第45話 作戦会議をしてみた
「とりあえず作戦会議といきますか」
クランハウスまで戻ってきた俺たちは三人で向かい合わせで椅子に腰かけていた。今回の経験を踏まえての今後の方針を話し合うつもりだ。
「まず、五階層まで潜ってみて……だけど、段々とモンスターが強くなるであろうこと。今のところは専用モンスターが出てくる感じでは無さそうだし……」
とりあえず俺の気づいたことを述べてみた。最後まで行っている訳じゃないから推測の域を出ないが、こういうのは仮説を積み立てていくのが大事だ。
「あとは五階層には『ツムール』が出たので五階層毎にボスが出るとか……」
マリンの言うこともそうだな。五階層刻みでボスが出る可能性は高い。
「経験値は獲得出来無いですけど、アイテムドロップは今のところ通常と変わらなかったです」
ファーストの言葉そうだ。レベルアップは見込めなさそうだけど、アイテム集めには悪くはなさそう。
「あと、魔法なんですが、種類によっては壁の向こう側でも発動出来ました。《アースライザー》を使ってみたんですが、ちゃんと発動して部屋の中にいるモンスターは全部片付けましたし……」
「なるほど。それはいい情報だ」
魔法が壁を通過して発動するのはファーストが様々な魔法使えるから分かったことだ。こういう情報は俺には得ることは出来ないからとても助かる。
「あとは成績をどう算出するか……かな。こればっかりは結果の発表を見てみないとなんとも」
「でも可能性としてはモンスターの倒した数とどれだけ階層を早く潜ったか、は影響ありそう」
速度か。それは可能性は高い。RTAというのも分かりやすい指標だからだ。
「もしくは数だけじゃなくて、モンスターによって加算される数値が変わるとか」
「確かに……入らない経験値が
経験値が各々入らずに、スコアとして計上されている可能性はある。だから、入らないように処理されてるのかもしれない。
「となると、さっさと雑魚を処理しつつ、次の階層へのワープを探して……って感じになりますね」
「でも、早く次の階層へってなると雑魚の狩り残しが発生するんじゃ……」
「確かに。速度と退治する数のバランスを考えないといけないですね」
難しいところだな。一つの階層で沢山のモンスターを倒すのと、早く次の階層に行くのは真逆だからだ。
「そうだな……俺に一つ考えがある。ちょっと『クランダンジョン』の攻略は二人に任せるよ。フレアも誘ったりしてどんどん進めてくれ」
「わかりました。でも……またですか?」
マリンは了承の言葉を告げたが、心配そうに俺を見ている。なんだ?
「また? って?」
「どうせ考えって、
「ま、まあ、そうだけど……」
俺に出来ることなんて装備を作ることくらいしかない。ま、あとは金を出すくらいか。
「ありがたいんですけど、アオイさんばかり負担をかけるのは……」
と、マリンは言うが、負担に感じたことなど一度もない。作りたいから作る。ただそれだけなんだが……
「負担も何も、やりたいからやってるだけだけど……」
「でも、全然メインシナリオ進まないじゃないですか? 僕たちはもうすぐ第一部も終わります。『暗黒竜アルデス』もそろそろ実装されるという話です。でも、アオイさんってまだ半分くらいしか進んでないじゃないですか?」
「うーん。でも、メインシナリオ進める必要性も感じないしなぁ。特に周回も困ってないし、欲しいボス素材はマリンとファーストがくれるしなぁ。ってそっちの方が負担になってないか?」
まあファーストの言う通りなのだが、別にボス周回もやりたきゃ大体が出来るし、シナリオを進めないと戦えないボスとかは、マリンとファーストが勝手に素材を集めてくれる。特に不自由はしてないどころか、マリンもファーストも素材集めに時間を割いてくれて、俺が逆に申し訳ないと思う。
「アオイさんが装備を作ってくれるんですから、それくらいは当然です!」
「ま、それなら良いんだけど……お互い様ってことで」
「……………………」
ボソリとマリンが何か呟いたようの感じたが、よく聞こえなかったから気のせいかもしれないと俺は流した。
「とりあえず『クランダンジョン』の攻略は二人に任せる。俺は攻略に適した装備を作る。でどうだ?」
「アオイさんが仰るなら……」
「よし! じゃあ解散! 俺は早速試してくるわ!」
と、俺はすぐにクランハウスを後にした。
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