第14話 入口探し

 「たぶん、この辺りかな?」


 そう言いながらオスカーは、辺りを見渡している。


 起きてすぐに移動を始めたので、思いのほか早く目的地周辺に着いたようだ。だけど。


 「見渡す限り瓦礫しかないじゃん」


 目的地周辺と思われる場所は、凹凸の少ない大地に、瓦礫が散乱している空間が広がっていた。


 「本当にこの辺りなの?」


 「一応、あれが目印になるんだけど」


 そう言ってオスカーが指をさす方へ視線を移動させると、3本の棒のような物が、空に向かって伸びているのが目に映った。


 棒の先端には風車が付いていて、風を受けて回転している。


 オスカー曰く、あれは風力発電という物らしく、風で風車が回る力を利用して、電気という物に変換しているようだ。


 研究施設では、電気を大量に使用するので、近くにあのような装置が建てられるそうだ。


 「じゃあ、あの周辺を探すしかないの?」


 「・・・男の子だから、頑張れるだろう?」


 なんだか最近子供扱いが増えてきた気がする。昨日の三匹のこぶたの話しも、子供向けの話しだったし。


 立ってるだけじゃ施設の入口は見つからないので、仕方なく探すことにした。


 試作型プロトタイプに出くわすかもしれないから、手分けせずに二人で一緒に、辺りを見回しながら探してみた。


 「入口の目印になるものとかないの~?」


 少し疲れてきたので、気の抜けたような声になってしまう。


 「硬い扉のような物があると思うだけど」


 少し曖昧な返事が返ってきた。たぶん知らないんだろう。


 退屈になってきたので、近くの小石を蹴っ飛ばしてみた。すると、小石の落下した場所から(カツン)という音が響いた。


 明らかに土に落下した音ではない。


 その音を聞いた俺とオスカーは、互いに顔を見合わせてから、小石の落下した場所に移動した。


 「オスカー、これって」


 そこには、地上で何度か見たことがある、鉄という材質の扉が、瓦礫に埋もれながらも僅かに姿を現していた。


 「良くやった、ルカ、後で抱っこしてあげるよ」


 褒めてくれるのはいいけど、子供扱いはやめて。

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