第23話 B級魔法使い、カヌーで川を下る!

ダッポーン!キャー!

ダポダッポーン!キャー!

川底の落ち込みで流れが立ち上がり、水の壁が幾重にもできてます。

「どんどん、漕いで~!」

ダッポーン!ざわざわざわ~~~

きゃははo(^^o)

ざわざわざわざわ~~~~~

「漕いで!漕いで!」

パシッ!

息を合わせて漕ぐ練習をいっぱいました。

でも、ときどきイリーとパドルが当たってしまいますww

ダッポーン!きゃははーo(^^o)

ゆぁー楽しい全身ずぶぬれー!

ざわざわざわ~

波が立ち上がる難所のホワイトウォーターをぬけて、静かな流れになりましたよ。

水面に筋が走っているのね。

湧き上がってきた水と水が筋のところから、川底に向かって流れこんでいるんでっす。

「イリー。止まるとあの筋に吸い込まれちゃうから、もう少し漕いでからお休みしましょお。」

左の川岸は崩落しない200m断崖絶壁で閉ざされています。

崩落しないと言われても怖い!

岩手県北山崎のサッパ船アドベンチャーを思い出しちゃった。

海にどこまでも断崖絶壁が続いていました。

その下を小さなボートで漁師さんが案内してくれます。

右に左に波のしぶきをあげる岩が迫ってきます。

正面にも岩場と岩場の狭い水路を通るので、波の高低差がハンパないです。

落ちていくときはジェットコースター波のスリル!

漁師さんは穏やかな声で淡々と、漁師さんの生活を語っています!

こんなのいつものことなの!って感じ(・・;)

ぜひ、行って見てください。

kei'sAdventurePartyおすすめです。

「今の激流をkeiさんは笑ってたじゃない!普通は怖いですよ。その漁師さんもあの激流は怖いと思いますよ。」

あっ、そうだよね。

イリーの言うとおりかも。


右側はわずかに岸ががありました。

その先は急な斜面が続いていたので、わずかな岸で休憩することにしました。


昨日はハラスメントリゾートでkeiたちはゆっくり休みました。

ジャグジーにも入ったし、お買い物もした。

カヌーや山歩きの道具は、ジグムトさんがアウトドアスクールで用意してくれました。

そのほか、必要なものはホテルのショップで調達して、値札をレジにおいておけばいいそうです(うふふ)

いろいろなものが売ってます。

keiは携帯用の酸素を見つけたのね。

たとえば、keiの心臓や肺に異常が起きた時の必須アイテムです。

「いりませんよ~。keiさんたちは国賓ですから、何かあったらサンドから医療器具を積んだ高速ヘリがドクターを乗せてやってきます。それに私の職業を覚えてますか~!」

あー南部鉄器の熊鈴が売ってる!

これなら帰ってからも使えます。

「keiさん、私のもお願いします。さめ君やキューピーさんの分もどうかしら~。でも、ザウラクには熊はいませんけど。」

きゅっぴは「私はイイです」って顔してる。

「きゅっぴ、おそろいおそろい!」

さめにはでかいけど、仲間外れになるので買っておきましょう。

わぁ、光電管増幅式の暗視スコープも売ってる。

「暗視スコープならジグムトさんがバックに入れてましたよ。」

「イリーさん。keiさんの見つけた暗視スコープは光を増幅するタイプなので、赤外線のライトがいりません。赤外線ライトで敵に見つかることもなく、ライトの届かない遠くまで見ることができるんです。」

さめ、わかってますね~。

「それは便利ね。買っておきましょう。」

やった!ほしかったんだ。

星がいっぱい見えるらしいo(^^o)

「イリーさんは何を買ったんですか?」

さめが腕にとまって、イリーのかごの中をのぞいてます。

「バンダナ・腕時計・スカーフ・ハイリゾキーホルダー4つ・ハイリゾ絵葉書・絵入り高級万年筆・大口なウサギのトートバックにランチボックス」

大口なウサギはkeiも好きかも!

「そうそう大口なウサギのグッズが売ってたの、珍しいよね。何かと便利だから、さめ君たちの分も入れておきましたよ」

さめの頭には?がついてます。

「サングラス。ああ、keiさん達もサングラスがあったほうがいいんじゃないですか?」

そっか、サングラスはいるかな?

「keiさんとキューピーさんの分も入ってますよ。サイズは大丈夫かしら?」

きゅっぴはカゴも持たずに商品を眺めて歩いています。

あっバスケットボール見てる。

「こぎつねたちに土産はないかと見ているのですが、ここで買う必要のないものばかりです。」

さすが狐たちの親分ですね。

ねこねこだったら、沼の妖怪たちにお土産を買って帰るのかな~ww

妖怪達に何をかうんだろお~?


「さて、ご飯にしましょうか。ご飯を食べたら、2階のテナントでウェアーをそろえましょう。」

イリーはかごに商品の値札を外し始めました。

「さめ君の大好きなマンゴーがしまってあるところも、聞いておきましたよ。」

「えっ?」


おっきなふかふかベットでゆっくり寝ましたー。

朝ごはんはいろいろと冷凍庫から持って来てはチン。

セルフでセレブな朝食バイキングになりました。

たらまごが食べたかったんだけどー、たらこがありませんでした。

そして、ハラスメントリゾートのプールでカヌーの練習をして。

出発!

難所も超えて2時間くらいたったのかな。

「HeySame! 何時?」

「11時10分ですが、そういう呼び方やめてください!イラっとします。」

意外と時間がたっていました。

8時にホテルを出たので、もう3時間もたっていますね。

ちよっひり休憩をして、またカヌーに乗り込みました。

カヌーを飲み込む水面は筋は、もうありません。

絶壁の下はゆっくりとした流れでした。

イリーと掛け声でタイミングを合わせ、パドルを動かしカヌーを漕ぎました。

ほとんど流れていません。

漕ぐのをやめると旋回しながらゆっくりと景色が流れていきます。

なんでだかね?川が緑色に見えます。

藻?

「ケイ酸アルミニウムが沈殿して光が散乱しているとか?」

さすがスマートマスコット!

「HeySame Sameはwikiとリンクしてるの?」

「ほんと怒りますよ。さめの知識は使い魔アカデミー図書館の蔵書と経験です!」

リンクしていないみたい。

きゅっぴは100mくらい先を漕ぎ進んで斥候をしています。

なんたって神獣ですから!

「それでキューピーさんはどんな仲間なんですか?物静かな方でお話しを聞きづらくて。」

いまは前の席で漕いでいるイリーがとうとつに聞いてきた。

「べつにきゅっぴは物静かでもないし、話しづらいタイプでもないのね。微妙なんです。」

「びみょう?」

いぶかしげに復唱するイリー(・・;)

「ジグムトさんもいたしね。微妙だったんです。」

さめがkeiの膝の上に登ってきました。

「keiさん、どのみちオサキさんの力を借りることになるんですから、話しちゃっていいんじゃないですか。」

たしかに!

「きゅっぴ―、きゅっぴのことイリーに教えて良い?」

個人情報保護法により情報開示の承認を求めています。

「どうぞ!keiさんの良いように計らってください。」

両側の斜面に反射して、きゅっぴの声は短く反響しています。

「キューピーさんって、なんとなくしゃべり方がかしこまってませんか?」

イリーの目にはチャイナドレスのきゅっぴは、どのように見えてるんだろうね。

「イリー、ジグムトさんもいたし、どんなふうに紹介したらいいか困ってたのね。」

イリーはカヌーを漕ぐ手を止めて、前方のきゅっぴを見つめています。

keiの次の言葉を待っている様子。

「きゅっぴはキツネの妖怪です!」

えッ!て、イリーが小声をあげました。

「keiさん、妖怪なんて言うと怒られますよ。」

たしかに!

さめにたしなめられました!

「狐の神獣です。」

イリーてば、さらにびっくりしたのかな?

言葉がありません。

動きがとまっていますよ。

「きっと、きゅっぴも紹介されるまで、どんなふうにふるまって良いか解らなかったんだと思お。」

イリーは黙ったままカヌーを漕ぎ始めました、

keiはお話をしながらも漕いでたよ(^ ^)v

ゆっくりでも進んでおかないとご飯も食べれません。

ちなみにお昼ご飯は高級ロースハムにジャガイモやニンジンなど低温保存されていた野菜を持ってきました。

ハムは冷凍してあったのでカヌーにぶら下げて流水解凍してるんでっす。

「でっ!」

「でっ?」


keiさんに200文字を超える説明を期待するのは合理的ではありません。

なので、さめがイリーさんに説明することにしました。

とりあえず、イリーさんの膝までやってきました。

ボーっと考え事をしている様子です。

keiさんから続きの情報が来ないので物足りない様子、さめにも気づいていません。

「どうしましょ?」と独り言をつぶやきます。

日本の神獣までやってきて、困っているのでしょうか?

「イリーさん、オサキさんは大丈夫ですよ。」

「keiさんはなにか契約をしているんですか?よくあるじゃない、命や寿命を引き換えに神や悪魔と契約する話。」

へー、さめはちょっと感心しちゃいました。

何かの代償に神や悪魔が契約をしてくれる。って考え方があるんです。

「ないです、ないです。keiさん!オサキさんとは、どんな関係ですかー?」

直接keiさんに聞いてみましたw

「ともだち~、盟友、チムメン!」

「よくできました!では、keiさんはオサキさんと何か契約を結んでいますか?」

「むふふふ~」

意味深に笑うkeiさん?

「ほら、さめ君の知らない何かがありそうよ。」

イリーさんは不安そうです。

「keiさん、お稲荷さんのお供えは契約に入りませんよ。」

「え~、あれだって立派な契約だと思いますが...」

「あれは信仰心、かごに対する感謝の気持ちです。神様にお供えしてるんで、オサキさんじゃありません。」

「じゃあ、契約無い。」

全くめんどうな人です。

「わかりましたか?」

「うん、契約とかはしてないのね。お稲荷さんっていうのが?」

「土地の神様を祭ったお社があって、そこにkeiさんがお稲荷さんをお供えしていたんです。その神様のお守りしているのがオサキさんです。」

「あっ、そういうことね。並外れて強いし美人だし神獣だっていうし、何か怖い儀式で償還したんじゃないかと思ったの。」

keiさんの影響でアニメを見始めて、イリーさんてば変な世界に入りやすくなっちやってるのでは…

「強さと言ってら、オサキさんはあんなもんじゃないです。九尾の姿に戻れば、あんな兵士たちの100人くらい一瞬で吹き飛ばしてしまいます。」

「さめ君。九尾、九尾の狐?」

「あっごめんなさい。そうですオサキさんは九尾の狐です。」

「鳥羽上皇のお気に入りの美女、日本を乗っ取ろうとした妖怪!」

やっぱり、さめと同じくそこに来ましたか。

「あれですね。先日新しい事実が判明してしまいました。犯人は九尾の狐に成りすました、猫魔王さんだったんです。」

「魔王!」

イリーさんはビックリ顔をしています。猫の魔王が変ですかね?

「吉兆を伝える神使とも聞くけど、国を乗っ取ろうとしたりした話をよく聞くわね。」

「この際だから、悪い話はみんな猫魔王さんにせーいにしてしまいましょう!」

どこかで大きなくしゃみが聞こえるようでした。

「どれにしても、イリーさん詳しいですね。」

「以前に妖怪とか、怪談とか、興味があって調べたことがあるんです。」

「猫魔王は知りませんでしたか?」

「猫魔王のことは知りませんでしたけど、たしかkeiさんのご近所に同じ地名がありましたね。」

「猫魔岳ですね。」

「イリー、ねこねこもお友達なんだよ。ゲレトモです。」

オサキさんがカヌーを漕ぐスピードを落として近づいてきました。

「私の名前が聞こえたので紹介してくださっているのかと思えば、猫魔ですか。」

「ねこねこがわるいこしたのにきゅっぴの性にしたから、きゅっぴはねこねこが嫌いなんだよ。ねっ!」

「とうぜんです。絶対に許せません!」

「でも、ねこねこも今はイイ子してるんだけどなぁ。。」

「猫魔王さんは罪の償いに偉いお坊さんから悪い妖怪集めをさせられています。悪い妖怪たちは秘密の沼に集められているんですが、今では悪い妖怪たちも花植えをしたり沼にやってくる人楽しませらしています。もちろん、猫魔王さんがトップです。」

ふ~ん。ってイリーさんはいろいろと想像力を働かせて整理がつかなくなっているようすです。

「さめ君はオサキさんって呼んでいるけど、keiさんはキューピーって呼んるよね。」

「オサキさんが住んでいる岩橋山の岩橋キツネたちの面倒を見てるんです。その狐さんたちがオサキ様って呼んでいたのでさめもオサキさんと呼んでます。」

「イリーさん、キューピーではなくてきゅっぴです。伸ばさずに止めてください。keiさんのきゅっぴは字のごとく音のごとく九尾の狐のきゅうびですね。」

「イリーさんはどっちでもいいんじゃないですか」

「じゃあkeiさんと同じキューピーさんって呼ばせてもらおうかな。」

そういうとオサキさんの顔色をうかがいましたが、オサキさんは微笑んでいました。

「オサキさんと猫魔王さんは仲が悪いんですけど、先日みんなで西欧からやってきた魔法使いをやっつけなんですよ。」

「keiさんってすごいですね。魔法使いなだけでなく、神使や魔王のお友達がいるんですね。」

「ド~って瀬の波立つ音が聞こえるよ!」

お腹に響くような重たい音が響いています。

「漕いで一気に抜けるよーごおおお~(^o^)/」

そのあとものんびりだったり、たまに瀬があったりで、楽しいカヌーツアーが続きました。

もう一つ、波のあらい難所があったのですが、keiさんの提案で瀬をよく観察して下ってからお昼になりました。

今日は暗くなり始めるころまで下って、河原でビバークです。ホント、カヌーやらスノーボードやら、天体観測にオフロードドライビング…

こんなことばかりは頼りになるkeiさんです。

でも、明日は峰まで急傾斜の山肌を登ります。

高所恐怖症のkeiさんは大丈夫でしょうか?

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