第12話 知りたい事
眠る前にした話。目的地につけば同行者が増える。そして、その人はオスカーと同じ
進人種《サクリファイス》は、オスカーだけだと思っていたけど違った。
地上に出てきてから、オスカーと
進人種は他にも(大勢いた)オスカーは、過去形でそう言った。大勢とは、どれほどいたのだろう?
過去形ということは、人数は減っているんだと思う。オスカーの仲間だったなら悲しそうなのも納得がいく。だけど(やるべき事)そう言って悲しそうにしていたのが結びつかない。
もしかしたら、その理由は別々のものかもしれない。
地上に出てから、起きる度に深く考え事をしている。というよりも、オスカーに出会ってから,と言った方が正しいかもしれない。
考え事の対象が、オスカー本人だからだ。目を覚ましてからも「おはよう」と普通に挨拶をしてきた。もう悲しそうな雰囲気を感じない。相変わらず無表情のままだ。
睡眠を必要としないオスカーは、俺が目を覚ますまでずっとそばで待ってくれているようだ。試作型に襲われないように、見張りもしてくれている。
俺と会うまでは、どうしていたのだろうか。休息だけとって、地上を移動しながら遭遇した試作型と戦うだけの生活をしていたのだろうか。
恐らく、目的地があるということは、ただ地上をさまよっていただけではないはず。40年の間に目的を見つけて行動し始めた。そこで、俺と出会った、というのがしっくりくる。
「そろそろ行こうか」
オスカーに出発を促されて、思考を中断する。
「うん、わかった」
軽く返事だけをして準備をする。
食料は、昨日食べてしまったからもう残っていない。
どうしよう。地下では、作物を育てていたから食料を調達出来ていたけど、地上では、移動し続けているから地下のようにはいかない。
とりあえず、オスカーが待っているから、移動しながら考えよう。
「お腹すいた」
その考えは甘かった。
移動をはじめてから、結構な距離を歩いていても食料になりそうな物は、見つからなかった。
「すまない、僕は食事の必要がないから忘れていた」
オスカーが謝罪をしてきたけど、食料の相談をしなかった俺が悪い。
進人種は、食事の必要がないので、空腹という概念を忘れているようだ。
「いいよ、俺の危機管理不足だから」
「僕にも、空腹の感覚があれば気づいてあげられたんだが」
心なしかしょんぼりして見えるオスカーを尻目に俺は、地面に座って項垂れている。
空腹で力が入らない。元々少ない食料で、地下という限られた空間でしか活動していなかった俺は、体力が低いらしい。
地上で生活する以上、食料問題はかなり深刻だ。
これからどうしようかと考えていると近くを試作型が通りがかった。
「丁度良かった」
そう言ってオスカーは、試作型を狩りにいった。そして、その試作型を爪で捌いてから、火を熾してて炙りだした。
進人種は、人間に比べて高い身体能力をしているからか、木をこすって火を熾すのもあっという間だった。というか試作型って食べれるの?
オスカー曰く、火を通せば大体大丈夫らしい。
適当な感じがしたけど、美味しかったから、まぁいいや。
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