第12話 仕切り直し
いい湯だな♪
いい湯だな♪
屋根が天井からポタリと背中に♪
冷てぇなぁ♪
keiさんてば何を歌っているんだか、でも著作物の改編ではないんです。
keiさんは本当にそういう歌詞だと思って歌っているんですよ。
「keiさん、それへんですよ!」
よかった!イリーさんはツッコミをいれてくれました。
「温泉の屋根だったら、背中に落ちても温かいんじゃないですか。」
「でもさー、背中に天井から湯気が落ちると冷たいでしょう。」
「そっか、屋根も外の空気で冷たくなってるのかな?屋根も冷たいのかもしれませんね。」
イリーさんもボケでした(-_-;)
いまは内陸の大きな街の豪華ホテルのジャグジーに入っています。
(髪や身体を洗わなければ)お風呂好きなkeiさんは、ご機嫌です。
さめです。
拉致、監禁、脱走という大変な一日でした。
救出された後、国軍のヘリに乗せてもらい、内陸の大きな街にやってきました。
「イリーさん、組織にばれていないですかね~?」
ヘリ部隊に送られてきたなんて、目立ちすぎです。
「たまたま、この街に駐留していた部隊だから、私たちの救出とは思わないでしょ。誰かが見張っていたとしも、演習から帰って帰ってきたぐらいにしか思わないんじゃない。」
イリーさんやkeiさんも軍服に着替えて、兵隊さんたちに紛れていました。基地から外に出るときも、地下通路を使いました。
眼鏡をかけたやさしそうな国防軍の指揮官さんが、ホテルを準備しておいてくれてたんです。
すごいゴウジャスなホテルですよ。
なぜこんなに砂漠の真ん中に豪華なホテル?と誰もが感じると思います。
聞いたこのもない北アフリカの街が、なんともセレブな感じです。
街の景観のすみずみまで美しく整備され、どこを見ても高級な観光地です。
「さめくん、不思議に思っているでしょう。ここは旅行雑誌には載らない観光地なんですよ。旅行会社で予約できるホテルはありません。」
「観光地といえば、国内外に売り込みたいのが普通だと思うんですが...?」
「例えば日本で言うと、紹介者がいないと食事のできない料亭や泊まれない旅館とかあるでしょう。」
「そういう事ですか、セレブな会員制の観光地の観光地ですね 」
「そうそう、そんな感じかな!。」
「じゃぁkeiたちは、あのメガネの指揮官さんが紹介してくれたんだね。」
keiさんにはまったく身分不相応な観光地です。
「いやだからkeiさん、イリーさんはお姫様ですから...」
王族は当たり前に特別扱いでしょう。
「keiさんが正解です。王族だからといって、そういうわけにいかないの。ホテルってそういう所ですよね。他の国の要人も泊まりに来ますからね。たとえ王族でも特別な扱いはないと思うわ。ただ、父も顧客リストに載ってると思います。」
海外の著名人、王族や政治家、一般人には名前もわからない超お金持ち、もちろん有名俳優や芸術家もやってくるそうです。
「うーん、keiも偉くなったもんだ!」
「だからkeiさん、 keiさんはイリーさんのお供ですから…」
なにを勘違いしているんでしょう(-。-;
「それとkeiさん!目立つし、恥ずかしいからキョロキョロしないでください。 」
keiさんはまるでお上りさんです!
「ほら見てホテルの中にボーリング場があるよ。その隣は映画館みたいだね。カジノもあるかな~」
keiさんがもっと真面目に出来ないものか…
使い魔は悩みます。
「 keiさん遊びにきたんじゃないですから!」
イリーさんまでニコニコと楽しそうです。
「あんまりこそこそしているのも変だし、息を抜いて楽しみましょう。 keiさん、プールにジャグジーもあるんですよ。 」
ホテルの人がフロントの横の扉を開けてくれました。扉の中はエレベーターホールになってます。
エレベーターホールは赤と黄色が目立つキラキラとした待合室です。
奥の壁には、漆でも塗ったかのような重厚感のあるエレベーターの扉があります。
右側の壁には大きな窓、守衛さん達がこちらを向いて敬礼していました。
「ここのホテルの警備員さんの一部は軍の人たちなんです。」
なんと、このエレベーターは専用になっていて、終着の最上階のワンフロアー全部がさめ達が泊まるお部屋だそうです。
窓は完全防弾の二重窓、天井に壁や床にも厚い装甲板が埋め込まれています。とホテルの人が説明してくれました
スーパーを超えたウルトラVIPルームですね。
もう難攻不落の城砦ですね。
これは指揮官さんが考えた作戦でもあるそうです。
イリーさんが作戦について話してくれました。
安全なところ身を隠し休息を取るお姫様作戦!
義妹さんの影武者がばれていた場合の陽動作戦です。
お姫様の身の危険を感じた側近が、安全でなおかつサービスの行き届いた高級ホテルに姫を隠している設定だそうです。
「この街のお客様は外国の政府の要人やお金持ちの王族がいるので、その人たちのSPもたくさんいるんですよ!」
「そうかホテルの警備だけではなくて、お客さんのSP達も不審者に対して目を光らせているというわけですね。」
世界一のもっとも安全な観光地。
そしてエレベーターは最上にやってきました。
「ねぇ、止まったのにドアが開かないよ。」
「失礼でございますが、ひととおりのチェックをさせていただいています。」
監視カメラのようなものが動いています。
「イリー様はバックの中に武器弾薬をお持ちのようですが、国軍から聞いておりますので構いません。」
しっかりと持ってるんですね。
「kei様は円筒形の小さな金属をお持ちのようですが、武器でもかまいません。確認させてください。」
「あっ来れね。」
無造作にポケットから取り出して、ホテルの人に突き出すkeiさん。
いっしゅん、ホテルの人が身構えました。
「グロームアイテックっていうの。」
keiさん、持って来てたんだ(^^;;
「その液体は?」
「ダブルメンソールだよ。これが気化して煙になって出てくるんだよ。」keiさんはダブルメンソールの蓋を開けてホテルの人に渡しました。
「それは最近、流行っている禁煙用の水煙草の器具ですね。それは失礼しました。」
ふかふかのベットに泡のお風呂、シアタールームにサウナ、そうそう窓辺にプールまでありました。
窓から砂漠に囲まれた街が一望できます。
翌日はテーマパークに行きました。
絶叫系が苦手なkeiさんは、イリーさんに強引に誘われて絶叫してふらふら(^^;;
カジノでは負けっぱなし、keiさんにはくじ運がないんです。
イリーさんはショッピングに夢中。
組織にバレるといけないのでカードが使えません。
国防軍から借りてきたそうです。
けっこうバカンスしちゃいました。
へとへと。
歩くのがやっとでホテルに帰ってきました。
タタン タタン タタタタン
えっ、マシンガンの音?
ロビーにいたお客さんたちが一斉に立ち上がり、銃を構えました。
てか、この人たちって、みんな誰かのシークレットサービスさん(゜O゜;)?
わぁ~、どこかで発煙筒です!
もくもくしてきました。
パーン!
誰が銃を撃ってる( °o°)
「わぁ~イリー!」
「keiさん、早く伏せて!」
ばふっ!
突然!セレブな赤いドレスの女の人が、keiに飛びかかってきました。
ぴきゅーん
空気を切る銃弾!
keiさんは赤いドレスさんの大きな胸に押しつぶされてます。
「安心してください軍関係者です。動かないで!」
ドレスさんがkeiさんに言い聞かせてます。
「keiさん、余裕ね。なんとなく幸せそうよ。」
イリーさんのなんとなく不機嫌そうな...
冷淡な声が聞こえました。
ダカダカダカダカっ
大勢の人が走りこんでくる音がする。
音というより、床が振動しています。
発煙筒の煙の中が静寂しました。
「私たちは国防省です。ホテル内で銃器を使用したグループは取り押さえました。SPの方の方々は武器をおさめてください。」
すごい風が吹き始めて、発煙筒の煙が集まり排出されていきます。
国防軍の人がロビーにまんべんなく機関銃を構えて立っています。
あっ指揮官さん!
指揮官さんの前には、普通に観光のお客さんのような人達が、手足を縛られて座らされています。
血を流している人もいます。
「聖戦が終わったわけではない!」
一人の人が大きな声をあげました。
そして涙を流してる。
国軍の兵士さんに銃の台座で小突かれました。
「このグループはホテルに滞在中のどなたかを狙ったとも考えられます。こちらからも情報を提供しますので、心当たりがある方はまずは守衛室までお越しください。」
イリーを狙った組織ではないようです?
「私たち国軍は万が一に備えて、しばらくホテルに滞在します。お見苦しいとは思いますがご容赦ください。」
非常警戒態勢ですね。
お客さんたちは危険を感じて、帰ってしまうんでは?
「イリー様、お立ちください。乱暴な行動をお許しください。お怪我はありませんか?」
ドレスさんがkeiさんの手を引いて起こしてくれたました。
改めてみると、美人も美人!
俳優さんのような人です。
「だいじょぶです!」
「でも、keiさん。顔が真っ赤ですね。銃撃戦で動揺してるんですかw?」
なんか、すっごい嫌味なイリーさん。
そうなんです。
バカンスはたった一日で終わりました。イリー姫はホテルから外出禁止になります。
今後は姫はVIPルームで過ごすことになります。
そして...
すべて、お芝居だったそうです(-_-;)
バカンスもお芝居、ゲリラのホテル襲撃もお芝居、イリア姫はこの街で安全を確保されてVIPルームに身をひそめる筋書きです。
指揮官さんの作戦です。
つまり、「安全なところ身を隠し休息を取るお姫様作戦!」です。
敵を騙すには、まず味方から...
さめとkeiさんは何も知りませんでした(-。-;
しかしながら!
こうして、また冒険が始まじまります(^ ^)/
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