第1章

第1話 少年は求める

 どうせいつかは、死ぬんだ。


 だったら、退屈な地下にこもってないで、楽しいことを探して旅に出てもいいじゃないか。


 地上は危険な所だと、獣たちがうろついているから、地下から出てはいけない。


 そうやってみんな地下にこもったまま、ただ繰り返すだけの日常を過ごしている。


 この俺、『ルカ』も物心ついた頃からみんなと同じように過ごしている。


 目を覚ましたら一日の始まり、あまり育ってくれない作物の世話をして、地下に住む人たちと交代で見回り、少ない食料を分け合って食べたら、後は自由に過ごすだけ、もちろん地下の中だけでだ。


 そんな地下での生活を12年ほど続けてる。


 いい加減うんざりだ。


 地下に住む仲間に一度聞いたことがある。


 「毎日同じことの繰り返しで退屈じゃないか?」


 そうして返ってきた言葉は。


 「もちろん退屈だけど、生きるために必要なことはやらなきゃ死んじゃうよ」


 なんだ、やっぱ退屈なんじゃん。


 みんな同じなんだ、退屈な毎日をただ繰り返しているだけ。


 ただ生きているだけの生活、何の変化もない地下。


 このままここにいれば、死ぬまで生きるだけの毎日を、一生過ごすことになる。


 地上に出てみないかと誘ったこともあるが、獣に襲われたくないだの、死にたくないだのとみんな同じような言葉を返してくる。


 中には、「ルカは、死にたいの?」なんて言ってきた奴もいたけど、もちろん死にたい訳じゃない。


 ただ死ぬまでに、楽しいという感覚を味わいたい。


 物心がついた頃、作物の育て方や、言葉を教わった時は、知らないことを知るのが、仲間と会話をするのが楽しいと思う時期もあった。


 ただ毎日同じことを繰り返していれば、楽しいと思うことも無くなってきた。


 変化のない地下にいては、この先も新しい何かを知ることも、体験することもできないだろう。


 どうせいつかは死ぬ。


 だから俺は地上に旅に出ることにした。


 だってこのままだと退屈で死にそうだから。

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