第2話 無くした物
ドン!!
という唐突な強い衝撃が身体に走る。
「…心拍の安定化を確認…」
……
かすれた視界、甘い香りと上下に動く揺れで目が覚めた。
「ここは…?」
見覚えのない景色…。
そこは山道を下る峠。
地面にはアスファルトが見え車の部品や石が散乱し前方には崩壊したビル群が見えた。
「隊長…目が覚められましたか?
今現在、中央司令部との連絡は取れず その上、隊長が意識不明だった為私の独断で当初予定されていたランデブーゾーンを目指し移動しています。
隊長…命令をお願いします」
揺れる背の上、体中に力が入らずただ彼女の肩に顔を乗せることしか出来ない自分に彼女は微笑み命令を求めている。
いったいこれはなんだ………。
なぜ自分はこんな状況に…。
「ああっ!!…頭が……」
「頭が痛むのですか!?」
何が起こっているのか思い出そうとした瞬間強烈な痛みが頭を襲った。
そして気づいた。
自分が何者で何という名かそして自分を背負い歩いている彼女が誰なのか…。
分からない…何一つ…。
何も思い出せない。
彼女は私を地面におろしコンクリートの壁に背を優しく預けさせると心配そうにそして入念に頭を調べている様だった。
頭に巻かれた包帯を調べ何やら青い光を当てられスキャンもされた。
「しっかりとした検査ではありませんが頭は死に至る問題はありません。
しかし…設備が整った場所でなければ正確な検査はできません。
早急にランデブーゾーンへ向かい現地の展開している部隊と合流。
その後、中央司令部に救援を求めましょう」
彼女は不安そうにしていたが、何故か彼女の顔を見ていると落ち着く事ができた。
「隊長?
何か私の顔についてます?」
彼女は照れくさそうに髪をいじり直しながらそう聞いてくる。
「綺麗だ…」
「え…私の…事ですか…?」
そう聞かれ頷くと、彼女は頬を赤らめそしてとても嬉しそうに笑いそして恥ずかしそうに目をそらしている。
「君の名前は…?」
だが…次の質問で彼女の表情は動揺へと変わっていた。
「あの…失礼ですが隊長…隊長のお名前と所属をお答えください……」
なぜかそう聞く彼女の声はどこか震えていた。
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