第46話 範囲攻撃で狩ってみた

「さて、今度は時間がかかりそうだな」


 俺が欲しいのは範囲攻撃の効果範囲を広げる能力。弓は間に遮蔽物があると命中しないが、ファーストの話だと魔法は別……というか、対象を中心に魔法陣が広がるタイプの魔法は別なのだろう。だからその魔法の効果範囲を広げるような能力を付けて、


 マリンもファーストも今までボス毎に様々な攻撃に苦戦を強いられたらしい。らしいというのは俺はメインシナリオを進めてないから、そこまで多彩な攻撃を喰らったことはなかったから。ただ、その度に能力を付与する為に同じことを繰り返してきたからなんとなく分かる。やりたいことをやり続ければ、その能力を得られる可能性が高い。まあ、実装されてれば、だが。


 炎の攻撃に苦戦するならば、炎の攻撃に対しての耐性が高くなっていく。氷属性の武器を使い続ければ、他の武器にも氷属性を付与した攻撃を放つことが出来るようになっていく。


 結果、今の俺のステータスはこうなっている。


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 Lv:35(+0)



 STR:1

 INT:1

 VIT:1

 AGI:1

 DEX:191(+190)


 Unique Skill

 《多段撃ちの極意 》《影縛り》《狙い撃ち》《乱れ撃ち》《影矢》《シャインスコール》


 Permanent Skill

 《千発千中》《獣の天敵》《水滴石穿》《暗黒竜の祝福》《アロー》《ジャベリン》《速記》《ブレスシールド》《氷属性無効》《炎属性無効》《風属性無効》《地属性無効》《光属性無効》《闇属性無効》《氷属性付与》《炎属性付与》《風属性付与》《地属性付与》《光属性付与》《闇属性付与》《虫の天敵》《鳥の天敵》《物質の天敵》《水棲の天敵》《悪魔の天敵》《無機質の天敵》《不死の天敵》《植物の天敵》



 ────────────────────


 炎の攻撃に苦戦したという話を聞いて、『フレイムリザード』の群れに突っ込み、炎のブレスを浴び続けたら《炎属性耐性》を獲得したし、それでも続けてたら《炎属性無効》に進化した。


 そんな感じで範囲攻撃を使いまくってれば、それに準じた能力の獲得が出来るかも……と俺は思った。


「だからこそ、この『マージトリュフ』の群れだな」


 ここは『聖都ハイディア』よりかなり奥へ進んだ『メルクネミ樹林』の最奥地。

 この最奥は行き止まりのマップだし、『メルクネミ樹林』はメインシナリオでも来ない場所なのであまり人も来ない。ただ、この『マージトリュフ』はMPを回復出来る『マジックリバイブⅠ』の素材である『マジカルトリュフ』を落とす。

 範囲攻撃はMPを使用するので連発しすぎるとすぐにMPが尽きてしまうので、MPを回復しながらやるしかない。だからこそ、この『マージトリュフ』の湧くこの場所が今回の俺の狙いに最適な場所なんだ。


「さーて! 行きますか!」


 俺は見渡す限りの『マージトリュフ』の群れに狙いも定めずに《乱れ撃ち》を解き放つ。


 ドドドドドッ!

 ドドドドッドドッ!

 ドッドドドドッドドオッ!


 弱点属性の炎属性を付与された矢は真っ赤にその身を燃やしながら、数十発全てが数匹の『マージトリュフ』に漏れなく突き刺さり、その身を炎で焼き尽くした。


「属性付与をしつつだと、MP消費は激しいな」


 武器に属性を付与している訳ではないので、一回ずつMPを消費しながら攻撃しなければならない。しかも、MP消費が多い範囲攻撃である《乱れ撃ち》での使用だから、その消費量は半端ではない。


「多分二回が限度かな。でも、問題無いはず」


 と、俺はアイテムドロップを確認した。そこには狙い通り『マジカルトリュフ』が既に三個程ドロップしてある。

 この『マジカルトリュフ』だが一個で『マジックリバイブⅠ』を一つ作れる。そして、この『マジックリバイブⅠ』一つで俺のMPは全快する。

 金策でもこの『マジカルトリュフ』集めで『マージトリュフ』狩りをしたことはあるが、大体ドロップ率は50%を超えるくらいだと思う。つまり、俺は延々と《乱れ撃ち》で『マージトリュフ』を狩り続けることが可能という訳だ。


「あとは範囲攻撃の対象を広げるような能力があるかどうか……だが……こればっかりはやってみないとわからないな。ま、飽きるまでとりあえずやってみますか」


 そうして俺は二回目の《乱れ撃ち》を解き放った。

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