第9話 死地

  ローズは決意を胸に一人強大な敵に対峙する。

 

 当然ただでやられるつもりは毛頭も無いが爆薬を腰に携帯し最悪自爆してでも食い止める。

 

 「リリー!!

 貴方は指揮官を護衛しビーストの包囲を突破しなさい!!

 この特殊個体は私が食い止めます!」

 「了解!」

 

 リリーはグレネードランチャーでの爆撃を中断し素早く後方へと下がり駆けて行った。

 

 目の前に立つ大型のビーストはローズを目で捉え大きく口を開いた。

 

 ギィイイイイイイイ!!!

 

 ビースト特有の音…。

 耳をつんざくとても不快な音。

 

 体勢を低く構えいつ戦闘が起きても大丈夫なように備える。

 だがここでローズにとって予想外な事が起こった。

 

 一瞬特、殊個体の口が光ったかと思った瞬間、轟音と熱を感じそして体が自然に崩れ落ちた。


 「なにっ…これ…!?」

 

 見た事も報告にもない攻撃。

 

 だが…あくまでフィクションの世界でなら聞いたことがある。

 光学兵器…。

 

 「まさか…レーザー…!?」

 

 一瞬にして感覚の消えた足を確認すると足は溶解しレーザーが貫通し穴が大きく空いていた。

 

 つ…想定外です、まさかここまでの技術を搭載している個体がいるなんて…。 

 

 リリーと戦闘していたときも仲間の生存機を追い回していた時も…本来の能力…機能を使用していなかった。


 まさか…遊んでいた…?

 

 特殊個体のビーストを見るとただの装甲があるだけで表情などは無いが確かに何処か笑っているように見えた。

 

 「あるとしても…外装と動作を飛躍的に上げた程の個体と思ったんですが…」

 

 本当に今日は…自身の無力さを痛感させられる日です…。

 

 あの何が起こったのかもわからないほど一瞬に中隊を壊滅させた未知の人形ビーストと言いこの大型ビーストと言い。

 

 全く…ほんとうに…。

 

 数十年と奴らと戦い続けてきた…。

 だが奴らの底が未だに…見えずにいる…。

 

 「一体……。

 私達は何と戦っているんでしょうかね」

 

 腰につけた爆薬を起動させようと腕を伸ばし手をつけ敵を見上げたその時。

 

 ビルの上が爆発し

 複数の残骸がビルの上から降り注ぐ光景を目にした。

 

 ……

 

 「ここから先は危険ですから隊長はここで待っていてください」

 

 安全を確かめた、地下鉄のホームのベンチに座らせ壁にゆっくりと持たれかからせアリアはそう言った。

 

 自分の事は大丈夫だと言ったのだがアリアがそれを譲らなかった為多少時間を潰してしまったがそのおかげで安全性は確保された。

 

 「では行ってきます」

 

 そう告げアリアは携帯用の灯りを渡すと、走って地上へと向かい暗闇の中へ消えた。

 

 そして現在アリアはビルの屋上にいる。

 音がしていた地点へ到達したが、余りにも激しい戦闘音だった為に状況を把握しようとビルの上階へとのぼり偵察を試みた。

 

 ビルの上階に達し戦況を確認した時。

 

 巨大なビーストが生存した部隊と戦闘を行っている事を確認しアリアは行動を起こす。

 爆弾をビルの支柱に設置し途中で収集した爆発物を含む携帯した爆薬をそれぞれ配置させた。

 

 下にいる味方が巻き込まれぬようタイミングを伺っていたがローズがレーザーで撃たれた瞬間。

 タイミングを測る計画を変更し急ぎ作戦を実行へと移した。

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