追憶 2

◯八年十二月二十四日


日記を付ける事が習慣になっていなかったので約一月ぶりのまともな書き込みである。

しかしまだ不慣れな所為か断片的な短い文章であり、読み難いものとなっていた。




炬燵の部屋で寝ていた夢を見た。


そこに入るのはこれが初めてだったと思う。


恐らくは何らかの理由により死亡したのだろうが、この時だけは入り込んだ経緯を一切思い出せない。


何故だろう。死の記憶はとても生々しく、いつまでも脳裏にこびり付くと言うのに。


炬燵の中でうつ伏せのまま眠りに落ちてしまうと、また別の部屋に飛ばされた。


部屋は一面白く清潔であり、少し狭い。左側には縦長の姿見がある。


この部屋の主は女性だろう。化粧台に口紅が置かれていた。


それを見ていると、背後から伸びた影が凡太を覆っていた。


あの部屋には誰かいた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る