第13話 さらに南へ

kei達は中古車に乗って、さらに砂漠を南に向かって走ってるのね。

旧車(-_-;)


さめの話によると、この旧車はフランスのシトロエンDSっていう車らしい~

イリーの話によれば、装甲車のように改造されていて頑丈らしい~です。

子供のころに見たことある。

変な形の車!

なんでこんな車?

かなりレトロな感じだし~、かえって砂漠では目立つような気がするよ。

メガクルーザーやハマーだったらよかったのにな~。

一度、運転してみたい!

「keiさん、この車は古いけど当時の高級車ですよ。」

さめが誇らしげにこの車をアピールしています。

ふ~ん。


「しかも中身は最先端が詰まってます。もちろん、4輪駆動です。」

ふ~ん

たしかにハンドルの中央に押し釦スイッチがついてる。

レクサスのような高級車ボタンじゃなくて、マッハ号のような丸いボタン。

ぽちっ!

押してみた(^ ^)v

しゅるるるるる~!

「何やってるんですか!それはミサイルボタンです!」

ミサイルまで装備されてるの!確かに最先端かも。

どっかーん!

「人がいたらどうするんですか?死んでますよ!」

「さめ君、誰もいない砂漠だからkeiさんは試射してみたんじゃないの?ねぇ。」

えっ(-_-;)

「とにかく、説明書を読んでますから。余計なものに触らないでください!」

「ねぇ~あれ何!」

「触らないでくださいよ。」

何も触ってないし!

「違うよ、あれ!」


「誰もいないと思ったら、あの人たち何をしてるんでしょ。」

イリーも気がついたみたい。

「えっ、人がいるんですか?」

さめも説明書から読むのをやめて、keiの肩に登って前を見ています。

なんか、考えてるみたい?


さめです。

keiさんが指をさす方向に、グレーのマントを被った集団いました。

見るからに、さめ達を襲う気まんまんな武装集団です。

一難去ってまた一難、ハリウッド映画のように災難がつづきます。

「反政府軍さんたちかな?」

いや、さめは違うと思いました。

反政府さん達はどこか緩んでいて、なごんだ雰囲気がありましたが…

いま、行く手をふさいでいるグレーマントさん達にはスキがありません!

殺気がヒリヒリと伝わってきます。

「ついに現れたわね。」

イリーさんも殺気を感じているようです。

「そのようですね。」

「それでもまだ手下、雑魚と言ったところかしら。」

イリーさんは相手の力量を計っているようすです。

姫!?

「とはいっても、そこそこの手練れと思いますが?」

「なになに~、なに二人で以心伝心してるの?keiもまぜて!」

反政府さんたちと同様、keiさんも緩んでます。武装集団を前に緊張感と言うものがありません。

そこがかえって強みなのかもしれませんが...

「keiさん、あの人たちは組織の回し者よ!」

「じゃあ、あの人たちはイリーを捕まえようと出てきたんだね。」

keiさん!口ばっかりじゃなくて緊張してください。


いつのまにかkeiさんはどこで買ったのか、おせんべいを食べています。

んっ、緊張しまくって動揺してるかな?

「じゃあ、ボタンっ押まくり~(^ ^)/○」

「いま、説明書を読んでますから~。」

「keiさん、とにかく走って!」

イリーさんが遠くを見つめながら叫びます。

「メインエンジン始動、スラスター接続。」

「余計な解説はいりませんから、早く走ってください!」

パキンっカキンっピュン~

彼らはなんの号令もなく、突然に銃を撃ってきました。

「kei達、殺されちゃうの?」

「keiさん!ここで死んでられませんよ。」

イリーさんは後部座席のバックから、銃を取り出しました。

「keiさんにも死んでもらっては困ります。」

銃を構えるイリーさんも全くスキがなく凛々しい姿です。

しかし、なんてお姫様(^^;

ピャシュッ!

弾丸が窓ガラスにあたりました。

窓にあたって、銃弾が潰れ砕け飛び散ります。

これガラス!?

「えっ!ルパートの滴?」

「なにそれ?」

「ルパートの滴と言うのは、溶けたガラスを水に落とすと、落としたガラスの内部と表面付近の冷却...」

「さめ君、詳しい説明は良いから~!」

「最強防弾ガラスと言うことです。実験室で作られた滴情のガラスしか見たことないのですが、窓ガラスに使えるほどの技術が進んでいるとはビックリです。」

いや、もっと別の技術なのか、さめは興味津々です。

この窓はアクリルなどをラミネートした防弾ガラスではなく、普通にガラスです!?

「じゃあ、撃たれちゃってもだいじょうびなの?」

「大丈夫とは言い切れません!ルパートだとしても、そもそもは脆いガラスですから。ルパートの滴も滴状の末端を折ると秒速6...」

「だからさめ君、詳しい説明は良いから。説明書!説明書!」

「あっそうでした。この場をしのぐことが出来ることに期待しましょう!」

これってほんとうに困難でレアな技術だと思います。なんでこんなすごいものがザウラクにあるんでしょう?

「さめ君!ザウラクは何でも扱う商業国家だと忘れてますかw」


道を外れてアップダウンのある砂丘を、微妙なアクセルワークで疾走するkeiさん。

ふだんビビりなkeiさんもハンドルを握りアクセルを踏むと頼もしい(^^;

「イリーっなに窓開けてんの?撃ち殺されちゃうよ!」

ルパートの窓を全開にして、銃を撃ちまくるイリーさん。

「なに言ってんの?やっつけなくちゃ、撃ち殺されじゃない!」

ん~~?

とにかく、走り続けるkeiさん、打ちまくるイリーさん、組織の銃弾も少なくなってきた様子です。

こちらのほうが優勢です。逃げ切ることが出来そうです!

「keiさん!keiさん!後ろにもミサイルが装備されていました。9番のボタンです!」


あっ!

keiさんが声をあげて、車を止めました。

イリーさんも銃撃をやめて、窓を閉めました。


だかだぁ~ん♪

つつつ~つるるるる♪←西部劇的な音楽、でも必殺仕置き人的なイメージになっちゃいました!

行く手に馬の手綱を握った男が立っているんです。

フードを被らずひどく日焼けした無精髭の無法者的な男が...

行く手を遮っています。

ついでにダンブルフィード(西部劇で転がる丸い枯れた雑草)なんて転がっていたら、まるで荒野の用心棒(^^ゞ

右手にはロケットランチャー!

だかだぁん♪

keiさんも冷や汗が垂れているようです。またおせんべいをかじり始めました(-_-;)

男はゆっくりとミサイルをさめ達のルノーに向けます。

しかも片手で!

よほどの強者な雰囲気を醸し出しています。

だかだぁん♪

撃ってきたましたー!

煙を吐きながらミサイルが、まっすぐこちらに飛んできます。

この車は耐えてくれることを信じましょう。

しゅるるるるるん~

「ああ、ああっ通り抜けてちゃったね!」

ミサイルはルノーの上を通り抜けて、組織の前方に着弾しました。

着弾とともに、非常に激しく破片が飛び散っています。

いや、散弾?

後方の敵が倒れていきます。

今度は何!

荒野のランチャーマンが立っている砂丘の裏側から何台ものジープが現れました。

「さめー今度こそ反政府軍さん達じゃない!」

なんと凛々しい勇姿!

さっきは緩んでるなんて言っておいて、さめも無責任ですねm(_ _)m

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