熱中症ブリッジのち、満腹休暇
「ぐ……う……おはよう……ございます……」
吾輩は猫である。そして
話は
おそらくそれらすべてが積み重なったのだろう。
「きもちわるいー」
と言いながらしばらくシャワーを浴びていた。
そして、冒頭に紹介した有り様なのである。
「熱中症……みたい……で……休みたい……でぐ……」
苦しすぎて、「です」が「でぐ」になってしまっている。調子悪そうだねという声がスマホから聞こえてくる。
「はい……ちょっと……苦しい……でぐ」
苦しいのは
吾輩はどうにも
そもそもブリッジをする必要性はまったく無いのである。会社に電話をするなら普通に電話すれば良いのだ。いくら気持ち悪かったとはいえ、このような
さて、
だがそもそもだ熱中症と苦しいというのは関係する症状なのだろうか?熱中症の時に苦しいというのは、吾輩は
「はいすいません、よろしくおねがいしまぐ……」
ぷつっ。
「ふぁー」
電話を切ったと同時に全身を脱力させ、お尻をどすんとベッドに落とした
「ねこー。そんなジト目で見ないでよぉ。熱中症になったのは、ほんとなんだからさぁ」
「ブリッジは演出よ。えんしゅつ♡」
「おなかすいちゃった♡」
安心したら腹が減ったようである。朝食を抜いているので無理はない。主はさっきまでの苦しそうな様子が嘘のように立ち上がり、すたすたと台所に行く。大丈夫なのであろうか。しかし主は鼻歌交じりで冷蔵庫を軽やかに開けた。
吾輩は
観察してみると、吾輩が確認出来ただけでも、ほうれん草、トマト、レタス、ハム、納豆パック、キムチのパック、
「冷やし中華食べたいけどなぁ。作るのめんどいしなぁ。朝はとりあえず豚丼にしよ」
豚肉は夏バテ予防に適した食材である。ビタミンB群が含まれているので、炭水化物などの糖質をエネルギーに変えてくれる。つまり疲労感やだるさを防ぐ食材なのである。
「納豆も食べたいな」
主は納豆も用意し始めた。そうなるとこれは納豆と混ぜる付け合わせも考えねばなるまい。納豆の付け合わせとして冷蔵庫にあったもので適しているのはキムチである。おそらく納豆キムチになるであろう。これには吾輩も上機嫌になって来る。
納豆キムチも豚キムチも、これは両方にキムチがくっついている。つまり、納豆豚キムチはおそらく味としては
ましてや豚肉は簡単な生姜焼きのような味付けをしている。これは一体どのような味になるのか楽しみでならない。
吾輩はすでに
主は納豆を取り出し良く混ぜ、キムチも取り出してこれも納豆と良く混ぜて行く。そしてあつあつのご飯の上にかけると、そこに生姜焼き風の豚肉もかけていく。朝から豪勢であるが、猛暑の中働く場合は特に、朝食はこのくらい
しかし納豆キムチ豚丼からは、確実に旨そうな匂いが漂ってきており、吾輩は思わず前足で主の膝の辺りにしがみつき、吾輩の正当な主張をするに至った。
「
「だめだよー。キムチにはネギとかニンニクも入ってるんだからねー」
現実は厳しい。世の中は
しかし他にも問題はある。
「んー♡美味い美味い。んぐ♡」
駄目だ。もう食べてしまっている。間に合わなかった。ほうれん草には鉄分が入っていて夏バテに――
「はふはふ♡」
納豆とキムチと豚肉は
そして、この後も夏バテ対策の食事を摂って行かねばなるまい。
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