第51話

メニースターズ

第51話 黄金郷編


アール王国に戦いを仕掛けたのはC国の方である その裏に控えるラーク教団とは

愚者は山道の防衛戦に阻まれた模様 度重なる上陸の失敗に疑問を抱き始めていた



                 C国報告会議

「敗北したと 迂回して裏をかいていたはずでは 現場の方にも試作ではあります

が投入済と聞きました 進軍先はアール王国で間違いない筈 他は出てない」部下

「負けたという事実よ 妙だな、新規軍だと 違うな既に諸国を味方に付けている

恐らくはな、失敗作ではなく本部隊を編成せよ 畳みかけるのだ」叱咤するアデル


「大丈夫なんでしょうね! コチラは予算を大幅にこの実験に割いているのですよ 

その結果が我が国の敗北になろうものなら 見込み違いでしたでは済みませんよ」

「これはこれは わざわざ戦略会議にお越しいただき フフ 現場の指揮は我らに

お任せくださいR国を占拠できたあかつきには 次期党首も視野にですぞ」幹部A


どうやら途中の結果報告書を手に上院議員の先生が会議の席についている気配だが

悪党の典型と言ったところか、戦争は会議室で起こってるんじゃない(全体だろ)


「私もD国の調整や他の仕事に追われていて忙しいのです 約束の方はお忘れなく

スケジュールがあるのでこの辺りで失礼しますが ふん!」バタンと邪魔な背広男


「くっくっく 豚が 貴様など党首の器ではないわ 黙って我らの戦術に資金を投

入しておけばいいのだ、無能とはこの事だな ふん そろそろ用済みだな」幹部B


「出汁が絞れるならまだ利用価値はあるというもの D国との交渉は奴には無理よ

別の使者を独自に送っておけ・・・新薬の実験データと一緒にな フフ 間抜けが

ああそれと アール王国は諸外国と手を結んだとつけ加えておけ そろそろ返事を

貰えぬなら貴国にとって今後は益々不利になると揺さぶりをかけろ いいな」軍師

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そして数週間後 C国とD国は秘密裏に共同戦線を結ぶ事になる A国とR国側か 

C国とD国側か どちらに付くべきか こうして戦火の渦は確実に広がって行った

怪文書の件はアール王国の他にも挑発行為として計画されていたか、周囲の反応は



                 諸国の住民達

「戦争だってさ いつの間にかあちこちで争いが絶えない様になって来たし 更に

訳の分かんない病気も流行り始めてるって この先ヤバいかもよ 参ったね」狩人

「数か月前にアール王国に香辛料を買いに行った時は 軍隊なんてなかったはずで

すけど、いつの間に こうなるのが分かっていたのだろうか 戦争です」旅の術師


「エース共和国と組んでるって噂だよ 宝石が採れるんだとさ 汚いね 銀山も領

土内なんだろ? 戦乱になれば連盟とかうやむやになる 貴金属の利権か」女傭兵

「私が聞いたのはD国の噂だが どうやらC国と共同で新兵器の実験をしているっ

て話だ どちらが先に嗾けたは知らん 戦場に得体のしれない部隊とか」情報屋が


「面白れぇ世の中になって来たじゃねーか くっく要するに強いほうが勝ちなのよ

弱肉強食だよ、結構 結構 俺は暴れられる方に味方するとしようか」自然派戦士

「どっちが儲かるかね 他人を利用して稼げるならソレでいいじゃんよ 怪文書が

原因とか今更 C国だっけ? 知らねーし 他の国も兵士募集中だとよ」賞金稼ぎ



こうして戦乱の幕開けは訪れた 強い者が勝つ敗者は悪なのだ 動乱の中 世界は

混沌の色を強めていく、そしてそれは次なる脅威の引き金に進展してゆくのだ――

                


                アール王国の城

「さてどうするか、今日は祝日で いや冗談はやめておくか エース共和国と組ん

だ事で余計な憶測が出始めてしまった様だな 元を正せばC国が」苦悩の国王様だ

「でもこれで複数からの進軍に対処出来る様になりましたね 我が防衛軍は一番危

険な場所に配置される事になりますが 守備隊も一通り形にはなったかと」重鎮が


「他国が考えているより私達の資金源は少ないです これも戦術という事でしょう

D国が正式にエース共和国に宣戦布告したそうです 泥沼の予感ですね」サマンサ


「最早こうなった以上は 戦い抜くしかあるまい 次の予定だが 最初に上陸を狙

われた港町から少し離れた廃村がC国の隠れ蓑だという情報だ そこだろうな」王

「前線って大変ですよね 私はいつもどうり伝令を部隊に飛ばしますので手筈通り

C国の主力がそろそろ進軍してくるやも知れません ご考慮を」マスターの友人だ



アンリ達は城から伝令を受け前線に赴くのであったが、順調に機能している王国内

実は財政難に陥っているのだ 城下町へ奇襲された後に急遽に軍隊を結成している

アール18世は私財を全て兵士の雇用費に充てている現実 底が見え始めていた――

王国の港街から少し離れた場所、海に面した街道に仮設基地が設営されてるが無人

エース共和国に同盟国として参戦の要請を、書簡で打診しているが 危険度は高い


形として少数の弓兵があいさつ代わりに到着はするものの、外交の実績がほぼ無し

現時点では信用がない C国の進軍が本気だった場合の保険として壁に利用される

似た様な情勢は読者様もどこかで耳にした事があるかも知れない ※フィクション

なので実際の団体・組織等とは関係ありません 両国の同盟関係が表面上になった


この事により当然の事ながらD国も動き出す、共和国側から北西に位置する古豪国

あろう事か向こうはC国と手を組んだのだ、かつては列強に名を馳せた事もある歴

史と伝統を持つ国であった、近年は衰退の一途を辿っていたのだが 今回の戦争で

一気に息を吹き返す 領土を広げるまたとない好機 大戦で勝てば周辺国家に対し

て大きな発言力を得られる アール王国にとっても今後は無視出来ない存在となる

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               翌週、赤屋根達の戦線

「まさか私自らが前線に配属とは このツケは高くつくぞ試作は終わりだ 後悔す

るがいい アール王国如きにこれ以上苦戦するハズはない! 現場で証明だ」幹部


「悪っぽいのが出てきたわね 雑魚とは違うみたいよ やれるもんなら 無駄だぞ

今に分かるさ 街を奇襲した報いをここで受けろ!」怒り心頭のコバルトは吠える

「眼が血走ってるでやんすね 化け物以外も何か変なの飲んでる予感ですぜ兄貴」

「ムダだっての 人間の限界を超えて来たか、お薬頼りとは笑わせる」ピザコンビ


「普通の軍隊なら勝てないかもよ、ドーピングかブっ飛んでる奴以外もね 狂戦士

馬鹿が考えそうな事よ プッツン系か 相手を調べて進軍してるのかしら?」モカ


「今までとは違う様です 殺気とは別の、狂気か しかし我々を倒すには」ロシェ

「まともな神経で戦は出来ぬよ どの国でもな 奴等が選んだのはコレだったとい

うわけだ いいではないか 戦場に出て来た段階で理屈ではない では参る」隠密


夕日が差し掛かろうとしている、手斧を構えた凶悪そうな戦士を引き連れて参上か

沿岸狭い浅瀬近くに強引に船を横付けして 颯爽と上陸から侵略を狙うC国の部隊

地域に住民の気配はない、廃れた漁村周辺はこれから怒号と復讐の粉塵が舞う予感


「グおおおおおぉ!」もう人間じゃねえな 容赦すんじゃねー、突進来るぞと導師

哀れなそうな呟きが特攻兵の敵視を取ったか 戦闘の開始、新兵では無理な怪物だ

ここは素早い迎撃をすべきだと判断 連携し、敵を分断しつつ各個撃破だ「この」

モカの放った矢が数本命中するも敵の狂戦士はお構いなし「痛みは感じないとさ」


先陣を切ったコバルトが騎馬ごと強烈な蹴りで弾き飛ばす、ピザコンビが両サイド

その後方から錬金術師とスカーレットが魔弾の詠唱準備に入る 小夜香を援護する

「引き付けて、私がそのまま薙ぎ払う!」指示を出しながらマスターの槍技が唸る


乱暴に鉄斧を振り回す敵の狂人 アンリが珍しく抜刀して斬り伏せる「何で私が」

嫌そうな顔をしながらも円陣を組みながら相手の突撃を次々に沈めていくメンバー


「どういう事だ互角 い、いやこちらが不利だと 試作ではないはずだ! まさか

奴らも何か実験を? 成程な 軍隊など無かった国だ、この手際の良さ」驚く幹部

「うひょー 恐怖を感じないでやんすか 俺っちは小細工なんかしまんぜ」ハット

「何勘違いしてんだかな 戦場を甘く見るんじゃないぜ、骨が脆いねC国」ドミノ


「おのれ! このまま終わると思うな 追加だ 第2波 直ぐ準備せよ どこかで

データが漏れていた可能性 確か既に諸外国と組んでいると そちら経由では?」


「認めたくないんでしょうね 普通なら怯むはずだが いいですよ そっちがまだ

やる気なら 残念ながら 我々は一般の部隊とは違いますので、実験体か」ロシェ

「フヒヒ♪ 基本は余り変えなくてもいいよな リテイクで仕上げてるからよ元が

全部が同じではないぜクローバーさん ガンガン進めてよね常連諸君 長いから」


流れを切るつもりはないが物語は形になるまでの過程が一番苦労する 旅団で先行

マスター以外は全員違う面子なのだ此処は、戦闘は継続中 狂戦士以外も敵はいる

やや離れていた相手の槍兵と弓部隊にスカーレットとモカが連携の火矢で撃退する


「追加部隊 来た様です 行け! 叩きつぶしてやれ 新兵ではないな 奴等諸国

の援軍ではないのか? 違うのか これがアール王国の兵士だと 馬鹿な」敵騎士

「実験は失敗だなC国 いや我らに対してだが 普通の小国ならば脅威であろうよ 

威圧の効果は私等にはない、数を減らしたら前へ出るぞ では駆けようか」小夜香


「怯むな突進せよ 検証を重ねているのだ 効かぬ筈はあるまい! 奴らも何か投

与しているに違いない、ちっ 諸国と何か開発していたな 共同研究か!」幹部は

「現実が見えてねーぜ? 幾ら薬物に資金使ったか知らねーが 土台が違うのよね

越えられねーんだよタコ 覚悟はあるんだろ 遊びじゃねえよ」義理の緑は余裕顔


援軍ごと強引に突破を試みようとするが ドカンッ ガツン ドワーっとバンバン

( ノД`) 汗臭い両ウイングが チャージ式タックルで敵のトライを許さないのだと

荒野の野外フイールド 観客は読者のアナタ達だ、戦場のボルテージは歪みねえな


「次は別のネタで行きなさいよタコ! 今日は何処の花園で開催だがな」ジトっと

「うーん スポーツ系は多用すると白けるかもよ 爽やかでよろ」嫌そうなアンリ

「もう勝負ありじゃないの? 後は適当にボスを囲んでおいてよねー」モカは後方

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「貴様ら有り得んぞ 何だ奴らの強さは? 我々以上の投薬は限界があるハズだ」

「相手を調べておくんだったね もう手遅れだよ お前ともう一人だね」騎馬師が

「検証データが間違いのはずは、おかしいだろ! 更に強力な配合を見つけている

のか貴様等陣営は もしや最新鋭なのか? くっ 我々が後発品だと」m9(^Д^)


「それは普通の人間に対してでしょう 愚かな 試したらどうですか 敵は眼の前

にいますが? 薬物はあなた方のみです、蝕む様ですがね 色々」ロシェは健全だ


「馬鹿な・・・ぐ・・・アール王国兵ではないのか 一体?」挑む相手の間違いさ

「いつの間に恐ろしい開発を ばけ・・・ものめ! 無念」いやいや 違うからw


「最後まで認めぬと 一応幹部という事かな 効かんよ普通の軍隊ではないからな

お前達の負けだ 敵将仕留めたぞ、街の警備兵では勝てんかもな」隠密が討ち取る


勝機アリと踏んで進軍して来たC国のドーピング部隊は王国側の防衛隊に阻まれた

赤屋根のメンバー達は常人ではない 人間の限界を超えているハズの、狂戦士計画

悪意の種をばら撒いたツケを払う時はそう遅くないだろう これは戦争である――



                 黄色い達人

「お嬢様、城の方から告知事項だそうです メリッサ達の給与を待ってくれと!」

「まあ、何て恥さらしな国家ですの ノーギャラでカトレアをこき使うつもり?」

「うわぁ、まさかとは思ったんだシルヴィ先輩 先週から他の兵士もヤバいって」

「えー、それマジで エリカ達は貯金なしのカツカツ生活に近い状態なんだけど」


「やべーっすね 臨時って聞いてたけど おっしゃ、ここはタローが戦略を練るか

心配せんで下さい 残りの行を埋める俺ですからー 今週は慰労の炊き出しがある

何気に気の利く男ですね つえー、大概の事は何とかなりますって 情報収集です

アール王国は地区で分かれてるんで 全部でイベントをしてるわけじゃないんすよ

だから各地域の担当を調べてその人達と仲良くなっておくんですね 宣伝代わりに

そのうち噂を聞いて他からも俺等の原稿を読みたいと集まって来るんっす! 国は

商人の出入りが多いっしょ なので、交流会的な事をやってれば自然とこうなるん

じゃないっすか そして、この流れが全体に波及していくんっすよ 情報は力です

発刊自体は出来ないみたいなんで口コミを広げたら連盟の力を借りて成り上がり」


? (´・ω・`) いやそれは君達の投稿計画の事ではないだろうか 給与は何処へ

タロー氏に任せておくと現場が混乱すると以前に言っていたが、先にタダ飯の話を

持ち運び出来るなら プライドの高いカトレア以外で行って来いと、その後でしょ


この間彼女に衣服を貢いだ御仁がいたと、配下のメリッサが気を配るべき場面では

果たして連盟経由で短編の人気を取れるか疑問なのだが シルヴィのプロット次第


「げ、私に投げる気か同志 マジで菓子パン生活に逆戻りじゃんこの流れ えっと

明日書くわ はっは、数日の飯代ぐらいなら大丈夫でしょ 炊き出しとか盲点だわ

・・・五番地区で運よく行っていた配給に並ぶシルヴィ達だったと 覚えてろよ」


オリジナルは思ってるより甘くないぞ 後ろでそう聞こえた気がしたと友は語る~


            第51話 黄金郷編 5223文字 (続)


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