つながり

第1話

なぜ勘違いしていたんだろう───────　

「んっ…亅

音にならない声とともに耳に世界が入ってくる。目を開いて上を見上げると時計の短針は既に7を指している。よく知っている、いつも通りの朝だ。

目の痛さと体のだるさとは裏腹に脳は食べ物を欲しがっている。おぼつかない足取りでリビングに出ると、パンと牛乳が置いてあり既に人の気配はしない。もちゃもちゃとパンを牛乳で押し込みながらいつの間にか手に取ったスマホでゲームを開く。

「チャリン、チャリン亅

軽快な音楽とともに今日のログインボーナス

が受け取れたことを確認する。気付けば時計の短針は長針を追い抜こうとしていることに気づく。やばい。すぐさま洗面台へと走り

体に刻まれた回路を辿るように朝の準備を済ませていく。間に合うか…。クローゼットから学ランを引き抜き玄関を出る。もう何回乗ったか分からない自転車に跨り、今日の始まりを実感し今日初めてのため息をついた。