第14話 『修理』と『合成』をしてみた

「おっとっと、『鍛冶』以外にもあったのをつい忘れてたわ……」


 調子に乗って『冒険者の服』を作って出品しまくっていた俺は『鍛冶』以外のメニューがあったことを思い出した。

『修理』と『合成』だ。そっちも確認しておかなくては。


「まずは『修理』……と……」


 とりあえず俺は『修理』からやってみることにした。通常攻撃しかしてないし、弓系の武器は耐久度の消耗は少ない。とはいえ、『ラビィ』を狩り続けたことにより『初心者の弓』の耐久度もかなり減っている。可能であればついでに『修理』しておこうと思ったからだ。


「『Lunatic brave online』の時と同じ仕様だと、『鍛冶』で作れる素材が必要なんだけどな……」


『Lunatic brave online』の時は、『修理』にも素材が必要だった。とはいえ、必要な数は半分の量。そして、失敗しても素材は消費されない。だからお気に入りの装備を『修理』しても使う人が多い。『鍛冶』の場合は成功しても失敗すると素材は消費されてしまうからだ。失敗とは言っても、何も出来ない訳じゃなく、能力の劣った装備が出来るだけんなんだけど……


 あと、メニューからやれば鍛冶屋でやるのと違って手数料はかからない。ただ、失敗し続けると一定時間はその装備を『修理』出来なくなるから、イクサに余裕があるプレイヤーは成功するまで手数料を払っても鍛冶屋で行うこともある。


「で、『初心者の弓』は……と……」


 俺は『初心者の弓』の『修理』にかかる素材と成功率を確認する。ちなみに『初心者の弓』は初期装備だから『鍛冶』で作ることが出来ない。つまり逆に言うと、『修理』でかかる素材は何もないということ。素材なしで『修理』もできるのだ。そして、成功率は……100%だ。


「思った通りだな。よし、さっさと『修理』してしまおう。ポチッとな」


 俺は早速『修理』を『実行』する。成功した『初心者の弓』を確認すると、耐久度は最大まで回復していた。


「じゃあ最後に『合成』かな」


『合成』は同種の装備同士を合わせて一つにすることができる。弓系なら弓同士、剣系なら剣同士でないと『合成』はできない。そして、『合成』は基本的にランダムだ。『合成』する装備の攻撃力や見た目、能力はランダムで選ばれる。が、鍛冶屋では手数料を払うことによって、メニューから規定の数だけ選ぶことができた。この選べる数は生産系統の成功率によって変わるから。DEX極なら結構選べるかもしれない。


 そして、この選べる数に余裕があった場合。もし、余裕がないならば攻撃力や防御力や見た目をランダムにして余裕を生み出してもいい。その場合は自分のスキルから選ぶこともできる。勿論、弓系の『Unique Skill』は弓を装備している時しか使えないから、剣とかに付けてもゴミになってしまう。だから『Permanent Skill』から付けることも多い。


「俺の今のDEX極で果たしてスキルの付与ができるのかどうか……」


 俺は興味津々で『合成』を試してみる。対象は先程作ったばかりの『冒険者の服』だ。出品しまくった結果最後の一個である。

 で、感じの能力の付与は……できるみたいだ! 当然見た目も防御力も耐久度もどうでもいい。こんなゴミみたいな服には、そこ・・に価値はない。だから当然ランダム。選ぶのは先程俺が得た『Permanent Skill』の中から《千発千中》のスキルだ。こっちのスキルは数値も書いてあるし、もう一個の方より売れそうには思える。まぁ、売れればラッキーかな? 程度だけど……で、ポチッとな。


 で、できた『冒険者の服』を確認すると確かに《千発千中》の文字がある。システム上、ここに関しては絶対大丈夫だとはいえ、やはり初めてのことは嬉しい。


「さてと……いくらくらいで売ろうかな……とりあえず10万くらいで売れれば御の字か」


 さっきは『冒険者の服』は最低千イクサからだった。まあ、最低はただ移す用なだけのゴミ価格だけど、能力が付いた装備ならワンチャン高値で売れる可能性はある。とはいえ、初日に獲得出来るような『Permanent Skill』でしかないから、高すぎても売れなそう。10万くらいで出しておいて、売れなさそうなら値下げすればいいか。

 そう思った俺は早速その『冒険者の服』を10万イクサで出品した。


「さてと、こんなもんかな。そろそろ落ちるか」


 一通り生産活動を楽しんだ俺は、最後にトーマスに『から揚げ』を渡してログアウトをしたのだった。

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