第6話 エアコンを得る戦い
さて、第二生徒会室にエアコンを入れるプロジェクトが発動した。先ずは担任と交渉である。
「トイレ掃除の同好会に必要ない」
「最近はこの高校のホームページの運用を任されています。しかも、女子バスケ部のスター人形町さんの公式スポンサーです」
「それは、お美味しいの?」
うぐぐぐ。
「美味しくないです」
それは屈辱であった。今までの苦労が『美味しいの?』ときた。
担任の理解の無さは絶対的であった。わたしはとぼとぼと職員室を出る。部室に戻ると、伍代さんがパソコンを使っていた。
「酒だ!酒持ってこい」
「ダメですよ、諦めたらそこで試合終了です」
伍代さんが同情の眼差しで見て決めセリフを言う。何やら、酒を飲むのと同じくらい、不味いセリフを聞いた気がする。ス〇ムダンク世代のおっさんと同じ思考では女子高生失格だ。
「少しアドバイスですが、体育教官室は組織として独立しています。今や地元のアイドルである人形町さんのコネを使えば……」
それから、人形町さんと体育教官室に入ると。
「おう、どうした」
「イヤ、その、だから、つねに……」
「俺は歯切れが悪い奴は嫌いだ」
おっと、つい、緊張してしまった。このままでは直ぐに追い返されてしまう。
気合で行くぞ!!!
「わたしはエアコンが欲しいの!!!」
突然の気合の入った言葉に体育教師達は驚くのであった。
「要約すると、エアコンが欲しいのです。どうかご慈悲を」
人形町さんが丁寧に説明を始める。色々と交渉がスタートするが、わたしは蚊帳の外である。先行きは不安定で、反応としては、あの旧職員用喫煙室かと言われる。
「地元のアイドルである人形町の頼みごとだ、扇風機と電気ヒータなら買ってやる」
エアコンの壁は厚いか……。
ここは「人形町さんがユーチューバーになってバスケの動画を全国に配信しますよ」と言ってみる。
腕を組んで考え込む体育教師達であった。
もう一押し。
「全国から人形町さんのファンがバスケ部に入部しますよ」
わたしは悪魔のささやきの様に呟くのであった。
「よし、エアコンを買ってやる」
おし来た!!ガッツポーズをするわたしであった。
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