第4話 エネミー戦闘
貧民などの下位階級に位置するのがレッサーゴブリン。小さな体、やせ細った手足は例え凶器を持っていても怖さをあまり感じない。武器と身体強化魔法があればこその感覚かもしれないが。
こいつらとは別に、違う種類のゴブリンがいた。
「ゴブリンアウトロー」
成人男性よりも頭二つ分くらい小さい、粗暴そうな見た目のゴブリンだ。図鑑によればレッサーと同様に下位階級らしいのだが、比較的恵まれた体格で貧民の中でもリーダーのような立ち位置にいるのだとか。
実際、見つけたそいつはレッサーゴブリンの手下を顎で使っている。偉そうに身振り手振りで、時には怒鳴ったりして手下たちを委縮させていた。
体はそりゃ小さいが、筋肉もある。簡単にはいかなそう。簡単な感想がそんな感じだった。
大丈夫、倒せる相手だ。
アウトローはガードレールに腰かけていて歩行通路側にレッサーが四体いる。俺は裏路地から飛び出してレッサーの首二つを跳ね飛ばした。横一文字に切り結んだカトラスを翻して三体目を狙う。
「グギャ────」
「遅い」
叫んでいて逃げ遅れたね。攻撃を食らったら回避が先だろうに仲間を呼ぶのを優先したのは習性かな?
手下が一気に無力化され、アウトローが怒り出す。威嚇で叫びながら手に持った斧を振り下ろしてくる。当然避けた。後ろに引いた体の、目の前を斧が通過する。
コンクリートが刃を弾いた。蹴りを放つとアウトローは斧を手放して両腕を交差、ガードの上から蹴り抜くと地面を擦る様に相手が吹っ飛んだ。
どんくらいのダメージか分からない。が、少なくともコイツの戦意は折れてない。
カトラスを短く振ってみる。削ることを意識して攻撃を誘う。コイツの手に武器はない。手放した代償は大きかったな。
フックを避けて脇に剣先を差し込んだ。血を吐いて光になるアウトローを蹴って剣を抜いた。散らばっていく光は何とも幻想的だ。
「うぐっ」
またこれか。敵を倒すと何かが流れ込んでくる。レベルアップかと思ったがそうではない。MPに似たエネルギーが入り込んで、体の中で暴れようとする。
端的に言えばムラムラするのだ。すごく。コレのおかげで体を動かすにもエネルギッシュに四肢を振れて疲れを覚えにくい。しかし、じっとしていられないというか精神的な疲れがすごい。
ゴブリンを倒して得るものがそれなんて正直気持ち悪い。
「でも倒せるな。大通りの方も探索できそう」
裏路地から覗くことでしか街を調べられなかったが。今なら普通に歩いて行ける。安全を要すなら暗殺が良いんだが通りは歩行通路、かなり広い車道と見晴らしが良い。明かりも結構な間隔で置かれてるので奇襲がし辛い。
通りにいるゴブリンはまばらだ。レッサーがうろついていたりするだけでアウトローとかそれ以外のゴブリンが見えない。あいつらも手下なのだろうかとぼんやりと考えていると遠くにいた目の良い奴が俺に気付いて走っていった。
そいつの行った方とは逆に進んでみる。通りに出てみると路地裏から見える景色とは少し違うっていた。
ビルが立ち並んでる都会なのは確かだが、高層ビルが多い。中に入ったら何かあるのか。でも外観に特徴が無さ過ぎて背景にしか見えないんだよね。
何かある建物ならそうと分かる見た目をしてほしい。そうだと良いなぁ。
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