◆幸せデート

 平日で昼の時間帯は、交通量も少なくて快適だ。

 学生なんてほとんど見かけない。


 だから、俺たちの存在は少し目立つ。

 学生服だから尚更だ。


 少し視線を感じながらも、街中を歩く。


「とりあえず、喫茶店とか入る~?」

「それもありだな」


 愛海の提案を受け入れ、俺は視界に入ったコマダ珈琲へ入ることにした。あそこは、コーヒーも食べ物も美味いんだよなあ。


 この時間帯だから、空いているしタイミングはバッチリだ。


 入店すると、人はほとんどいなかった。


 店内は静かで落ち着きがあった。



 空いている席へ座り、メニューに視線を落とす。



「シロノワールが美味しいんだよね」

「それな。二人分を頼むか」

「うんうん」



 あとはコーヒーだ。これで決まり。

 俺はスタッフのお姉さんに注文した。あとは待つだけだ。



 数十分後。

 シロノワールとコーヒーが届いた。


「お~、相変わらずデカいな。うまそう~」

「これ凄い量だよね。コーヒーも良い香り」



 さっそくシロノワールを一口サイズに切っていただく。

 口の中へ放り込むと、濃厚なチョコレートの味が広がった。……うま。とても甘々で頬が落ちそうになった。



「幸せ過ぎるなぁ」

「そうだね、お兄ちゃん。これを食べられるだけで三日は頑張れるよ」



 愛海がとても幸せそうだ。この顔を見れただけで俺も幸せだ。来て正解だったな。

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