第14話 反政府軍野戦基地

あっと言う間にテントが立ち並び、野戦基地が出来上がりました。

救護の人が負傷したグレーマントさんの傷の手当てをしています。

炊き出しも始まり美味しそうな香りがして来ましたよ。

手の空いている人は武器の整備をしています。

ホント軍隊ですー(^^;;

野盗とか、盗賊とか、言うのは失礼な気がして来ました。

半政府軍!


「だから、おれたちは盗賊じゃない!って言ってんだろ。」

リーダーさん、机を叩いて怒っています。

「じゃぁ、ゲリラっ感じかしら?」

「イリーさん!」

さめがささやき、怖い目でイリーを睨んでいますww

「でっ突然、やつら襲ってきた?」

なんかリーダーさん、怒ってる感じ(・・;)

「襲ってきた!」

「ミサイルの着弾した跡があったけど。お前たちだよな!」

リーダーさん、訝しげな顔をしてkeiたちを見ています。

「keiが撃ちました。」

手を上げて正直に答えたよ!

「着弾の場所からすると、ひょっとしてお前から先に攻撃した?」

keiをじっと見ています。

「ん~ん、ボタンを間違えた(^^; 」

「...??」

複雑な状況なんだけど、keiは簡潔明瞭に説明しましたよ。

でも、リーダーさんは状況を想像出来ず、困っている様子です。

「まぁ、いいや。あいつらもお前らが撃ってきたと話していたよ!」と言って、メモ帳にペンを投げ出すリーダーさん。

ちょっと解らないことに出くわすと、すぐに放り出すんだよ。こういう人って(-_-;)


リーダーさんのお話によると、やはりkeiたちを攻撃してきたのは組織の部隊だったそうです。

目的はイリーの誘拐?と思ったけど、そうではありませんでした。

武装した車を見つけたので、逮捕しようとしたそうです。

「逮捕!」

イリーがその言葉にびっくりしています。

「そうなんだよ、逮捕って言葉を使ってたよ。」

組織が勝手に警察をしているということですか??

「どっかのゲリラみたいね。」

「悪いけど話の筋を折らないでもらえないか、イリア姫!」

「そうですよ、イリーさん!」

さめにまで怒られて,イリーてばしょぼんとしています。

「なんだ、それ!」

あっまずい!

さめの声が聞こえてしまいました(汗)

さめもしまった!って顔してる(-。-;

「スマートマスコットです。色々とおしゃべりします。」

苦し紛れのウソ!

「なんの役にたつんだ!」

「ヘイさめ、ヒモ理論について教えて!」

「ヒモ理論とは物質の最初単位は、0次元の点ではなく1次元の紐のようなものという仮説です。仮説によれば、紐は常に振動し続け、その振動のありか…」

「さめ、終了!」

「ほう。」

リーダーさん、感心してます。「計算もしてくれるし、天気予報も教えてくれますよ。ヘイさめ、明日のザメハラの天気は?」

「おおむね晴れでしょう。」

リーダーさん、びっくりして目を丸くしてる。

これくらいだったらアレックスでも出来るんだけどね。

モニター付きアレックス5がスーパーセールで3980円でしかた。

「そうそう、次はザメラハの街に行くんだよな?」

イリーがうなずいた。

そうザメラハに行くんです(^^)v

「俺たちが得ている情報を連絡しておくと、」

「連絡?」

「提供しておこうか。」

リーダーさんの方が冷静です。

「ありがたいわ、お願いします。」

そういうとイリーは身を乗り出しました。

ん~連絡?提供??


あっイリアです。

keiさんのおでこは?マークでいっぱいになっています。

なんとなく言葉も少なげです。

keiさんも疲れが溜まってきているんでしょう。

ここから先の情報は地理感のある私がお話しします。

ところでホント、この男は頭に来ます!

このイラ立ちを話したくて、keiさんと話を代ったわけではありません。

私も姫姫と呼ばれて育ち世間知らずだけれど、これほどズレてはいません。

自分がやっていることが犯罪である自覚どころか、ヒーロー気取り!

日本の表現で、こいつには虫唾が走ります!

「ねぇねぇ、イリー。虫唾ってどんな虫なの?」

「虫唾っていうのはね。虫酸、虫が出す酸っぱい液体らしいのよ。つまりこういう男って胃液が逆流するほど、むかつくっていうことかしら?」

「逆流性食道炎みたいなもの?」

「え~逆流性食道炎かな??」

「むかつくんですが...」

...??

「だから、話を進めてください!リーダーさんに失礼ですよ。」

さめ君に、また怒られました。

彼から得た情報は3つあります。

まず一つは一見して街の様子に変わりない。

活気もあるし、秩序も保たれている。

二つ目は魂を抜かれたように、ボーっとした人が所々にいる。

「視点も定まらずふらふらと歩いているものや、力無くうなだれ座っているものなど、魂を抜かれた廃人のような人間が多いことに気が付くらしい。」

何が起きているのは間違い無いみたいです。

「原因は何もわかっていないのね。」

リーダーが不思議そうな顔をして話を続けました。

「いろいろと聞きこんでみたらしいが、わからないと言うより、そのほかの住民がそのことに関心がないらしいんだ。」

「関心がない?」

どう思う意味か、想像がつきませんでした。

「最近、あいつは元気がないな。程度にしか関心がない。普通なら、そんな奴が周囲に増えれば不思議に思うし、不安にもなるだろ。ところがほとんど関心がないそうだ。」

たしかにおかしな話です。

「町長はどうしているか分かる?」

「あ~、最近の若者体力不足だな!と言っていたそうだ。」

「あの町長も父と同じ当時の権力者で、世襲的に町長をしている家系なの。あの人はいつもと変わらず、そんなものよ。」

でも、笑顔が絶えない街づくりなんてスローガンで、言葉通り笑顔が絶えない活気のある街になっているます。

世襲といっても地域に人望の厚い家系なのかしら?

"笑顔の絶えない街づくり課「土木・建築・福祉・教育・家庭のゴレンジャーが皆様のお困りに対応します!"なんて、

街づくり動画コンテストで受賞してドヤ顔の彼を思い出します。

あ~ヤダ!

でも、その笑顔があふれる街から、笑顔が失われていく?

町長も無関心?

「副町長には会わなかったのかしら?」

「副町長のことは聞いてないな。」

副町長は執務官のグラバさんのご親戚で、国軍兵学校卒業のエリートだと聞いています。

「すべて3日前の情報だが、その情報にグレーマントの集団は出てきていない。普通通り警察が治安を守っていたんだろう。」

だとすれば…

「警察が廃人のような人を気にしても良さそうなのにね。」

集団催眠か、何か起きているのね。

「病院はどうなのかしら?」

「病院は普通通りでケガやら病気の治療にあたっていたようだが、ボーっとしたものが診察を受けている様子は見なかったそうだ。」

目の前の仕事に追われていて、町の様子まで気が回っていないのかしら?

「ただ、病院の職員にもボーと立ちすくんでいる者もいて、やはり誰も気に留める様子もなかったということだ。」

「行ってみないと解らないわね。」

薬物なのか、催眠や洗脳なのか?

とにかく、行って確かめるしありません!

「あと報告によると建築廃材や訳の分からないガラクタ、石やら砂やら、街の入り口が渋滞するほど運び込まれているそうだ。武器弾薬については報告はない。」

いよいよ、組織が関与する敵地に乗り込むことになります。

ひょっとしたら街全体、街の人達全員が操られているのかもしれません!

だとすれば、私たち3人以外は何をするか分からない敵ということになります。

「keiさん、いよいよです!」

「んっ。」

当たり前な返事が返っていました。

「操られている街の人が何をしてくるか、解りませんよ。」

「んっ。」

どれほど、危険か。keiさんは理解しているのかしら…

「もしも、不安を感じるならこの人達にkeiさんの保護をお願いすることもできます。」

「んっ。」

なにも考えてないみたいに即答です。

どっちに、んっ。なんでしょう(^^;;

「じゃなかった、ここで置いていかれても困るしー!」

私が考えて答えを出さなければいけないのでしょうか?

良くアニメで見るようにkeiさんを剣の鞘で叩いて気絶させ…

「イリーさん、大丈夫ですよ。keiさんもいちおう魔法使いですし、上杉謙信さんもS級使い魔のさめもついています。みんなで行きましょう!」

「んっ。」

んっ。しか言わないけど、大丈夫なのかしら…

「おれは敵前逃亡するような奴を保護する気も無いしな。」

「んっ。」

確かに彼のいう通り、keiさんに卑怯者レッテルを貼ってしまいます。

「お前さー、んっ。意外になんか言いようがないの?」

「チェックメイトキングツー、こちらはホワイトビショップ、がってん承知!がってん承知!オーバー。」

リーダーさんは呆れた顔でkeiさんを見ていましたが…

「それ"コンバット"だよな!こんど酒を飲みながら話そうぜ!」

目がキラキラし始めました(^_^;)

「まぁあれほどの剣豪、ここで逃げたりしないよな。」

「 (-。-)v 」

keiさんはやっぱり疲れているみたいです。

ザメハラで休息を取れればイイんですけど…

「ところでイリア姫、あの車は検問の際にマズイ!ジープを用意したから、それで行った方がいい。荷台には反物や仕立てた衣類にミシン、商人を装え!手持ちの金庫や名刺入れ、そろばんに…」

「そろばんがあるの!」

ザウラクにはそろばんはありません。

「おふくろはそろばんの達人だった!近所の子供達に教えていたよ。」

「りっぱなお母さんだったのね。」

この人が受けた不運も受け入れ、素直に考える必要を感じました。

「あと、商業者組会の鑑札と…」

「そんなもん、どこで手に入れたの?用意周到ね!」

ついイラっと来てしまいました。

「みんな、おふくろや親父の形見だ!いま、持って来させている。」

「ごめんなさい。ありがとう、たすかるわ。」


ほんと、話が進みません!

さめです。

この人たちにはイライラさせられて虫唾がはしります(-。-;

脱線しっ放し!

明日までゆっくりと休んで、夕方にザメハラに到着の予定となりました。

商品を積んだジープを借りて、商人になりすまします。

keiさんはサービス業だし、イリーさんも優秀なバイトさんでした。

まず、バレることはないでしょう。

「あと拳銃と玉もあらためて用意したので隠してある。」

「ありがとう。」

イリーさんが素直です。

「じゃぁ、お酒タイムにしましょう!」

keiさんが急に元気になりました(^^;;

「だな!悪いけど、酒とツマミを持って来てくれないか?」

部下の方にお願いしています。「私もお腹が空いたわ!」

イリーさんもホットした様子です。

「keiさんさー、コンバットを見てたんだ!」

「そんな、歳じゃありません!再放送で見たけど…」

海外ドラマ"コンバット"は1962年〜1967年です。

さすがのkeiさんも、リアルタイムで見ていません。

って、もう雑談です。

明日から組織の領域に忍び込むのです。

戦争が始まるんです。

「形見とか言ってだけど、あのジープは探し回って買ったんでしょ。ウイリィスMB!ローフドでkeiも憧れてたんだ。」

「ばれてたか!keiさん、なんか気が合うなo(^^o)」

昨日の敵は今日の友ですか〜

第二次大戦のジープは話しはいいです。

だから、これから始まる自分達の戦争…

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