第29話 堕天使ルシファーさん(イリーさんて何者?)
ダンっ!
ぼこ!
ダダダっ!
ときどき、ドーン音が鳴り響き、壁から砕けた石が落ちていきます。
頭上をオサキさん達が飛び交かって戦っています。
オサキさん達は豪速で移動するので、ところどころで空気が歪んで天井がボヤけてみえてます。
「やりやがったな!」
猫魔王さんの姿が見えました。ヒョウさんに頭を掴まれています。
こめかみには鋭い爪が突き刺さっています。
猫魔王さんの腕の長さではヒョウさんの頭を掴み返せません!
謙信さんがチラリと猫魔王さんをみると、刀で空を切りました。
すると刃の形をした閃光がヒョウさんの顔を切りつけました。ヒョウさんが怯む瞬間を見の逃さず、猫魔王さんはつかまれている手を抱え、下半身を振り上げて両足キック!
やっと、ヒョウさんのアイアンクロウが逃れられました。
ヒョウさんがアイアンクロウなら、猫魔王さんはやっぱり猫パンチ(可愛い癒系ではなく武闘派猫パンチ)
ヒョウさんの後ろ足に乗りお腹にパンチパンチパンチ!
猫パンチの一発はさほどの威力はありません。
しかし、一分間に1800発打ちつけるパンチはまるでバルカン砲!
全てのものを砕きます。
ヒョウさんの闘志まで砕かれ、萎えていく様子がわかります。
突然、ミミズクさんが執事姿で現れ、持っていたステッキの先を猫魔王さんに向けました!
〜達よ、われに従属し力を貸すが良い…業火に焼かれろ、ファイヤー!
あっ使い魔が詠唱して魔法を使ってるし(-。-;
別に禁止されてはいないけど、生意気な行為です。
あ〜あ、そんなことしてるから…
ステッキを持った手を、おさきさんに噛みつかれました。
S級使い魔vs神使•魔王
なんか、こちらは勝負がつき始めているようです。
猫魔王さんは余裕で火の粉を払ってます。
ヒョウさんは深呼吸をしたり、息を整えるのが精一杯です。
ミミズクさんは腕を引きちぎられそうになってうめいてます。
ピコンピコンピコンピコン•••
あっ謙信さんのカラータイマーです。
いや、keiさんのカラータイマーです(・_・;
もうすぐkeiさんの体力が尽きてしまいます。
ルシファーさんはどこから出したんだか、賢者のような杖で謙信さんの刃を交わしています。ときどき、その杖で攻撃系の魔法を打つのですが、刀から結界が張られているようで謙信さんには届きません!
ルシファーさんは傷だらけです。
これ以上に出血すれば死んでしまうでしょう。
魔法で傷口を塞いでいるようです。
「おっと、その光るペンダント。まえに見たことあるぞ。その男の体の限界を示しているんだったな。」
「今回はkeiも頑張っんだが残念だ!」
素早くイリーさんが謙信さんに寄り添いました。
「あの謙信さんですか?はじめまして!私はイリアという者でこの国の王妃です。最近keiさんのお友達に加えさせてもらいました。よろしくお願いします。」
どんな状況下でも、剣士は挨拶を欠かしません。
「これは美しい方だ。私は日本の戦国時代に武将をしておりました上杉謙信と申す者です。keiともどもよろしくお願いいたす。」
イリーさんはルシファーさんを睨んでいます。
「あとはお任せください。そのお刀をお借りしても良いですか?」
えっ日本刀を使うの?
「娘さんにはちょっと長いかも知れぬがお使いくだされ。」
がくっ!
あっ謙信さん倒れた。いや謙信さんじゃなくkeiさん倒れた!
「堕天使ルシファーは魔界の王。サタンとも呼ばれてるわね。あなたは何故、そのルシファーを名乗っているの?」
刀から閃光が走っています。
でも、刀を構えずイリーさんは堂々とした態度でルシファーさんに問いかけます。
「…。」
ルシファーさん、黙秘。
中二病だからです!って、さめが答えてしまいました。
しかし、大丈夫でしょうか?
封印の穴がイリア像で完全に塞がれ、ルシファーさんは魔力全開です。
真正面から刀で挑んで、イリーさんに勝算があるのでしょうか?
でも謙信さんの刀は、keiさんの魔力をまとっています。
謙信さんを守っていた結はあの刀が作っていました。
keiさんの体力がもてば、謙信さんはルシファーをやっつけていたはずです。
オサキさん達は使い魔さん達を縛り上げ、いつでも戦闘に加われます。
勝算はあるのかも…
「ルシファーさん!」
イリーさんがルシファーさんを呼びます。
「なんだ!いま名前の由来なんて、どうでもいいじゃないか!」
まぁ、どうでもいいと言えば、たしかにどうでもいいですねw
「あなたじゃないわ。ルシファーさんいるんでしょ!」
ええっ、どこのルシファーさんを…
背中に悪寒が走りました(・_・;
「おれはどこにでも存在する!何の用だ、イリア!」
何かが現れました。
その凶々しい力に押し潰されそうです。
「お久しぶりです、ルシファーさん。紹介したい人がいるんです。この人!」
イリーさん、誰と話してるんですかー?
さめは身体が震え始めました。
「この人は、ここにいる8000もの人を使役して、悪巧みをしていたんです。魔力もそこそこです。」
イリーさんっだいぶ盛ってます。
「ルシファーさんの信望者なんです。配下の末席に加えていただけませんか?」
イリーさんてば、嘘ばっかり!
「えっ堕天使ルシファー…さま!」
中二病のルシファーさんは目が丸くなったまま動けなくなっています。
やっと、気がついたようようです。
「魔力があると言っても、所詮は人間だからな。人間だと魔族の仕打ちはキツいぞ!」
堕天使ルシファーさんは中二ルシファーさんを観察しているようです。
「おまえ、名前はなんと申す?「…ブルブルブルブル
中二ルシファーさんは、堕天使ルシファーさんの声が、聞こえてくる方向を見上げています。
身体を震わせ、かっと見開いた目は恐れ怯え、口角120度!口は顎が外れんばかりに開いています。
「震えてるぞ。こいつ!」
堕天使ルシファーさんは、どんな顔で、中二ルシファーさんを見ているのでしょう。
さめには堕天使ルシファーさんの姿は見えません。
「ルシファーさんを目前にした人間は、怯えおののくもんじゃないかしら?すぐに落ち着きますよ。魔界に連れて行ってあげてくださいね。」
イリーさんは中ニルシファーさんを地獄に落としたいのでしょうか(^^)/
「それより、お前が来ないか?配下の魔族が悪口を言ったり、反抗したり、出来ないポストを用意さておくぞ!」
いったいイリーさんは何者なんですか?
「母にも断られていますよね。寒いのも暗いのも嫌だし、それに魔界で何をさせられるのかしら?絶対NOです!」
沈黙してます…
「たまには遊びに来てはどうだ!」
「(即答)いりません!」
さめは魔界見学したいです。
「まあいい!また用があったらよんでくれ。ほら行くぞ!おい!あれ?」
中二ルシファーさんの姿がない?逃げた?
「いざとなったら怖くなって逃げたのかしら?」
と、イリーさんはとぼけています。
「勘弁してくれよ!イリアの紹介じゃなかったら、逃げたあの男は即どっかで殺されてるぞ!」
と、堕天使ルシファーさんはあっさり帰っちゃうの?
その方がありがたいんですけど…
「イリーさん、民が倒れていきます!」
オサキさんの言葉に周りを見渡しました。
ひざまづいて祈っていた人達が、とんどんと倒れていきます。
猫魔王さんが近く男の人を抱えあげました。
「身体はまだ温かいが、息もしてなきゃ、心臓も動いてねぇ。」
猫魔王さんは男の人を蘇生しようと胸を押しています。
「ダメだ!」
首を振っています。
「みんな死んでいくのかしら…」
イリーさんが泣き崩れました。
「そりゃそうだよ。この人間どもは生きる意味を持ってないんだから、心臓を動かす理由もないと言うことだ。」
堕天使ルシファーさんは、目の前で起きてることを把握しているようです。
なんか想像がつきます。プログラムを抜かれ、停止してしまったコンピュータのようなもの?コンピューターはまたプログラムをインストールすれば動き…
「あっそうだ!イリーさん、生きがいとか使命感とか、そんなものを思い出せれば良いんです。」って言っておきながら、どうやって?と、自問しているさめでした。
でも、イリーさんは叫び始めました!
「みなさん、思い出して!家族や友人と楽しく過ごした思い出を!美味しいものを食べたり、美しい音楽に耳をかたむけたり…」
イリーさんは必死で叫んでいます。
でも、考えてみれば心臓も止まっているんです。脳の停止まで5分、ひっょとしたらイリーさんの声が届いているかもしれませんが…?
「みてらんねぇなー、とりあえず、ここはおれが延命しとくわ。」と悪魔の親方ルシファーさん。
サタンが人を延命?
「それじゃ魔人なっちゃうじゃないですか!」
イリーさんは不安げです。
魔人になってしまうと、何が起きるんでしょう。
「魔人にはならないけどさ。まぁ呪われた狂人みたいなもんになるかな?」
呪われた狂人は、想像出来ますが、まずいですよね。それ!
「それはダメ!そんな形で生きていても…」
ん、マジまずいです!
「そこにいるじゃん。魔力をいっぱい溜め込んだ魔法使いが。延命した後、そいつの魔法で癒せば良いだろ。さっきの男よりこいつの方が魔力は強靭だぞ。」
えっ、keiさんが…
一同、仰天!
猫魔王さんが、こっそりと話しかけてきました。
「おい、信じてイイのかあれ?サタンだぜ!堕天使は人を騙して利用する。って聞くぜ!」
猫魔王さんも不安を感じているようです。
けれども、相手がサタンでは手も足も出ない。
それでも声のする方を凝視して、得策を考えているようです。「お前が、どの口でいうか?堕天使は人を騙す存在?おまえは?」
いやあの~、オサキさん!個人的な恨みつらみを語ってるばやいじゃないんですが…(-。-;
八百万神さまも仏様も、ザウラクにはいらっしゃらないですよ。きつと(・_・;
「おれもかつて、さんざんやってきたさ!」
猫魔王さんは悔恨の思いに打ちひしがれ、肩を落としながらも(^^)v眼孔は見開き!闘志がサタンの声のする方向にむけられています。
武闘派です。
「信じてイイの?」といりーさん!
イリーさんと堕天使ルシファーさんが、どのような関係がわからりません。
keiさんの魔力が強靭なんて…そんな話も疑わしい?
でも、絶大な力をもった堕天使ルシファーさんに勝ち目はありません!
この場は堕天使ルシファーさんに従うしかないかと…
「自尊心の低い奴は、どんな力を持っていても宝の持ち腐れということだ。でも、今は大丈夫だ!やつを信じて、この場を任せろ。おれが起こしてやる…」
堕天使ルシファーさんがひとこと囁くと、人々が立ち上がり始めました。
3000からの人々は、生きている人だとわかるんですが…
ゾンビ見たいです(-。-;
悪意を持った生きる屍?
「こいつの目を覚まさせておいた。イリア、またな!なにがあったら呼んでくれ…」
なにか、挨拶をしたのでしょう。
さめには見えませんでしたが…
イリーさんはルシファーさんがいるだろう方向を見て微笑んでいました。
背中を走る悪寒はなくなりました。
「ルシファーさん、ありがとう。さて、keiさんを起こしますか!」
ああっ!いつのまにか、keiさん飛んでる。
手を伸ばして、手のひらをゾンビさんにかざしています。
「おい、keiが光り出したぞ!」
手の平を中心にkeiさんが白く光り始めました。
神々しい!
人々とから黒いツブツブがぬけだし、keiさんの手のひらに吸い取られていきます。
人々が呪縛から目を覚まし始めたようです。
どこだここ!
きゃあ汚い服!
何してるんだ!
3000の民衆が騒めき始めました。
魔法から解放され、正気を取り戻したようです。
keiさんはイリーさんと並んで神々しく立っています。
「みなさん、お静かに!王妃イリアです。」
騒めきが一瞬にして鎮まりかえりました。
「みなさんはルシファーと言う魔法使いに騙されて利用されていたのです。」
騒めきました
「聞いてください。皆様の平和な暮らしを脅かすザウラクの危機に対して、日本からkeiさんと言う賢者の方をお招きしました。」
危機?賢者?日本?
事情が飲み込めず、ざわめいています。
「この方が賢者keiさんです。皆さんをお救いくださった方です。」
おー、と人々は歓声が聞こえます。
イリーさんが最後まで説明するまもなく、感謝の言葉が囁かれはじめました。
あっkeiさん、3000人に拝まれています。
「おっそうだ。さっさとイリア像の封印を退かそうぜ!あんな魔力が増幅したkeiは気持ちが悪い。」
使い魔のさめとしては、あのままでいてくれた方がいいんですけど。
「そうであったな!私も気持ちが悪い。」
オサキさんまで…
あのkeiのほうか、神様らしいじゃないですか?
オサキさんと猫魔王さんとイリア像に向かいます。
「動かす必要はありません。さっさと壊してください!」
まあ、イリーさんはそういいますよね(^◇^;)
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