◆ライン交換しよ

 どっちから対処すべきか悩んでいるとチャイムが鳴った。

 授業中になっても愛海からのラインは絶えなかった。ていうか、授業受けろよ……。


 俺は真面目に授業を受けた。

 受けているつもりだったが、隣の席の紫藤さんが手紙を投げてきた。


 開けてみると「あとでライン教えてね」という内容だった。



 ……嫌な予感しかしない。



 その後、授業は終わり――昼休み。



 紫藤さんが俺のところにやってきた。



「早田くん、ライン交換しよ」

「あ、ああ……分かった」



 それくらいなら別にいいか……と、ラインを開くと愛海からのメッセージ数が【999+】になっていた。どんだけ送っているんだ。アイツ。


 もちろん、メッセージ内容は『愛してる』だけ。全部その文字の羅列だった。……愛が重すぎる。



 紫藤さんとライン交換を済ませ、俺は教室を後にした。

 思いのほか、俺を引き留める素振りはなかった。なんでだろう。



 * * *



 廊下に出て、いつのも待ち合わせ場所である二階の広場へ向かう。そこには愛海の姿があった。


「待ってたよ、お兄ちゃん」

「お待たせ」


「ねえ、お兄ちゃん。あの紫藤って女になにかされてないよね?」

「先輩をそんな風に言うなって。――いや、なんもない」


「本当かな。……まあいいけど、裏切ってたら……お兄ちゃんのお腹をグサリだからね」

「勘弁してくれ」

「冗談だけどね」


 目が本気じゃないか……!


 恐怖を覚えていると、愛海が腕に抱きついてくる。このまま食堂へ向かうらしい。

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