第8話 戦場

 「まずいです、指揮官!

 もう弾がそこをつきます!!

 早く指示を!!」 

 

 フラワービューティーズの指揮官であるレオナは考えをまとめ打開策を模索していた。

 

 リリーのみが武器を所持している状態だ。

 おそらくリリーの武器ならば包囲を突破できる…だが、それを大型のビーストが許しはしないだろう。

 

 ならどうすればいい?

 誰も犠牲にならない選択肢は…?

 

 「指揮官…作戦がある」

 

 判断できずにいるレオナを一瞥しローズが口を開いた。

 

 「何?言ってみて…」

 「私の爆薬とラベンダーの爆薬を使いでかい爆発を起こします。

 地面をスキャンした結果、地下に大きな空洞がある事を確認しました。

 爆発を利用しこの地面を砕いて奴を落とします。

 あとは指揮官達がリリーと共に行動してください

 そうすればリリーの火力で包囲を突破できるはずです」

 

 そう言い終わるともう他には何も言わずラベンダーに爆薬を要求する様に手を差し出した。

 

 「悪いがローズ…渡せねぇよ…。

 お前…自身を囮にした上でその作戦とやらをやる気だろ?

 私とお前の古い仲だ…隠すんじゃねぇよ。

 お前一人が犠牲にならなくても俺らでやれば何とか…」

 「いや…もうリリーに無駄弾を使わせる訳にはいかない。

 それに何より…時間がない…。

 時間をかければ爆薬を設置して入念に計画準備が出来るけどそんな時間はない。

 確かに私達が力を合わせればあの大型を倒せるのかもしれない…。

 でも…その頃には周囲にいるビーストの群れに包囲殲滅される。

 それにこの作戦は一回だけのチャンスしかない絶対に…失敗はできない」

 「なら俺が変わりにやってやる!!」

 

 ラベンダーはそう声を荒げるがローズは冷静そうにため息をつくとラベンダーそして自身の指揮官であるレオナを真っ直ぐに見た。

 

 「それもだめ…。

 この作戦は私が一番成功確率が高い。

 それに私はこのフラワービューティーズのリーダーだから…」

 

 ラベンダーはそれを聞くと目をそらし無舌打ちをすると爆薬をローズの手に渡した

 

 「ラベンダーありがとう…指揮官を頼んだよ…。

 さて指揮官…いや…レオナ。

 こっちは話がつきました。

 この選択は私が死ぬか皆が死ぬかだ、他に選択肢はありません。

 だから…生きてくださいレオナ」

 

 レオナはローズの言葉を何も言わず拳を握ると背を見せた。

 

 「ごめん、馬鹿な私のせいで」

 「気にしないでください、いつものことじゃないですか、そう貴方が小さいまだ子供の時に出会った時から…」

 

 ローズは微笑みリリーが戦闘を行っている場所へ歩き始めた。

 

 「ローズ、指揮官命令よ。

 必ず生きて帰還しなさい」

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