◆幸せ過ぎて涙が

 愛海が密着してる為、周囲の目線が気になる。

 だけど、それ以上に愛海の機嫌が良いのでこのままの方がいいのかもしれない。


 列に並んで、その間にメニューを考える。



「何にしようか」

「カレーかなあ」

「愛海はカレー好きだもんな」

「うん、お兄ちゃんの次に好き」



 順番が回ってきた。

 くっつかれたまま注文して、俺もカレーにした。お金を支払って、俺と愛海はカレーを受け取り空いている席へ。


 隅が空いていたので、そこへ着席。


 愛海は俺の隣に座ってきた。



「いただきます」

「いつも奢ってくれて、ありがとうね、お兄ちゃん。いただきますっ」



 そう、俺はいつも愛海に奢っていた。多少バイトで稼いでいるし、これくらいは構わない。これで少しでも愛海が幸せになってくれるのなら俺は身を削れるのだ。


 銀のスプーンを手に取り、さっそくカレーを味わう。


 う~ん、美味い。

 食堂のカレーは、よく煮込まれていて味がしっかりしている。濃厚だ。



「やっぱり美味いな」

「うん、そうだね。はい、お兄ちゃん……あ~ん♪」

「ま、愛海……こんなところで恥ずかしいだろう」

「食べて」


「……仕方ないな」


 俺は、食べさせてもらった。……周囲の視線が……恥ずかしい、けど美味い……。美味すぎた。なんだろう……幸せ過ぎて涙が。

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