第2話
雨のなか、基地を見つめて立ち尽くす。すると、遠くのほうで激しい爆発音のようなものが聞こえた。おれはとっさにしゃがみこんだ。遠くのほうで煙が上がっている。ふと空を見上げると、銀色の戦闘機が飛んでいった。あの戦闘機が爆弾を落としたのか?すると、ここは戦場ということか?おれはしゃがみこんだまま、その場から動けなくなった。どうしておれはこんな所にいるのだ?
ますます、理由がわからない。
おれは、雨に濡れた地面を見つめたまま座り込んでいた。すると、足音が聞こえる。ニチャニチャとした、泥の上を歩く音だ。ふと、顔を上げてみると、痩せこけた兵士が銃をかまえて立っていたのだ。大きく、目を見開いて。
歴史の本なんかで見たことのある、軍服姿だった。無精髭を生やした兵士は、意外なほど落ち着いた声でおれに言った。
「原住民か?」
原住民?なんのことだ?
動くと撃たれる。おれは慌てて両手を上げて
降伏のポーズをとった。殺されたくはない。
しばらく、沈黙が続いた。静かな雨の音だけが、おれたち2人を凝視していた。
おれはうめくような声で、兵士に言った。
「撃たないでくれえ」
すると、兵士は目を丸くして、
「日本人か?」
と聞いてきた。
「そうだよ。こうやって、日本語をしゃべってるじゃねえか。頼む。おれは敵なんかじゃないよ」
ゆっくりと、かまえた銃を男は下げた。
やがて、
「ついてこい」
と、おれに言った。
拳銃 @that-52912
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