第28話 邪神道っ教主との駆け引き!

魂の抜けたような人達と一緒に大きな講堂にに入っていきました。

前が詰まりはじめて行列は止まり始めます。

何人ぐらい居るのでしょう?

2000、3000、亡霊のようにたっています。

ちょっと、さめは不思議に思ったのですが、警察を名乗っていた人や、さっきの門番みたいな人たちは、洗脳されていると言っても意思を持って行動したようにおもえます。

でも、この周りにいる人達の何の考えも持たない廃人のようです。

「さめ殿、多分役割が違うのでしょう。女性達は家事の様な仕事を、男性達は農作業や土木作業の様な力仕事を、それぞれの指示に従い意志を必要としない単純な作業をさせられているのでしょう。」

確かに男性達は埃まみれ、女性たちの手はガサガサに荒れています。

「ほとんどの人がプログラミングされたロボットのように行動しているのでしょうか?」

さめは嫌な違和感を感じています。

「組織の私腹を肥やす身勝手な行為を、平和とか、幸福とかにすり替えて、人を洗脳し奴隷のように扱っているのでしょう。」

こんなに沢山の人を洗脳し使役しているとなると、国際テロレベルの話ではありませんね。

「自ら帰依した者もいるでしょう。洗脳だけではなく暗示もあるかもしれません。門番などは暗示かもしれません。」

keiさんのいちばんに嫌う事柄です。

でも、keiさんに勝算はあるでしょうか?

使い魔がそんな事を言ってはいけませんでした。

おさきさんも猫魔王さんもいます。

イリーさんも「剣をとったらザウラク1よ、夢は世界の剣王王女♪」です。

ザウラク国家でいちばん強い。


男の声が聞こえてきました。

「今日という悲願をぬぐえる記念すべき日、神に仕える民たちよ。」

背中からライトを浴びて大きな男のシルエットが表れました。

ありがちな演出です。

洗脳してるのに、こんな演出が要るんですかね。と、さめは不思議に思うのです。

洗脳にもいろいろな手法があるのでしょう。

いや、ただの趣味趣向、自己満足かもしれません。

「さぁ、さまざまな不幸の根源である魔石の封印を完成させよう!」

そして、背後からダンと音がしました。

大きな電力を流すためのリレースイッチの音です。

スイッチが入り大きなスポットライトが点灯します。

男が姿が現れました。

とても強いスポットライトの光量です。男が眩く光って見えます。

さらに、何か!

巨大な石像が男の背後から押し出されてくるようすも照らし出しています。

すべての人がその男にひざまづき、それぞれのスタイルで手を組んで祈っています。

「keiさんもひざまづいて!」

ぼんやりと立ちすくんでいるkeiさんにイリーさんが声を掛けます。

男は民衆の敬意に応えるがごとく、両手を上げます。

「九尾、なんか嫌ものを見ちまった(-。-;」

猫魔王さん、呆れ顔。

「あ〜、なんであいつがいるんだ?あいつの企みか!」

おさきさんも呆れ顔になっています。

「なんの話ですか?」

「秘密の沼で俺を利用して、悪巧みを企んでいたルシファーって男だよ。」

もちろん、keiさんが猫魔王討伐の話をしていないので、イリーさんは何も知りません。

「ルシファー?ルシファーってサタンと呼ばれる堕天使ルシファーじゃないですよね?」

「ああ、だだ小悪党。悪い魔法使いだ。」

吐き捨てるように猫魔王さん。

「ですよね~。ルシファーさんが、わざわざこんなことをしませんよね(-_-;)」


「keiさんが奴を弱点を突いて、悪だくみを未然に食い止めたんです。」

まぁ、B魔法使いでありながらみんなの力を借りて、功績を残した感じです。

「keiさんなんで話して…?」

まったく、猫魔王討伐の話をしらなんです。

「keiさんは自分の手柄を自慢げに話す人じゃありません。」

オサキさん、買い被りです。

「きっと、他の話に夢中で忘れてたんだろw」

猫魔王さんのほうがkeiさんを解っています。

「あっ私…皆さんよりももっともっと嫌なものを見てしまいました。」

魔石の封印と呼ばれて、押し出されてきた石像は...(^^;)

イリア姫です!


「なにあれ?」

「イリアさんがあの人達の言う女神だったのですね。」

おさきさん、シーっ!

「いいじゃねぇか!本人に見劣りしないくらい美人にできてるぜ。」

だから、猫魔王さんもシーっ!

「だから、ホントあれ何!」

イリーさんは憎悪で湯気が立っています。

「憎悪も察知されますよ。イリーさん、抑えて!」

ルシファーさんはイリアさん像にひざまつきました。

「地下深く埋めた世界魔石を、いま女神イリア姫の像で、完全なる封印を完成させよう!」

直径3mほどの穴がイリア像で塞がれていきます。

あの穴に魔石、本当は和み石が埋められ封印させているのでしょう。

世界魔石なんて呼ぶところ…

世界のなごみ石の核なのかもしれません。

「イリーさん、あの男が言っている魔石とは、和み石と呼ばれているものです。あの石は昔、魔法使いや使い魔の魔力を弱めて、平和な世界を作るために世界中にばら撒かれた石なんです。詳しくはイリーさんも"討伐!猫魔王"の日誌を読んでください。」

「魔法使いには、そんな事情や歴史があるのね。」

イリーさん、感心しています(^^;;

「姫のお導きで混沌とした現代に、希望の光が満ちていくだろう。」

みんながそれぞれに喜びの声を上げています。

「ねぇねぇ、あれあれ!keiさんがあんな所にいますよ(*_*)」

イリーさんが驚きの声を、密かにあげています。

keiさんは歓喜を声を上げている人を避けながら、壇上のルシファーさんに近づいて行きます。

「これは何者かと思えば、ケイとか言ったか?この前は私を騙しておいて、良い度胸だB級魔法使い!」

ルシファーさんは、しっかりと覚えていたようです。

「俺は俺の居場所を守っただけだ。騙されたお前が浅はかだっただけだろ!」

えっ、あれkeiさん?

keiさんてば、「俺」ですかぁ~?

「どうしたんだ、keiのやつ?」

猫魔王さんもkeiさんの態度に驚いでます。

「それで何のようだ?要件によっちゃ、生きて帰れると思うな!」

前回はkeiさんにしてやられたルシファーさん。殺してまいたいけど、利用したいのかもしれません?

「お前ら、イリア姫の誘拐に失敗しただろ!」

keiさんは堂々とした態度です。

ルシファーさんを見定めるように上目づかいで睨んでいます。

「…。」

「お前らの企みは3ヶ月も前からお見通しだ。あの騒ぎの時に姫さんは、すでに俺たちの手中あったのさ!」

「なに!」

ルシファーさんは動揺を隠せず表情が固くなっています。

「お前らの企みはお見通しだ!上手く動いてくれてありがとうよ!」

「…。」

さめも「…。」

なにを考えているんでしょう?

「そこでだ。国王にはあのまま崩御してもらい、イリアを俺が娶り王座に着く。」

keiさんてば、そんなことを考えてたんですか?

ありえません(-。-;

「そんな、お前の都合の良い話に乗れるか?」

ルシファーさんは、きっぱりとkeiさんの申し出を断りましたが、なにげに不安そうです。

「この国の国益は俺がもらうが、その代わりにお前を宗教家として国家的にバックアップしてやろう。」

keiさんは、ホントどうしたんでしょう。和み石の封印に関係あると思うのですが、まったくの悪役魔王です。

「…。」

いきなりのことで、ルシファーさんは考えあぐねている様子です。

「お前の目的は金じゃないだろ。魔法使いとして民の上に君臨することだろ!」

「…。」

見透かされたルシファーさんは返す言葉がありません。

「えっ、私はkeiさんに騙されていたんですか?」

イリーさんは驚きと失望で震えています。

「安心んしてください。keiさんはそんな悪巧みができるほど、賢くありません。」

B級魔法使いで民宿のオヤジですから…

「私も保証します。keiさんは慈愛に満ちた善意の人です。」

いや、だからオサキさんてば回被りですから(^_^;)

「王座に着くなんて面倒な事を、keiは考えないだろなぁ。」

その通り!

「取り引きするなら急いだ方がいいぜ。外で暴れてる鳥な!あれは俺が使役している魔獣だ。」

「魔獣を使役!」

あっ、そうでした。

空を飛べない猫魔王さん。ヒバラドンに乗って、ザウラクまでやってきたんです(ヒバラドンについての日誌は完成していません)。

「お前が雇った傭兵達は!あはっはっは(不敵な笑い)、小鳥がひえやあわをついばむ様に、食い殺されてるぞ。」

殺戮を無慈悲に笑ってるし(^◇^;)

「なんて、酷い事を…」

でも、ヒバランはたべてません。たぶん…

「お前さんに言われたくないね。早くしないと国軍も突入してくるぜ!」

イリーさんはkeiさんの様子に震え出しました。

「あのkeiさんはいつもと違いますよね。なにか強大な魔力を得て、変なスイッチが入っちゃったんではありませんか?」

「さめはこれだけは保証します。keiさんは自分の利益の為に人を利用する人ではありません。」

んっ!

おさきさんも猫魔王さんも強く頷き共感してくれました。

「早くしろルシファー!世界の中心的ななごみ石が封印されている今、俺でもこいつらの洗脳を解くこともできるぜ。いや使役することだって出来るか?」

「…。」

ルシファーさんは動揺を隠せず、まったく言葉がありません。

「あとは俺の思いのままだw」

keiさんはそう呟くと、ふらふらとし始めました。

そして、その場に倒れてしまいました。


沈黙…


「馬鹿なやつだ!小さな器から溢れ出した魔力で自滅したわ!」

ルシファーさんはほっと息を抜いた後で、高笑いをはじめました。

どこからからか使い魔のヒョウが飛び出し、keiさんの胸を前足で押さえつけ、鋭い爪がkeiさんの首に押し付けられています。

「殺すな!そいつには用はないが、イリア姫の所在が分からなくなる。」

「イリア、隠れろ!」

猫魔王さんはこっそり指示をださました。

そして、超パンギャルから魔王の姿に戻り立ち上がりました。

素早く如意棒を伸ばし、ヒョウの首元に一撃を喰らわし跳ね飛ばします。

おさきさんもチャイナドレスの美女から、九尾に戻り飛び立ったかと思うと、上から襲いくるミミズクにづづきを食らわせました。

「いいタイミングかも知れないな。備えあれば憂いなしだ!」

猫魔王さんは、そう言うと懐から法螺貝を出しました。

「どんな憂いに法螺貝を備えたんですかね?」

イリーさんがこっそりと呟きます。

さめは何となく法螺貝を備えた意味に察しがついていました。

法螺貝の吹く音が鳴り響きます。

すると倒れていたkeiさんが、すくっと立ちが上がりました。

そうです!

上杉謙信さんがkeiさんに憑依したのです。

ほんといいタイミングです(^^)v

「ほらよ!」

猫魔王さんが刀を投げると、謙信さんは振り向きもせず、受け取りました。

怒りに満ちた眼光は、ルシファーさんに向けられたままです

「ありごとうよ、猫魔王!」

そして剣を構える謙信さん!

「いつぞやのルシファーとか言う魔法使いだな。杉の木ほど背が高かったのに、小さくなったな。どっちにしても俺のほうが上だが!」

って、オヤジギャグですか〜?

まずは一撃、ルシファーに切り付けます。

風のような物がルシファー腕に走りましたが、謙信さんのヤイバを食い止めました

「さめ、さめもいるのか?」

「こっちにいます!」

「何だ!この込み上げてくる力は?」

謙信さんの刀からプラズマのようなものが放電し始めました。

「世界の中心のなごみ石を封印してしまったとかで、keiさんの魔力が溢れ出しているそうです。」

「いつものkeiと違って、力がみなぎっておる!」

謙信さんが絶え間のなくルシファーを切りつけていきます。

ルシファーさんもスキを見せずヤイバを交わしています。

ヒョウやみみずくの使い魔は、おさきさんや猫魔王さんを凝視しています。

「さて、懲らしめてやるとするか!」

猫魔王さんの一声!

その瞬間、音もなくふたりの姿が見えなくなりました。

ルシファーさんの使い魔たちも見えなくなりました。

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