第7話 ふたたび砂漠へ

「 Keiさん!うとうとして落ちないでくださいね。」

keiさんはラバにまたがり、うつらうつらとしています。」

お酒のせいだけでなく、昼間にたくさん歩いた後ですから疲れているのでしょう。

「なんなの?この小さな馬は、keiはラクダに乗りたかったなぁ。」

「 keiさん、その馬はエルフ馬って言う妖精の馬ですよ。」

イリーさん、嘘つきです。

「ホントだ!耳に尖ってる。」

隣でラバに乗っているイリーさんはクスクスと笑ってます。

「イリーさんも意地悪ですね。keiさん、その馬はラバと言って馬とロバの間の子です。」

keiさんはブツブツと言っています。

まぁkeiさん的には砂漠ではラクダに乗りたかったのでしょう。

「 keiさん、ラバを馬鹿にしてはいけません!速く走れて、力持ち、なんといっても性格がおとなしくて素直。とっても可愛いいんですよ。」

「 keiはさっきラバと出会ったばかりなのでわかんない(-_-;)」

酒場を出た後、イリーさんのお父さんと関係の深い商人さんから、ラバを借りて砂漠に出ました。

ジェイクさんは追手の足止めのために街に残りました。

イリーさんとkeiさんとさめで、次の街まで砂漠を横断しなくてはなりません。

イリーさんがいるので心配はありませんが(^^)

「あっ月が昇ってきた。」

月の砂漠を~♪

酔った調子でkeiさんてば、歌い始めました。

寝ぼけてラバから落ちてしまうより、歌っていてもらったほうが安心です。

旅のラ~バがいきました~♪

やっぱり、替え歌になってました。

「金の鞍もなければ、銀の鞍もない!」

「けれどもイリーさんお姫様ですよ。keiさんはそこらの宿屋の事業主ですけど....。」

「さめー、覚えてらっしゃい後悔させてやる!」

keiさん的に砂漠はラクダなんですねw

意外とkeiさんはさっぱりした性格です。

自分の思い通りにならなくて怒り出しても、すぐ忘れちゃう人なんですけれど…

よほどラクダに乗りたかったんですね。

しつこいです。

でも、ときどきラバの頭を撫でてやったりしてます(^_^;)

「ああ、道に迷ったかも!」

イリーさんは一言!

大きな声をあげました。

「私たちは南に向かって歩いていたはずなのに、月が正面から昇ってくるなんて変だと思いませんか?」

「それ絶対に変です!」

イリーさんてば、砂漠のド真ん中ですごいこと言ってます。

完全に方向を見失って進んでいます。

「イリーさん、GPSはどうしたんですか?商人さんから借りるように言われてましたよね。」

黙ってます。

つまり、忘れていたんです。

「わー、もっと早く言ってください!こんな酔っ払いのkeiさんでも、星が出ていれば方向ぐらいわかります。」

keiさんはラバの上でうつうつらとふらふらしてます。

「そうでしたね(^^ゞ」

イリーさん、ちょっぴりしょげてます。

「そうでしたね!じゃありません!」

衛星携帯はジェイクさんはが持っているそうです。

「困りましたね。」

ああ、keiさんは寝ています。

「寝てないよ。地平線の昇ってきたばかりの12星座の方向が東、反対が西。イチバンの高いところに昇っている12星の

下が南だよ。」

あっ、話をしていてバランスを崩したのか、ラバから落ちました(・_・;)

「さめくん、ちょっと休みましょう!」

「そうですね。町を出てから、ずっと進み続けて来ましたしね。」

しかし、さすが準でも星空案内人です。北極星を使わず、星座の方向で方角を解説をしました。

「ジェイクさんは大丈夫でしょうか?」

さめも慌ててしまいましたが、冷静さ取り戻しました。

「まず大丈夫でしょう。あの人は並みの小隊ぐらいだったら、簡単に殲滅してしまうような人です。」

「そんな強い人なんですね...(・_・;)」

酒場を離れるときに「 keiさんやイリーさんを頼みましたよ。」と言って、さめにニッコリ笑っていました

「じゃぁ、このへんで休みましょう。お腹も空きましたよね。」

「食糧どのくらいあるんですか?」

「 3日分ぐらいかしら、節約すれば4日ぐらいは持つかしらね」

keiさんとイリーさんを乗せたラバと、もう1頭荷物を背負ったラバがいます。

イリーさんはラバを降りるとペットボトルのジュースと、布ので巻かれたお弁当を取り出しました。

「 keiさん、ごはんですよ。」

落ちたまま、keiさんは砂の上に寝ています(=_=)

keiさんもお腹空いてるようで、寝たままお口を開けています。

お弁当はフランスパンにお肉や野菜を挟んだサンドイッチでした。

イリーさんがkeiさんを起して、肩を抱いてもたれかけさせています。

なんとか、自分でサンドイッチを手にもって食べています。

普段ならウオッカのボトル(500ml)を空けてしまうkeiさんです。

酔っ払っているというよりは、やはり朝から歩いて疲れているんでしょう。


イリーさんは地図を広げ出しました。

街を出てずっと南に向かって歩くはずだったの、砂丘を超えるうちにだんだん曲がってちゃったですかね。

「最初っから言ってくれれば、keiさん言う12星座まで使わなくても、北極星が出ているんだから方角はわかるじゃないですか!」

おおよそ日本と同じくらいのところに北極星は見えています。

「じゃぁ夜のうちに進んだほうがいいわね。」

イリーさんはすぐにでも行動するしようとしています。

「太陽が昇り始めちゃったら、逆に方角が分かりづらくなるかしら?」

たしかに晴れていれば星座を使った方が方角が解りやすい。

「でも時計の針を使って、keiさんなら昼間でも方向を知ることができます。イリーさんのスマホにアナログ時計のアプリ入ってますか?」

目をつぶって困った顔してうつむいちゃいました!

「ないですよね…」

「ねぇねぇ天文の話しをしてるの?」

「 keiさんごめんなさい、 GPSを借りるのを忘れて道に迷いちゃいました。」

「昼間になったらkeiさんでも、太陽だけで方角わかりませんよね?」

「時計の針を向けて調べる方法があるじゃん。」

「ところがその時計がないんです。」

keiさんは、別に困ってもいないようです。

「 keiさんのスマホにアナログ時計のアプリはいてませんか?」

「時間がわかるんだから、段ボールで日時計を作ればいいんじゃないの?」

うとうと…

「 keiさんは半分は寝ています。げど、さえてまわすね。」

さすが準でも星空案内人です!

「ええっへん、困った時に出来ない!わからない!と言わないのが経営者なんでっす!」

一理あるような(^_^;)

「当たり前のことなのに、私もぜんぜん考えませんでした。」

「それよりもプラネタリウムアプリを使う方がはやいんじゃないの?」

酔っ払いがあっさり!

「ええっ。」

「イリーもゲストハウスにいるときにインストールしてたでしょ。GPSがついてるから昼間でも星座や方角がわかるじゃん!」

電波が届いてなくても、GPSが使えれば動くんです!

イリーさんは、んんっとうなずくとスマホをいじり始めました。

「あっ動いた!」

keiさん、すごい!

さめがkeiさんの使い魔にさせられて、初めてkeiさんに感動しています。

「現在位置まで表示されればいいのに無いんだよねぇ。もっとサンドイッチ食べても良い。」

「 keiさん、砂漠で迷子です。食料は節約して明日の朝食べましょう。」

keiさんはショボーンとしています。

「昼間でも方向が分かったことですし、夜明け前に少し寝ておきましょう。日中はとても寝ていられる気温ではありません。」




バコっ!

何かがkeiの背中にぶつかったのね。

なんだか眩しい。

もう昼間になってますねぇ。

昨夜は風もなかったので、シュラフを開いて星を眺めながら寝ました。

バコっ!

「ほら起きろ!」

誰々 、この乱暴な声の人!

「 keiさん、この人達の言うこと聞いて!」

なになに?

何が起きてるの?

「お前も手を後ろに回せ!」

keiっしばられてる。

「この人達は一体何なの?」

「盗賊よ!」

イリーは軽蔑するように言い捨てました!

「俺たちは盗賊じゃねー!」

乱暴な声の人が怒ってます。

「砂漠で休んでいた旅行者を、いきなり縛り上げるなんて!盗賊以外の何なの?」

イリーも怒鳴ってる!

「車を使わずラバで砂漠横断、こんなところで野営をしていて、お前らは何者だ。人目を忍んでるとしか言いようがない。あやしいだろ!」

たしかに!

「ラバで砂漠横断するツアーで、私はガイド彼は旅行者よ。」

「わざわざこんな危ない場所で、野宿までしてツアーをしなくてもいいだろう。」

まさしく!

なんか、イリーのウソがバレちゃったっぽい。

「立て、いくぞ。ほら男、さっさと乗れ!」

イリーは縛られた手をうまく使って、ラバにヒョイとまたがっています。

keiにはムリムリ(;''∀'')

「おい、誰か手伝ってやれ。」

やっぱり乱暴そうなお兄さんが、とても親切に足を支えお尻を持ち上げてくれた。

「ところで盗賊じゃない盗賊のおじさん!」

なんて呼んだらいいか、ちょっと困った(-。-;

「だから、俺たちは盗賊じゃないと言ってるだろう。」

よっぽど盗賊と言われるのが嫌みたい。

「じゃあ盗賊じゃないけど盗賊みたいなおじさん、 1つお願いがあるんですが...」

盗賊と言われても、怒る気もなくしたみたいです。

「大使館に連絡したいとか言い出しても無理だからな!ここは砂漠の真ん中だ。」

へー、こう言う時って大使館に助けを求めるらしいです。

んっ!

「いえ、せっかくなのでkeiはラクダに乗りたいんですが...」

盗賊じゃない盗賊さんたちはみんなラクダに乗っています

「盗賊じゃないおじさん、それぐらいお願い聞いてくれてもいいじゃないですか?」

さっきラバに乗るときに手伝ってくれたお兄さんが、おじさんに小声で話しかけてます。

「あいつら本当に旅行者なんじゃないですか?よく見るとあの男東洋人ですぜ!」

チラリとkeiを見た。

「その東洋人があんなに上手にザウラクの言葉をしゃべれるか、怪しいだろ!」

たしかにあやしい!keiもそう思います。

「やっぱ、おかしいですね。」

お兄さんも納得のご様子。

「おい誰か、ラクダを降りてあの男を乗せてやれ!」

イリーはラクダにの乗ろうとしているkeiの隣までやってきました。

「気をつけてください。大きいから振り落とされてますよ。」

お兄さんがラクダの首を叩いて、ラクダの姿勢を低くしてくれたよ。

蔵にまたがり縛られた手で、蔵のフックを握りしめました

「keiさん気をつけて、立ち上がる時に反動が来ますから!」

ラクダ、おとなしそうだし大丈夫だと思う。

ぎゃー。

「ほらっ!」

「落ちるかと思った!」

でも、すごい視線が高い。ラバに乗ったイリーは足元にいるように見える。

「あたしはラバの方がいいなぁ。体が小さいから揺れないし、かわいいじゃない。」

ああイリーったら、今っ確実にラクダに睨まれたw

ラクダたちが動き始めました。

さっきのおじさんはラクダの紐を弾いてくれるのかと思ったら、後ろの蔵のない荷物を積んだラクダに乗ってしまいました。

ちょっと心配なんですが...

紐で前のラクダと繋がれています。

大丈夫なのかなぁ。

怖そうなおじさんたちは、ずっとkeiとイリーを見張っています。

でも、ちゃんと希望どおりにラクダに乗せてくれたんだから、悪い人でもないとおもおー?

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