第11話 大穴

 アリアのショットガンの連射により特殊個体の装甲は砕け剥がされていく。

 だが…特殊個体もまたただやられるはずも無くアリアに向けその口を大きく開き光を収束させレーザーを放とうとしていた。

 

 アリアは空中にいる為、回避行動すらも取れる状況には無い。

 

 特殊個体の光弾が放たれる寸前。

 アリアは狙う場所を変え共に落ちている瓦礫に向かい銃の引き金を引いた。

 

 「まずい…このままだと彼女が……」

 

 ローズは特殊個体のレーザーに焼かれ消えた脚に手を当て次の瞬間に映るであろう光景を想像し顔をくもらせる。

 

 だが次の瞬間、アリアの撃った瓦礫が大きく爆発しその衝撃波で特殊個体の狙う照準を大きくずらし回避してみせた。

 

 「まだです!!」

 

 アリアは次々と同様に予め仕掛けておいた爆薬を狙い撃ち爆発を誘発させていく。

 特殊個体はグラつき上手く狙う事ができないようで光線をアリア同様に次々と放つがそれらは何も無い空へと消えたり隣接するビルへと、ことごとく外れついにはアリアの接近を許す。

 

 「はぁああああああ!!!」

 

 アリアは特殊個体の頭上より衝突しその口めがけ何発もの弾丸を口内で全て打ち尽くすまで放ち続けた。

 

 ギギギギギギ…

 

 特殊個体の断末魔の様な音が聞こえると同時にアリアは地面と衝突し5点着地で着地の衝撃を5等分にしふらつきながらも見事に着地して見せた。

 

 「速く!! 今のうちです!」

 

 アリアは腰につけているバックパックに手を伸ばし倒れているローズを見やり後ろから走ってくる二人に顔を向ける。

 

 「ローズ! 爆薬を寄越せ!!

 あいつが怯んでる今がチャンスだ!!」

 

 それはラベンダーと名も持たない女性の機械人形だった。

 

 「ラベンダーさん!!

 私にも手伝わせてください!

 私が招いてしまったビーストです!

 自分の事は自分でかたをつけます!!

 もう一つの爆薬を私に!!」

 

 ラベンダーはローズが投げた2つの爆薬を受け取りもう片方を投げ渡しす。

 

 「よし!ならやってみせろ!!

 お前はあいつの後ろに回り込んで地面に設置!!

 私は前をやる!!」

 

 アリアはその行動と言動を見て聞き全てを察した訳ではないがSGに弾を数発込め終わるとすぐさま特殊個体に向け引き金を引き注意を自分に向けさせた。

 

 「すまん!! 

 助かる!」

 

 アリアの援護もあり、走り出した二人は素早く特殊個体の下に走り込み爆薬を最小限の動きで地面に設置し離脱する。

 

 それを見計らいローズは躊躇することも無く起爆のスイッチを押す。

 

 ドオオオォン

 

 と今まででの戦闘で一番大きい爆発音と同時に地面がひび割れ地面に暗闇が広がった。

 

 しかし特殊個体は足を踏み外したが片腕でぎりぎり地面が崩れきれなかった端に捕まりぶら下がる。

 

 アリアは残り1発の弾を素早く銃に込め暗闇の中にぶら下がる特殊個体に向け放った。

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