◆学校サボって義妹とデート

 追いかけると学校の校門に愛海はいた。


「……まて、愛海。話がある」

「…………なに」


「紫藤さんのことは気にするな。俺は、愛海が一番大切だ。だから――」


 くるっと前を向く愛海は、泣きながらも俺に抱きついてきた。


「お兄ちゃん、信じてた」

「当然だろ」


「うん。……でもね。あの女はもう許せない。お兄ちゃんに近づくなら、ぶっ殺しちゃうね」


「そんな乱暴な言葉は使うな。ほら、抱きしめてやるから」

「……うん」


 抱きしめると愛海も子供の様に抱きついてきた。こんなにも愛海は俺を必要としてくれている。俺も愛海が必要だ。


 義理であろうとも、妹のいない生活なんて考えられない。



「愛海、今日はもう学校サボろう」

「いいの……? 本当にいいの?」

「ああ、たまにはいいだろ」

「うんうん。学校抜け出してデートしよう」

「ま、愛海……分かった。どこか行こう」

「うん♡」


 俺は愛海と手を繋ぎ、そのまま学校を出た。授業? どうでもいいさ。妹との時間の方がよっぽど価値がある。


 愛海を連れてアテもなく街へ繰り出す。


 なんだろう、ワクワクするなぁ。

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