第13話 『鍛冶』をしてみた

『調合』したついでに『鍛冶』もちょっとやってみようかな」


 そう、『生産』メニューの『調合』を行ったついでに、もう一つの『生産』メニューである『鍛治』も試してみようかと思い立った。


『調合』を始めたきっかけはトーマスに『から揚げ』を差し入れする為だけど、トーマスはNPCだし腹減ってるとはいっても少しくらい待たせてもいいよね?


 と、俺は早速『鍛冶』を始めることにする。


『鍛冶』を開いて、まずは『鍛冶』を確認する。どうやら『冒険者の服』とやらは作れるようだ。素材が集まっているのだろう。俺は『ラビィ』しか狩ってないから、『ラビィ』のドロップアイテムが『冒険者の服』の素材ってことか。

 と思って『冒険者の服』の詳細を確認すると、素材は『ふわふわの毛×30』だった。なるほど……最低30体以上の『ラビィ』を狩らないといけないのか。『ふわふわの毛』の数は……ざっと見た感じ20スタックくらいかな。素材の数は充分……ということで早速『冒険者の服』を作ってみよう!


 俺は『冒険者の服』の詳細画面に表示されている『作成』をタップすると『冒険者の服』が作成された。やはりこの程度の装備なら成功率は100%のようだ。さすがDEX極! と言っても比較ができないから通常でどれくらいの成功率かわかんないけど……


 『冒険者の服』自体は初期装備だし、今の俺も装備している。別に珍しい装備でもないし、高値で売れる訳でもない。アイテムランクも最低。ただ、需要が全く無い訳じゃない。と、いうよりも需要はあるだろう。仕様が変わって無ければ……だけど。


『Lunatic brave online』の時はプレイヤー同士で売買出来る装備には限りがあった。プレイヤー同士で売買出来るか出来ないかの違いは『鍛冶』で作られたかどうかということ。簡単に言うとドロップされた装備はプレイヤー同士で売買することは出来ない。だからドロップした装備の中で渡したい能力があったら、それを捨て装備に移してから売買するしかない。『合成』でドロップした装備に付いている能力を、一度捨て装備に移してから渡す。そして渡された相手はその捨て装備を使って、自分の付けたい装備にその能力をつけるしかない。


『冒険者の服』はそういう使い方を一番されやすい装備だった。一番防具の中で作りやすく、能力も高くないから価値もない。その為に需要はあった。


「今回はどうなんだろう」


 メニュー画面には『マーケット』という表示があった。『Lunatic brave online』と変わらない。『トレード』もあるから、今回のように不特定多数の相手と売買するのは『マーケット』だろう。


 俺は『マーケット』から『購入』を選択し、『冒険者の服』を検索する。すると、ずらずらっと出てくる『冒険者の服』たち。今回購入で見てみたのは相場を確認する為。いくらなら売れるか、そもそも需要はあるのか。の確認の為だ。これが店で売った値段よりも下回るようなら店で売った方がいいし、『Lunatic brave online』であったドロップ装備は売れないシステムは変わってる可能性が高い。


「と……最低で1000イクサくらいか」


 イクサは『Lunatic brave online IV』での通貨単位である。これも『Lunatic brave online』から変わったところはない。


『マーケット』での相場を確認したところで、すぐ近くの雑貨屋で『冒険者の服』の売却金額を調べると……10イクサだった。


「予想通りだな……恐らくこれ・・なら売れるだろうし、ドロップ装備が売買出来ないっていうシステムも変わらないだろう」


 と決まったらあとはやるだけ。『ふわふわの毛』も『ラビィ』を倒せばいくらでも手に入る。最悪、他の装備で必要な素材だったとしてもまた『ラビィ』を倒して集めればいい。


「最低1000イクサだったし、500イクサくらいならすぐに売れるかな」


 どんなゲームでも金は必要だ。俺は『Lunatic brave online IV』を始めたばかりだから金が全くない。つまり俺は金が必要だ。という訳でドヴァーンと大放出だな! 『ふわふわの毛』を『冒険者の服』に全部変えて金策だ!


 と、俺は早速先程作った『冒険者の服』を『マーケット』にて売却するように操作をした。そして、作っては500イクサで投げ、作っては500イクサで投げ……と嵐のような作業を開始したのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る