◆命いくつあっても足りない予感

 GPSの疑問を抱えたまま、女子トイレを後にした。

 他の女子にバレなくて良かった。危うくヘンタイ扱いされるところだったぞ。下手すりゃ退学だ。


 途中で愛海と別れ、俺は教室へ。


 中へ入って席へ向かうと、紫藤さんが手を振っていた。



「な、なんだい紫藤さん」

「どうやら、GPSのことバレちゃったみたいね」

「そうだよ。なんでこんなモンを俺に」


「好きだからだよ」


「え……」


「早田くんが好き、大好き。だからね、妹さんには悪いんだけど……いろいろ調べさせてもらっちゃった」



 な、なんだ。紫藤さんの様子がおかしい。いつもとまるで違う。



「俺のこと、そんな風に思ってくれていたのか。でもGPSはやりすぎだ」

「ごめんね。好きな人のこと知りたかったの」



 紫藤さんと会話しているとスマホが鳴った。なんだ、こんな時に。


 画面を見てみると、愛海からだった。



『お兄ちゃん、あの女とイチャイチャしないでね。したら、どうなるか考えてね……。好き、好き、好き。愛してる。お兄ちゃん、愛してるよ。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる……』



 愛してるの文字が千文字を超えていた。スクールするだけで腕が疲れる。



 やばい、俺の命いくつあっても足りない予感。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る