作戦名 【猪野天音ちゃんとおっぱいの二人乗り(タンデム)したいな♡】

 ふうふうっ!? 思わずミイラ取りがミイラになるところだった……。


 天音ちゃんにお風呂で胸をあんなにむにゅむにゅと揉みしだかれるとは思わなかった。


 天音ちゃんは無邪気に友達とじゃれ合っているつもりでも、私にとってはまったく違う意味だ。友達じゃなく性的にも天音ちゃんのことが好き!!


 こんな悪い子のさよりを神様は許してくれるでしょうか?


 お風呂では理性がぶっ飛んでしまうのを恐れて天音ちゃんの攻めを一方的に受けていた。天音ちゃんっての素質があるかもしれない……。


 ああ、まさにタチとネコの関係。タチネコヒロシだわ!! 泣かないでえ〜〜。


 私の脳内であぶ◯い刑事のBGMがリピートして、いつも都合良くスズキ製のバイクを街なかで勝手に拝借出来る謎について思わず思案してしまった……。


 そうか、これはきっと鈴菌すずきんのせいだ!!


 私は持参したMY湯飲みで熱いお茶を飲んで、荒ぶる気持ちを落ち着けた。

 執事の皆川が浜松にあるススキ歴史館でお土産として買ってきてくれた逸品だ。

 皆川は完全なる鈴菌感染者でプライベートでは初期型ジムニーと原付はマメタンを

 愛用している。そんな皆川の影響で私もバイクが大好きだ。免許はないんだけどね。


 私は皆川に一度聞いたことがある。なんでド直球にスズキカタナに乗らないのかと……。


 ……彼は微笑みながら私にこう言った。


『お嬢様、ご神体には恐れ多くて乗れません。私には東京タワーのインパルスでも神々しくて……。ハンスムート様を踏み絵にするような行為は出来ません』


 めちゃくちゃ謎な鈴菌末期患者のセリフをのたまわう皆川を、私は面倒くさいからガン無視を決めこんだんだ。


 はあ~、私がもしバイクの免許を取れたら天音ちゃんとタンデムでスズキ記念館にツーリングに行きたいな……。


 初心者のタンデムは免許取得後、一年経たないと駄目だよのツッコミは無しで。


 でも私の欲しいバイクはスクーターRZの異名を取るヤマハトレーシー125

 なんだよな、125じゃ高速に乗れないからCZ150Rでいいじゃんと

 言われそうだけど、バク転するほどピーキーなのはトレーシーじゃないと

 CZ150Rはビジネスコミューターだし……。


 あっ、バイクの免許が無い奴が偉そうに語るなと言わないで。


 本多グループはMOTOGPの冠スポンサーをやっている関係で、

 私は子供の頃からミニバイクでサーキットを走っているんだ。

 皆川がチーム監督なんだよ、中学の途中からお祖父ちゃんの意向で

 バイクはお休みしてるけどまた乗りたいな。


 天音ちゃんとツーリング行けたら楽しいだろうな、お弁当作って。


 妄想を膨らませていた私を現実に引き戻す無粋な着信音。


 執事の皆川からだ、何々、秘密兵器の展開確認をして欲しい。

 研究グループからなにか依頼があったみたいだ。


 急いで皆川に無線で確認をする。


「お嬢様、天音さんとのご歓談の邪魔をして申し訳ございません、緊急な連絡がありましたので……。 展開確認をせず作戦進行した場合、成功確率が60パーセント下がるとのデータが出ております」


「理解しているわ、天音ちゃん攻略の決戦兵器のアレね。展開確認はどうすればいいの、皆川?」


「はい、お渡ししたジュラルミンケースを開けて、上部にある紐を引いてください、自動で展開後、自立します……」


「了解、やってみるわ!!」


「さよりお嬢様、ご武運を!! あ、余談ですが、私、この作戦が上手くいったら孫が結婚します」


 ブチッ、ツーツー。


「待て皆川、何で無理矢理死亡フラグを立てるのぉ!!」 


 ……何だか嫌な予感しかしないけど、私は天音ちゃんを攻略すると決めたんだ!!

 先に進むしか無い!! ままよ……。


 秘密兵器の安全装置を外して展開の紐を、思い切って引いた。



 ぷしゅううううううっ!!

 お約束の煙が天音ちゃんの部屋に充満した。


「……けほっ、けほっ、ドライアイスマシマシ過ぎ、皆川の奴め」


 煙が晴れてきて、秘密兵器の中身がテーブルの上に鎮座する。


「な、なにコレぇ!! 禍々まがまがしすぎるんですけどぉ……」


 ジュラルミンケースの中央には、おギンギンのペ、ああっ、

 これ以上は私みたいなおぼこ娘にはとても口には出来ない!!

 シャイロック!! ◯ニスの商人と一文字違いの呼称のブツが姿をあらわにした。 存在感有りすぎ!! 


 皆川に即クレームの無線を入れる。


「み、皆川ぁ!! 何じゃコレは~~」


「さよりお嬢様、お気を確かに……。 ご要望どおりの品ですが? 何か不都合でも……」


「不都合ありありのマシマシだよぉ!! あんなモノ、天音ちゃんに装着出来ないじゃん」


「はあ、つい大艦巨砲の精神で作成してしまいました。私の独断が入ってしまったことを何卒お許しください」


「デカければいいってモノじゃないんだよお、いったいどうしたらいいの、もうすぐ天音ちゃんが外出から帰ってくるのに……」


「さよりお嬢様、大変申し上げにくいのですが、展開後は早めに作戦を遂行しないと、成功率が半減します。あ、余談ですが、息子の嫁がもうすぐ出産します……」


 ブチッ、ツーツー。


「待てっ、皆川、死亡フラグを立てて勝手に逃げるなぁ!!」


 もうすぐ天音ちゃんが部屋に戻ってくる。

 一体どうすればいいの!?


 怪しい秘密兵器を手に右往左往うおうさおうしてしまう、


「さよりちゃん!! お待たせ、お泊まりの食材買ってきたよ!!」


 ああっ!! 天音ちゃんが帰ってきちゃった、ど、どおしよう……。




 次回に続く!!



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