第5話 日常の日常

 それから、しばらくの事であった。学年主任から屋上の掃除を依頼される。まだ、掃除の仕事から抜け出せないのかと、ふさぎ込むが仕方なない。屋上へと向かう鍵を借りて、渋々、掃除である。

そこは数年入った形跡がなく。溜まった落ち葉に草まで生えている。


 ゴミ袋に落ち葉をいれて、草も抜いて綺麗にする。重いゴミ袋を一階の校舎裏の落ち葉入れまで持っていく。


 あーこれはかなりの重労働であった。


 学年主任に鍵を持って行くと。


「ご苦労様、これはほんのお礼だ」


 四人分のショートケーキが入っている箱を渡された。


「一つ、多いですよ」

「バスケ部の人形町の分だ、公式スポンサーなのだろ。今度、テレビ局の取材が来るらしいからな」

 

 はー羨ましい限りだが、わたし達が育てたと言ってもいい。イヤ、流石に『育てた』は言い過ぎか。でも、きっかけはわたし達だ。


***



「ところで、この第二生徒会室には空調はついていないのですか?」


 英和田さんが不機嫌に顔でわたしに迫ってくる。確かにこの作りは夏、暑くて。冬、寒いであろう。


 この第二生徒会室は校舎から離れた所にある小屋で、元々は職員用喫煙室なのである。


 ここでの喫煙は先生方も苦難の日々であったはずだ。最近では校外のコンビニでタバコを吸っているらしいが、それも時間の問題で無くなるであろう。


「第一生徒会室にはエアコンが完備されていますよ」


 伍代さんが独り言の様に呟く。


 きーーー。


 あの生徒会長なのか?


 あの生徒会室なのか?


「落ち着いて下さい」


 たまたま来ていた、人形町さんが止めに入る。


「はぜはぜ、先ずは担任に相談だ」

「顧問の居ない同好会には厳しいでしょうね」


 だから、伍代さんは誰の味方かと疑問に思う。ホント、厳しい現実を言うのだ?

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