第50話 結果をみてみた

今日は成績の発表の日。『クランダンジョン』が実装されてから一ヶ月近く経った。毎月の結果を集計して五日くらい経った後に発表されると公式発表があった。俺たちはまだかまだかと『クランハウス』で待ち構えていた。


「あ! 来ました!」


 通知届くと同時にマリンが声を上げた。俺は早速通知から結果を確認する。


 一位『OLYMPUS』

 二位『Jewelry』

 三位『モヒカンズ』

 四位『Blue Moon』

 ………………


『Blue Moon』 最終結果 四位



 おお! 四位! なかなか良い成績じゃないか?


 最初の方は総合順位を十位まで、後半に自分のクランの成績が載るのだろう。


 また、上位は名前をタップすると、詳細が表示されるとのこと。早速俺は一位の『OLYMPUS』の数値を確認してみる。


 到達階数 1000階

 総時間 1023時間38分

 総スコア 1235615


 逆に俺たち『Blue Moon』の数値はこうだ。


 到達階数 465階

 総時間 110時間38分

 総スコア 401038


 大体三分の一のスコアとなっている。


「千! やっぱトップクランは違いますね……」


 マリンも一位の結果を見たようだ。到達階層にとても驚いている。だが、その様子は残念そうだ。とても勝てない……といった雰囲気も見え隠れしている。


「でも、総時間ってのは俺たちが少ないぞ。三人が頑張ってくれたおかげじゃないか? これは潜った人数の累計時間とか……」


 俺はマリンを励まそうと、総時間の項目について述べた。確かに階層倍近く行っているが、逆に俺たちは十分の一にも満たない。これは多分、クランの人数と個々の強さによって成績が左右するということだろう。そういう意味では俺たちはかなり成績が良いと思える。


「ならばより早く、より洗練されたメンバーで挑んだ方が有利ってことでしょうか……」


 ファーストも俺と同じ結論のようだ。当初予想通りどれだけ早く階層をクリアしていくかは総スコアに関係しているみたいだし、攻略にかける人数は少ない方が良さそう。

 俺はファーストの言葉に一つ頷いた。


「総スコアは討伐したモンスター影響ありそうですし、僕の《アースライザー》も使えそう。いや、あれはアオイさんの『ソーサリーコート』があってこそか」


「まあ、俺じゃ使いこなせないんだし、あれはファーストの《アースライザー》のおかげで間違いないぞ」


 俺が作ったとはいえ、俺には何の役にも立たない装備だ。


「しかし、アンバーさんの所でも二位か。一位はさすがと言った所でしょうか」


 ふむ。フレアが言ってるのは『Jewelry』ってクランか。二位ってことはやっぱアンバーは凄いんだな。

 でも、クランの名前といえば……


「ねぇ。三位ってもしかして……」


 と、マリンとフレアが顔を見合わせている。そこに気づいてしまったか。


「あー、やっぱ気になるか? 多分……そうなんだろうな……」


 あの・・因縁のモヒカン野郎の可能性が高そうな気がする。あんな無理やりな勧誘してても結果を出しているところを見ると、あまり舐めない方がいいのかもしれない。ま、本当にあいつ・・・なら。


「もしかして、マリンが最初に絡まれたって人ですか?」


「そうか、ファーストだけは違うのか。俺たちは三人とも始めてすぐに絡まれたんだよ」


「なるほど……それは因縁深い相手ですね」


 ファーストの言葉に俺たちの空気は重くなった。クランを結成して間もなくではあるが、元々はアイツがきっかけで結成したみたいなものだ。そういう意味では悔しくないと言ったら嘘になる。まさかこんな成績を残してくるクランだとは思わなかったが……


「ほら! 三人ともどうしたんですか! まだ一回目じゃないですか! まだ次もありますよ!」


 ファーストが声を張り上げてそう言った。どうやら少し、この雰囲気に責任を感じているみたいだ。彼が悪い訳じゃないんだけどな。


「そうだな……暗くなっててもしょうがない! よし! 次は三位を目指すぞ!」


 俺が立ち上がってそう宣言すると、三人とも立ち上がり力強く頷くのであった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る