第6話 デスパレード

ダダダダダダダダッ────!!!


反響。けたたましい銃弾の炸裂音。最初の銃声から断続的に続いてるそれは恐らく3マガジン目。銃はそんなに詳しくないが映画だとマシンガンを連続して使うと火を噴いていた。


敵を……おそらくはゴブリンを倒してるのだろうけどオーバーキルではないだろうか。


ゴブリンたちも音を聞いて向かって行ってる。姿見たら逃げる癖に、と思いながら後ろ姿にダガー、ナイフを投擲。四本目にしてようやく脚に命中。足を止めたところをカトラスで刈り取った。


「走り、ながら、当たらん」


姿勢が変なことになった。走りながらは難かしい。


銃声は止まない。静かな街だからか、ビルの壁に反射するのか音の位置が若干分かりづらい。しかし近づくにつれ聞こえる音が大きくなる。そして一定のところまで行ったら近くのビルの高台に登ってみる。


「うわぁ……なんだあれ」


ゾンビパレード。そんな名前の映画を思い出した。道を埋め尽くすほどのゴブリンゴブリンゴブリン。遠目に見ているだけでも気持ち悪い。


のろのろと進む行軍に押されるように前の方のゴブリンが次々と銃の標的となる。何でアレ相手には逃げないんだ?後ろが他のゴブリンで塞がれていて逃げられないのだろうか。


若干悲鳴が聞こえるのは撃ってるやつか。半狂乱で銃を撃ち続けている。


音が、途切れた。


ゾワリと。弾が切れたのを察したのかゴブリンの大群が波のようにうねった。群がっている。断末魔。野太い声が最後に響いて、こと切れた。


「うえぇ」


想像しただけで嫌になる。あの数のゴブリンに群がられて死ぬなんてゾンビ映画と変わらない。食われはしないのか?圧死なのか。


俺と同じように突然連れてこられてモンスターと戦うことを強要された。宝箱かなんかから銃を手に入れてはっちゃけていたら銃声で大群を呼び出してしまいバッドエンド。


あまりにも罠すぎる。それにゴブリンの奴ら、特にレッサーは対面したら逃げる癖になんであんなに向かっていったんだ?


ゴブリンの大群からのそりと人型のシルエットが現れる。全身鎧。騎士みたいなゴブリンだ。あいつから何かオーラみたいなものが放たれてゴブリンの大群に伝播している。あれか。あれにあてられて死兵と化したのか。


「まずい‼」


目が合った。かなり遠かったのにそうと分かる眼光で一睨みされた。群れが動く。一刻も早くここから離れなけば!


小さなビルから飛び降りる。浮遊感の途中で壁を蹴って横に飛ぶ。一気に下に引くエネルギーを壁を使って横向きに軽減し少しずつ高度を下げる。降りても大丈夫そうな高さで地面に転がって着地する。


以外に何とかなるもんだ。


そのまま街を駆け抜ける。俺の見つかった場所から円状に、出来るだけ悟らせたくない。さっきの場所に近くのゴブリンがほとんど集まっていたのか逃げる経路にはちらほらとしか敵はいなかった。すれ違いざまに切り伏せる。


街に唸り声が響き渡った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る