第153話 みかん

トンっとつま先に当たるみかん。

見上げれば、坂道を転がり落ちてくる沢山のみかんと

それを追いかける女性。


僕は、反射的にみかんを拾う。

そこに、何の意図も無い。


お礼のみかんを頂きながら、僕は、ふと思う。


素朴なありのままの人の姿がこうであるとすれば。

無関心を生み出した根源はどこにあるのだろう。


ー完ー


先日、停車中の電車内で『どん!』と大きな音がして……。

驚いて振り返ると入り口付近に男性が倒れていました。

けっこう背の高いお若い方で、見ていた人によると、直立のまま真っ直ぐ真後ろに倒れたそうな。

瞬時に電車の発車を止めようと動く方。

駆けつけた車掌さんに事態を説明する女性。

起き上がろうとする男性を支えようとする若者。

発車しない電車に不平を漏らす人も無く、スマホを構えて動画を取る人もなく。

ただ、皆さん一様に、心配そうに男性を見守っていて……。

なんか……ね。

いいなっと……ね。

当たり前のように他人を思いやれるって暖かいなっと。


前に、東京の電車内で、急にしゃがみ込んだ方がいらして……。

でも、みんな知らん顔で、席を譲ることも無く。

次の駅で降りる私と友人は、付き添って一緒に降りたけれど。

その方も「大丈夫だから、放っておいて」って感じで……。

それって、なんでなんだろう?っと。

この違いって何なんだろう?っと。

*****


明日のお題は『可能性』デス^^

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