第30話 新たな遭遇
アメリアとの相談を終えて、食べられる野草をいくつか集めた。俺は野草を食べながら、アメリアと一緒にオスカーを探している。
「結構離れた所まで探しに行ってるのかしら?」
二手に別れて探しているオスカーは、辺りを見渡しても見つからない。もしかしたら、食料として
以前、試作型を食べたことをアメリアに話したら、人体に害のある物は、排除されるように進化しているから食べても問題ないらしい。それを聞けて安心した。
「そういえば、アメリアも腕を変形出来るの?」
オスカーは、腕を変形させて試作型と戦っていた。だけど、アメリアが身体の一部を変形させるのを見たことがない。
「出来ないわよ。私は、オスカー達と違う役割で
違う役割?
「それって…?」
疑問を問いかけるとほぼ同時に、離れた場所から地面を叩きつけるような音が響いた。
「なに?今の」
「オスカーかもしれないわ」
もしかしたら、オスカーじゃないかもしれない。だけど、どのみちオスカーと離れた場所にいれば危険だ。二人でそう判断して、オスカーを探しながら、音の聞こえた方に向かう。
早歩きで音の発生源に向かう間も、引きずるような音や、叩きつけるような音が続けざまに響いている。
「戦ってるの?」
「そうかもしれないわね…だけど…」
妙に歯切れが悪いような返答には、少し納得がいく。
試作型と戦っているとしても、今までこんな音を聞いたことがない。しかも、これほど戦いが長引くことはなかった。
「苦戦しているのかな?」
試作型との戦闘は、いつも鋭い爪で引き裂いていた。その一撃で、試作型は倒れて戦闘が終わる。だから、音の正体が、オスカーと試作型の戦闘であるなら違和感がある。
「見つけた。あそこよ」
アメリアの指さす方に視線を向ける。すると、腕を変形させたオスカーが、跳躍を繰り返して、何かを避けている姿を捉えた。
「戦ってる?」
視線でオスカーを捉えた時の光景は、戦闘を行っているようだった。しかし、その相手は、試作型と異なる物のようだ。
先ほどから、オスカーが跳躍を繰り返して避けている物は、そこらに散乱している瓦礫の一部だった。それが何度もオスカーに目掛けて宙を舞っている。
叩きつけるような音の正体は、瓦礫が地面や壁にぶつかることで起きているようだ。
しかし、そんなことよりも、オスカーが今、相手取っている物の方が注目される。
「あれは…
共に様子を伺っているアメリアは、放出される瓦礫の発生源に視線を向けたまま呟いた。
新たに聞く言葉。現在オスカーが戦っている相手のことのようだ。
第一世代と呼ばれた物は、試作型と違い二足歩行のように二本足で立っている。試作型と比べると人間のようにも見える。だけど、その姿は、人間と呼ぶには歪な形状をしていた。
腕は左右で大きさが異なっている。右腕は長く、立っているのに地面まで届いており、反対の左腕は、胴体ほど太く、手のひらは、人間を鷲掴みできそうなほど膨れている。
「第一世代ってなんなの?」
異形な存在に対して、既知の反応を示したアメリアに説明を求める。
「あれも進人種…元々人間だった、終末暦の当事者よ」
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