第15話 二回生
優奈達一回生が、三つ星魔獣討伐、および四つ星魔獣襲撃に遭ってから、一週間が過ぎた。
この間、ゆっくり休養を取ったこともあり、優奈のケガは回復、ハルカも精神的ショックから立ち直り、久しぶりに全員が訓練場に集合した。
早速そのときに戦闘形態のステータスを確認すると、三つ星魔獣討伐に成功していたためか、少し能力値が上がっていた。
-----
名前:優奈
年齢:十六歳
職業:精霊巫女
契約精霊:タク
状態:正常 (戦闘形態)
生命力:330 / 330 → 383 / 383
呪力:750/750 → 930 / 930
戦闘力:60 + 180 → 88 + 210
呪術攻撃力:80 → 90
防御力:105 → 123
素早さ:108 → 121
装備:狼牙剣 (長刀形状)、狼牙鎧
備考:
攻撃呪術 狼牙剣の形状変化、呪力付与、斬撃波、刺突閃、乱打、刃消滅
回復呪術 止血、鎮痛、生命力回復 (LV1)、解毒 (LV1)、気付け
特殊能力 威圧
-----
名前:夏美
年齢:十五歳
職業:精霊巫女
契約精霊:凛
状態:正常 (戦闘形態)
生命力:290 / 290 → 319 / 319
呪力:690 / 690 → 765 / 765
戦闘力:48 + 130 → 52 + 155
呪術攻撃力:75 → 85
防御力:90 → 100
素早さ:90 → 98
装備:金狐弓、金狐鎧
備考:
攻撃呪術 金狐弓の大型化、呪力付与、狐火付与、同時射出
回復呪術 止血、鎮痛、生命力回復 (LV1)、解毒 (LV1)、気付け
特殊能力 幻惑、火炎球
-----
名前:春花
年齢:十三歳
職業:精霊巫女
契約精霊:雪愛
状態:正常 (戦闘形態)
生命力:240 / 240 → 265 / 265
呪力:1050 / 1050 → 1210 / 1210
戦闘力:33 + 60 → 36 + 65
呪術攻撃力:100 → 108
防御力:60 → 66
素早さ:75 → 82
装備:水竜杖、水竜鎧
備考:
攻撃呪術 水流壁、水弾、水流爆、氷結、氷弾、氷壁、氷刃
回復呪術 止血、鎮痛、生命力回復 (LV2)、解毒 (LV2)、気付け
特殊能力 水毒、濃霧、水分身
-----
「すごい……みんな能力値が上昇している。それに増えてる技もある」
タクが素直に褒めた。
「前世でも、練習すれば体力が付いたり、できる技が増えたりしましたでしょう? 球技とかでも、大会に出たら経験を積めて強くなる。同じですよ」
リンが頷きながら説明してくれた。
中でも、特に優奈の上昇率が大きいように思われた。
教官の茜によれば、
「優奈は、三つ星の大イノシシにとどめを刺しましたし、その後の四つ星の大熊との戦いでも一番修羅場をくぐりましたから妥当なところでしょう。でも、だからといって無茶をして命を落としては本末転倒です」
厳しいながらも愛情のある彼女の言葉に、全員頷いた。
この一週間の間に、他の学年にも動きがあった。
三回生、四回生は、それぞれ一度ずつ帰ってきて、物資の補給などを済ませ、今はまた両方とも遠征に出ている状況だ。
四つ星ランクの魔獣は消耗戦を仕掛けても倒せず、住民の避難、誘導に手を取られていること。
状況が改善すれば、大がかりな罠を用いた作戦を検討しているとのことだった。
たしかに、四つ星ランクのあれだけのステータスの差では、まともにやっても勝ち目がない。
一回生が倒せたのは、偶然にも崖から転落させるという天然の『罠』に相手から嵌まったという、非常に幸運がかさなっただけだという解釈で、それはあながち間違いでは無かった。
そして二回生は、三つ星ランクの魔獣を倒して帰ってきていた。
一回生全員が揃って訓練をした後、食堂で会ったのだが……ちょっとピリピリした雰囲気だ。
自分たちが三つ星ランク魔獣を倒すのに手間取っている間に、一回生が三つ星と、幸運とは言え、四つ星という大物を倒したのだから先輩としては面白くないだろう。
しかも、二日後に模擬戦を実施することになっていたのだ。
とはいえ、彼女達に取っては精霊は信仰の対象と言えるほど神聖なものようなので、初めて会うタクに挨拶を始めた。
「へえ、その精霊様が優奈の……初めまして、二回生のイトです。あなたはオオカミ様なのですね?」
丁寧にそう挨拶してくれる少女。
タクが彼女のすぐ隣を確認する。
彼女の側でフヨフヨと浮かんでいるのは……ヘビ?
タクが一応ステータスを確認してみると、シロヘビだった。
まん丸な目がぽつんと付いていて、胴体が短く、ツチノコのような見た目で可愛らしい。
-----
名前:歌(ウタ) (モデル:シロヘビ)
状態:精霊体
契約巫女名:糸(イト)
-----
「シロヘビのウタです、よろしくっ!」
意外と元気な挨拶が来た
タクも、
「自分はオオカミ型です、よろしくお願いします」
と挨拶したが、それ以上は会話が続かなかった。
ちなみに、精霊巫女の今の状態を確認しても戦闘形態になればガラリと数値が変わるし、特殊能力や技能も今は見えないのであまり参考にならない。
強いて言えば、イトは素の能力で呪力が高いので呪術系のようだとタクは感じた。
次に挨拶してきたのは、派手な色の契約精霊を連れている少女だった。
「エノです。よろしくお願いします……」
ちょっとむすっとした様子の少女。少し機嫌が悪いのだろうか、とタクは勘ぐってしまった。
彼女の契約精霊は、青、黄色、白、緑が混じった派手な色の鳥類だ。
こちらも軽く確認してみる。
-----
名前:花梨(カリン) (モデル:クジャク)
状態:精霊体
契約巫女名:絵野 (エノ)
-----
「カリンです。よろしくお願いします……」
精霊の方も、エノと同じく言葉少なめだった。
ぬいぐるみ形態なので感情はわかりにくいのだが、タクはあまり良い印象を持たれてはいないように感じた。
「私が、キヌです。私だけ、優奈が精霊巫女じゃなくて模擬戦できていなかったので……明後日、楽しみにしていますね!」
一応敬語で声をかけてきたその少女だが、その目はちょっと挑発的に見えた。
聞いた話では、一回生と二回生の模擬戦は二、三度実施されたらしいのだが、二回生が三人に対して一回生は二人しか契約精霊がいなかったので、人数あわせで参加できなかった少女がいるらしいのだ。
それがキヌということだろう。
彼女の契約精霊はわかりやすかった。
-----
名前:心美(ココミ) (モデル:サル)
状態:精霊体
契約巫女名:絹 (キヌ)
-----
「ココミだよ……ボク、模擬戦では出番が無くて退屈だったんだ。よろしくねっ!」
一人称とやや幼い言葉遣いから、タクはこの精霊は前世で男の子だったのかと思ったが、その名前は女性のそれだ。
おそらく、「ボクッ娘」なのだろうな、とタクは考えた……まあ、転生した時点で性別などないので、どうでもいいことなのだが。
タクはキヌの基本ステータスも軽く確認したが、優奈と同タイプで、生命力と戦闘力が高い印象だった。
とはいえ、戦闘形態になるとガラリとその数値は変化するはずだ。
優奈の基礎能力は、三つ星妖魔を倒す前と後であまり変わっていなかった。
つまり、経験値が反映されるのは戦闘形態の時の方だ。
これはおそらく、模擬戦まで明らかにされない。
二回生は全員、年齢が16歳から17歳。優奈と同じか年上だ。
ちなみに、今までの二対二の模擬戦では、やはり経験の差は大きく、一回生は惨敗だったようだ。
彼女達としては、今回も一回生に遅れを取るわけには行かないだろう。
かといって、一回生も負けっぱなしで終わりたくないはずだ……勝ち気なナツミや、意外と負けず嫌いな優奈も奮闘することだろう。
おとなしくて最年少のハルカは……まあ、彼女は直接攻撃系じゃないから戦意むき出しで無くても大丈夫だろう。
それに模擬戦なので、少なくとも命のやり取りに発展することはない。
楽しむつもりで挑めばいい……タクは呑気にそう考えてしまっていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます