愛したきみにさよならを
僕は、なにに対しても興味などなかった。
彼女にも最初はそうだった。
彼女は、いつも僕を好きだと言ってきた。
毎日、毎日飽きもせず
彼女は、僕に会いに来た。
そんな彼女は、漆原加代と言った。
そして、僕は田口陽介だ。
今日も彼女は、僕のところへやってきて
加代「陽介くーん!おはよ!今日も大好きだよ」
僕はそんな彼女が少し鬱陶しく感じていた。
陽介「漆原さん?だれにでもそんなことを言うものではないよ」
加代はいつも僕のところへ来て僕を好きだと言う。
だけどどんなに突き放しても加代は、懲りずにやってくるんだ
だから加代の名前も覚えてしまった。
僕は出来るだけ空気で居たかった。
でも加代は、そんな、僕を妨げる。
正直とても邪魔だ
そんなことが1年続いたある日
パタリと加代は、僕のところへ来なくなった。
いつもいる加代が居ないだけなのに
心にぽっかり穴が空いたようだった。
今度…会ったら僕も好きだと伝えようと思ったのに
そんな時、加代が目の前に現れた。
でも加代は、以前の加代と違った。
僕を通りすぎて行ってしまった。
聞けば加代は事故で記憶喪失だとか
そんなことがあったなんて…僕は、知らない
陽介「加代…」
そう言って過ぎ去ろうとした加代を呼び止めた。
でも加代は僕を覚えていない。
加代「ん?貴方は?だれですか?」
やはり僕を覚えてない
なんだろうこの前までは、まだ隣に居たのに
衝動的に加代の手をひいて歩いていた。
加代「やだ!やめてよ!いたい…」
僕は泣きそうだった。
初めて興味を持った加代が僕のことを覚えていないなんて
僕は加代を部屋に閉じ込め言った。
陽介「加代…ダメだ…加代は、僕からから、逃げられない、どこにもいけない」
加代は泣きそうな顔をしていた、
加代「私は、貴方にとってどんな人ですか?」
陽介「愛してるから、ずっと捕まえて置きたくなった…」
陽介は、笑いながら言った。
陽介「はぁ…そんな顔をしないで、僕から逃げなければ、加代を傷つけるつもりはないから、ただ僕を愛してくれればいい、加代には、僕がいればいいだろう?」
陽介は、その言葉のあとに加代の顔を見た。
加代は、昔のように笑顔ではなく、恐怖し怯えてる顔をしていた。
陽介が、好きになった加代は、いつも笑顔だった。
陽介「加代…ごめんね?僕が悪かったよもう離してあげるから、さぁお逃げ」
陽介は無理に加代を繋ぎ止めても無駄だと悟った。
加代は、そのまま走り去ってしまった。
陽介は、加代のいないこれからを考えることが出来なかった。
陽介「僕が気付くのが遅かったのか…ごめんね…加代…さようなら」
そう呟いてそのまま陽介は、消えてしまったのだった。
完
本棚 マシュマロ @mikua
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