雲類鷲紅の場合

 雲類鷲うるわし紅は1年前、大学在学中小説を書き、書いた小説が優秀賞を受賞し、紅はそれ以来大学に行ったり小説を書いたりする毎日を送っていた。

 そんな紅を支えているのは、恋人の長曾我部寛だった。長曾我部とは、3年前8人のスターに所属していた時に知り合った。

 その時から紅は優しい長曾我部に惹かれていた。


 紅はこの夏、自分がいた8人のスターを基にした小説を書き上げ、出版した。

 出版された際、紅はTVのインタビューを受けた。紅の作品を読んだと言う番組の司会者の俳優は

「作品、拝読しました。素晴らしかったです。一ついいですか?」

「はい」

「拝読して作品が全体的にリアルでしたし、まるで8人のスターにいたみたいな表現でしたが、これはどう言う事でしょう?」

 俳優からそう聞かれ、紅は言葉に詰まった。自分が8人のスターだった事は今まで話さなかったからだ。

「それは…」

「それは?」

「えっと…」

 だが、紅は隠しても話にならないと思い勇気を出して

「私は8人のスターでした!黙っていて申し訳ございませんでした!」

 紅からの突然のカミングアウトに俳優は

「雲類鷲さんが?まさか⁉︎」

「事実です。私は8人のスターの夏目雅子でした」

「雲類鷲さん…」

 俳優は返答に困ったが、思い出したように

「雲類鷲さん、20歳ですよね…。確か8人のスターのメンバーは、三波伸介と夏目雅子は10代の若者だったし、3年前だったから…。雲類鷲さん、17歳の時ですね?」

「はい、仰る通りです」

「脱線して申し訳ございません。詳しく聞かせてください」

 俳優は前のめりになり、紅の話を聞こうとした。


 インタビューから数日後、長曾我部とデートした。長曾我部から

「紅ちゃん、まさかカミングアウトすると思わなかったよ。けど、潔くてよかった」

「ありがとう。寛さん」

「さぁ、インタビューお疲れ様って意味でこれからご飯食べよう!」

 長曾我部はそう言って紅の横を歩いた。

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8人のスター I miss you 目黒恵 @meguro831

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