第14話
「……よし! だいたい終わったかな」
それからしばらく時間が経過し、調理は最終段階に入っていた。キッチンの方から空腹を促す香ばしい匂いが漂い、俺の腹の虫を鳴らせる。それまでに一切の苦を感じさせない摩耶さんの手際の良さは、高校生離れしたものを感じた。
「あとは煮込むだけだし、カレーの方はだいたい大丈夫。付け合わせのサラダを作って終わりってところだよ」
「……すごいですね。俺、摩耶さんの動きに目がついていかなかったです」
「過剰にほめ過ぎだよ。慣れればこのくらい、誰だってできるよ」
あっけない笑顔でそう答える摩耶さんだが、俺にはにわかに信じられなかった。例え摩耶さんと同じ年数を料理に費やしても摩耶さんのようにはなれない、それほどまでに摩耶さんの料理技術は卓越していた。
「遊馬君も頑張れば、私くらいできるようになるよ!」
「に、にわかには信じられないですね……でもまあ、ありがとうございます」
お世辞でもジョークでも何でもいい。摩耶さんにそういった言葉を投げかけられるだけで、俺は嬉しいのだ。だから俺も嫌な顔とかは一切せず、笑顔でその言葉に答えたのだった。
摩耶さんもそれに素敵な笑顔で答えると、一度俺から視線を切って部屋の壁にかけてある時計を眺めた。時計の針は16時くらいを指しており、夕食を取るにはまだかなり余裕がある。これも摩耶さんの手際の良さが要因と言えよう。
「ご飯にするにはまだ早いけど、とりあえず準備だけは済ませておこうか。遊馬君、お皿とか出してくれる?」
「あ、はい! お安い御用です!」
摩耶さんにそう言われ、俺は勢いよく立ち上がる。カレーを作るに至るまで完全に摩耶さんにおんぶに抱っこ、俺はガチで何もしていなかった。そこに申し訳なさを感じるのは当然だった。まあ単純に摩耶さんに頼られていることが嬉しいっていうのもあるけど。
キッチン近くに備え付けてある食器棚から、カレーなどに適した皿を取り出す。一人暮らしを想定した我が家の食器棚は、相変わらず中身がスカスカだ。そもそもコンビニ飯とか済ます関係上、食器を使う機会が中々ない。せいぜいコップと箸くらいだ。そいつらは普段から使うから、テーブルの隅に置いてある。
「……って、アレ?」
「どうかしたの、遊馬君?」
しかしその時、俺はあることに気が付いた。そこまで大したことでもないのだが、俺の声を聞いた摩耶さんも不思議に思い声をかけてきた。
「あぁいえ、ちょっとコップとスプーンが足りないなって思っただけです」
「遊馬君、一人暮らしだもんね。食器が足りないのも無理ないのかも……コンビニとかでスプーンとかもらってこよっか?」
「あ、大丈夫です。確か予備を買っていたはずなので……」
予備の存在を思い出した俺は、どこに置いておいたのか記憶を探る。いつか摩耶さんとこういった状況になると想定し、予め用意していたものだ。つい最近まで摩耶さんと会っていなかったから、その存在をつい忘れてしまっていた。
頭を使いながら辺りを見渡していると、すぐに予備を見つけられた。先ほど取り出した食器があった食器棚の一番上の段に、それはあった。普段は使わず埃が被るのを防ぐため、あまり手の触れない場所に置いていたのだった。
「あ、あそこだね? 私が取るよ、近いし」
摩耶さんもそれに気づき、食器棚の方に近づいた。俺がテーブルの方にいたため、摩耶さんの方が食器棚に近くなっていた。あまり摩耶さんの手を煩わせたくなかったが、この状況で動かない摩耶さんではない。そんなことは重々承知であった。
食器棚を開けた摩耶さんは、見上げた先にあるコップに手を伸ばす。しかし結構デカい食器棚なだけあって、そこまで身長が低いわけでもない摩耶さんでも手を伸ばすので精いっぱいだった。
「け、結構高い位置にあるんだね……」
「俺が取りますよ。余裕で届くし……」
「ううん、大丈夫大丈夫! 届かないとか、ちょっと恥ずかしいし」
あまり無理してほしくない一心でそう提案するが、摩耶さんはやんわりと断った。その間にも頑張って高い位置にあるコップに手を伸ばし続ける。その姿は非常に健気であり、別の意味での可愛らしさがこれでもかと伝わってくる。
とはいえ既に指の先はコップについていた。もうひと踏ん張りしてコップを手繰り寄せれば取れないことはない。摩耶さんもそれは分かっているようで、ギュッと目を瞑って背伸びする。その一生懸命さは素晴らしいの一言であるが、それもあって周りが一切見えていなさそうだ。
だからこそ、その悲劇が起ころうとしていた。
少しでも手を先に伸ばそうと、摩耶さんは食器棚に身体を密着させている。そのせいもあって摩耶さんの魅惑的な双丘が淫靡に形を変えてしまう。普段ならそこに目を惹きつけられて離れないだろうが、今はそれどころではなかった。
俺の視線は、摩耶さんがもたれかかっている食器棚の上。そこには程よく積まれていた段ボールの荷物がある。引っ越した当時に置いておいたものだろうか。既に俺の記憶にはないが、中身などどうでもいい。
摩耶さんが無意識に食器棚を揺すったからか、その荷物の安定性がなくなっていた。今にも食器棚から落ちそうであり、その落下点にはもれなく摩耶さんの頭がある。中身が軽いものだったりそもそも入っていないのならまだいい、もし頭にダメージを与えるような重いものであると考えると……その先の未来を予想した時、俺は心の底からゾッとした。
「摩耶さん、危ない!」
気づいた時には既に行動していた。皿をテーブルに投げ捨てるかのように置くと、すぐに摩耶さんの元へと駆け寄る。しかし俺が一歩目を踏み出した時には、既に荷物の落下が始まっていた。摩耶さんの身体を丁寧にどかせ荷物を支えるだけの時間はもうない。そう瞬時に理解した俺は。咄嗟にある行動を取る。
「えっ……きゃっ⁉」
摩耶さんの口から、悲鳴のような可愛い声が漏れる。それも無理ないだろう……摩耶さんを助けるために、俺は摩耶さんに体当たりするかのように庇ったからだ。おかげで荷物は俺の肩の辺りにぶつかる。幸いそこまで重いものではなかったが、頭に当たっていたら危なかったかもしれない。
しかしハプニングは終わらない。一難去ってまた一難、とはこのことを言うのだろう。割と後先のことを考えず行動したのがマズかったのかもしれない。自らの身も顧みず摩耶さんを庇った俺であるが、その後の身体の制御を一切気にしていなかった。そのせいもあって、身体のバランスを一瞬で失ってしまう。
「わあっ⁉」
「きゃっ⁉」
二人分の声と共に、ドサッと音が部屋に響いた。幸いにも頭を打たなかったから大したダメージではないのだが、それどころではなかった。それほどまでに目の前の状況がヤバすぎた。
今の状況を、ものすごく簡単に説明しよう……俺が摩耶さんを押し倒していた。以上。
(いやいやいやいやいやいやいや⁉)
しかしそんな状況整理程度で、俺の平常心が保てるわけがない。今も俺の心臓は爆破一歩手前だ。絶対にマッハで体調不良を起こすのは目に見えていた。だがこれはしょうがないことだ。この状況に陥れば、誰だって体調不良くらい起こす。
俺の視界に映るのは、床に倒れる摩耶さんの全身。肩からつま先に至るまで、どこを見ても見惚れてしまうくらいのスタイルに、改めて目を奪われる。呼吸のために少し弾む胸の動きが、妙ないかがわしさすら感じる始末だ。
また軽く頭を打ったのか、彼女の目は瞑っていた。そこまで強くは打っていないはずだから、直に目を覚ますだろう。ただその短い時間だけは、俺が何をしたって気づかないはずだ。催眠魔法を使うまでもない。
(こ、これは……チャンスなのではないか⁉)
激しく鼓動する心臓を抑えながらも、俺の思考は真っ白に飛びそうであった。今この状況以上のチャンスが、この先に訪れることがあるだろうか? インキュバスの魔法を絡めないことを加味すれば、ほぼ間違いなくないと言い切れる自信がある。
ならば今がチャンスだ。今なら目標としていたハグはもちろん、キスだってできるはずだ。例え摩耶さんの意識が戻ったとしても、それも朦朧としたものだろう。最悪夢として記憶を改ざんすれば何も問題はない。
シチュエーションは完璧だ、後は俺の覚悟と勇気をもって前に進むだけだ。
(大丈夫だ、大丈夫だ、大丈夫だ……俺ならできる)
心中でそのような言葉を繰り返す俺。もはや言い聞かせでもしないと、ヘタレてここから逃げてしまいそうだからだ。しかしそれだけはダメだ。彼女を我が家に放置することになるし、それ以上に何も変わりはしない。それどころか関係が後退してしまう。このヘタレを治すためにも、逃げるなんて言語道断だ。
恐る恐るといった手つきで、俺は摩耶さんの肩に手を伸ばす。華奢な彼女の肩に触れた時、俺の心臓がまた一段と強く跳ねる。ただ俺はそのまま先へと進んでいく。手に力を入れ、摩耶さんの身体を持ち上げようとする……そんな時だった。
「……んぅ」
摩耶さんの意識が戻ってしまった。ただまだ意識がはっきりしていないのか、とろりとした目つきで俺を眺めていた。未だかつて見たことのない摩耶さんの一面に、俺は思わずときめきを覚える。しかしそんな悠長なことを考えていられたのは、本当に一瞬のことであった。
(ヤバっ……この状況、どう説明すれば……!)
全身から汗が噴き出すほど俺は焦りを覚えた。事故とはいえ、女性を押し倒したことには変わりない。それがどういう意味を示しているのか、年頃の人間の少女ならわかることだろう。
だからこそ焦ってしまう、俺がこういう風にがっつく人間だと思われることが。インキュバスなら正しい姿なのだろうが、残念ながら俺はそう名乗れる存在でもなかった。
「いや、これは、その……!」
なんとか言い訳をしようとするが、するりと言葉が出てこない。至近距離に摩耶さんがいるのもあって、未だかつてないほど動揺している。客観視したら情けない人にしか見えないだろう。
ただそれを後悔する余裕など、俺にはなかった。何故か――焦りも期待も、常日頃から抱く恋慕の感情すら、一瞬にして消失するイベントが、目の前で発生したからだ。
「――うふふ」
妖艶な笑みが聞こえる。鼓膜を通り越して脳みそにこびりつく、甘美と呼ぶべき甘い声。しかしながら脳内で反響し、忘れたくても忘れられない、そんな感覚に襲われる。
声の主は他でもない、摩耶さんのものだ。ただどうにも様子がおかしいのは一目瞭然。しかし摩耶さんはそれだけでは止まらなかった。
「もしかして……抱き着きたかったの? それとも……キス、したかったの?」
「えっ、はぁ……?」
耳を疑った。幻聴ではないのか。そう思ってしまうくらいに、摩耶さんには似合わない言葉。それが鼓膜を震わせ、脳みそすら震わせた・
摩耶さんは誰からも好かれる、聖女のような人だ。優しさの権化としか思えない摩耶さんの性格は、あまりにも出来ている。それこそこういった色恋沙汰の話など、一切出てこない程度に。摩耶さんの家庭事情から考えても、恋愛にうつつを抜かす余裕がないのは確かだ。
だからこそ、この状況はおかしい。何度でも言おう……どうにも摩耶さんの様子がおかしい。摩耶さんの素晴らしい性格から考えても、内心に秘めた欲求という線も薄い。頭でも打ったのだろうか。今目で見えている景色全部が夢、と言われた方が信じるレベルだ。
「したいならしたいって、はっきり言えばいいのに」
しかしそんなのお構いなしに、摩耶さんは行動に移す。ただでさえ距離が近いというのに、摩耶さんは俺の後頭部へと手を伸ばした。そのまま軽い力で自身の胸の方に引き寄せようとしている。既に俺の視線は、摩耶さんの豊かな双丘から離れることが出来なかった。
抗おうと思えばできるはずだ。所詮は男と女の力、俺が無理やり振り切ろうと思えば摩耶さんから離れることなど容易なはずだ。だがそれが出来なかった……そうしようとする思考が、その時の俺にはなかったからだ。
摩耶さんに近づけば近づくほど、彼女の体内から発せられる香りが鼻腔をくすぐる。それだけで焦りの気持ちだったり小難しい思考だったり、そういったのが全部忘れられた。目の前の摩耶さんしか見えなくなるような、不思議な魔力すら感じる。それこそまるで……
(夢魔族の、フェロモンみたいだ……)
もちろんそんなことないのはわかっている。本当に夢魔族なら、インキュバスの俺がその正体に気付かないわけないからだ。だからこそこれは、摩耶さんの特殊すぎる魅力としか考えられなかった。
「私はそれを拒まない……むしろ心の底からしてほしいくらいよ」
愉快な声を出しながら、摩耶さんは俺の顔を強引に向けさせる。その視線の先にあるのは、おそらく俺の唇。そして俺の視線も、摩耶さんの瑞々しく可憐で、宝物のような輝きを放つ唇から目を離せなかった。
「さぁ……その身を私に委ねなさい。絶対に、後悔はさせないわ……」
摩耶さんが言葉を発する。しかしその言葉を俺は認識できなかった。もう摩耶さんとキスすることしか考えられなかった。それ以外の思考や行動を放棄するしかない、そんな欲求に駆られて離れようとはしなかった。
ゆっくりと、俺たちの唇が近づいていく。吐息すら感じる距離まで近づいても、ヘタレの俺は逃げない……否、逃げられなかった。そのまま摩耶さんの花びらが押し付けられるその時まで、俺は待つことしかできなかった。
しかしその初めての経験を、俺は味わうことが出来なかった。
「……あ、れ? 私……」
近づいてくる摩耶さんの顔が止まり、声を漏らす。その声色は寝起きのようなまどろみを含んだものであった。どことなくとろんと光を失っていた目も、はっきりと俺の顔を捉えていった。
「……えっ?」
そしてすぐに珍妙な声が摩耶さんから上がる。摩耶さんの顔がリンゴのように真っ赤になり、見たこともない慌てた表情に変わっていく。さっきまでの余裕で甘美な雰囲気は、もうどこにもなかった。
「――いやっ⁉」
しかし動揺していたのも束の間、悲鳴のような声を出しながら摩耶さんは上に覆いかぶさる俺を突き飛ばす。突然のことに俺もどうすることも出来ず、非力な摩耶さんに押し返されるだけであった。突然のことに受け身を取ることもできず、壁に頭をぶつけてしまう。
俺と一定の距離を築いた摩耶さんは、すぐにハッと我を取り戻す。そして倒れ込んだ俺を見て、真っ赤になっていた顔を青くした。理由はどうであれ俺を突き飛ばしたのだ、摩耶さんの優しい性格から考えてもそうなるのは目に見えていた。
「ご、ごめんね! わ、私……遊馬君のこと突き飛ばして……!」
「い、いえ、摩耶さんが悪いわけでは……」
「私、自分でも何が何だか、わからなくて……!」
あまりの動揺具合に、摩耶さんの耳に俺の言葉が届かない。摩耶さんも摩耶さんで謝罪をすることで頭がいっぱいになり、俺の顔すら見えていない。お互いが平常心を失っているからか、もはや自体の収集は不可能であった。
「……ほんとにどうしたんだろ、私。もうわけわかんないよぉ……」
何やら小声で呟いているようにも聞こえるが、いかんせん摩耶さんの声が小さすぎてよく聞き取れなかった。大方、自分を追い詰めているような発言だろう、摩耶さんとはそういう人なのかもしれない。
とにかくここから普段通り過ごすというのは、俺も摩耶さんも無理な話だ。一刻も早くこの気まずい空気から抜け出したい、きっと摩耶さんもそう考えているに違いない。
「――私、帰るね!」
先に動いたのは摩耶さんだった。バッと立ち上がった摩耶さんは、慌ただしく帰宅の準備を始める。その際、俺の顔など一切見ていなかった。
「カレーはだいたい出来ているから、後はお米を炊けば大丈夫だよ! そのくらい、遊馬君でも出来るって信じてる!」
「ま、摩耶さん……」
「さ、さっきのことは忘れてね! 私もなんであぁしちゃったのか、わからなくて……」
せめて摩耶さんとの認識合わせをしようにも、摩耶さんは俺との対話を拒否している。とても話をしてくれる様子すらなかった。たったそれだけなのに、寂しさが突然襲い掛かった。
「そ、それじゃあまた、学校で! さよならっ!」
「あっ、摩耶さん……!」
そして俺にしゃべらせる余裕すら与えることなく、摩耶さんは荷物をまとめて我が家を出ていった。まさにあっという間の時間であり、俺はどうすることもできない。ただ帰っていく摩耶さんの後ろ姿を見つめるだけだった。
摩耶さんがいなくなったことで、我が家には静寂な空気が流れる。聞こえるのは今も温め続けているカレーの火の音くらいだ。つけっぱなしは火災の原因になるから今すぐ止めないといけない。そうわかっているはずなのに、俺の身体は一向に動こうとしなかった。
摩耶さんからの拒絶……ではないのは確かだ。状況が状況とはいえ、何も起きていないのに摩耶さんが怒るとは考えにくい。もし本当に怒っているとしたら、ビンタの一発くらいはもらってもおかしくはない。
だがそれだけだ。事故とはいえ避けられたことに変わりはない。仲を深める絶好のチャンスだというのに、それを活かせず後退してしまう。しかしそんな悪い未来すら想像するほど、俺にも余裕はなかった。
「摩耶さん……」
摩耶さんに逃げられた。そのことで頭がいっぱいになり、それ以外のことは考えられなかった。その現実を受け入れるには、俺の心の強度はあまりにも弱すぎる。ヘタレとかそんなの関係なしに、俺のメンタルは深く簡単には治りそうにない傷を負ったのだった。
結局カレーは一人で食べた。摩耶さんが作ってくれたのもあって、ちょうどいい辛みのある美味しいカレーだった。しかし俺の舌が感じたのは、どこかしょっぱい味付けであった。皿の周りを涙で濡らしたのは言うまでもない。
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