来ていたので最後尾に並び甘酒の入った紙コップを受け取ろうとする。少ししてミナトは両手が塞がってることに気が付くと僕の手を優しく振り払い、甘酒の入った紙コップを受け取った。

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