第6話 そしてまた砂漠へ
ユラユラ歩く
だらだら歩く
前のめりに歩く
もっとシャッキと出来ないものですかね!
早くダメ魔法使い研修が終わらないかと、願ってしまいます。
「ほらkeiさんどこにいっちゃうんですか?」
みんなから離れていきます。
もう、keiさんはダラダラダラダラと歩いています。
「後ろ向きに歩くと楽だと思ったんだけどなぁ。」
「イリーさんからも何か言ってあげてください!」
ふふふふって、イリーさんは笑ってるし。
火星の時と同じく両手をだらりと落とし、ホントだらしなく歩いています。
さめです。
keiさんは疲労困憊中、冒険の記録を残せるような状態ではありません。
「ああっお水なくなった。」
keiさんは水筒から最後の一滴を舌の上に落としたかと思うと、うなだれています。
「後先考えず飲んじゃうからですよ!」
keiさんは、欲すること率直と言ってください。なんて言ってたけど、自制心がないだけです!
「さめさん、水ならまだありますから心配いりません。」
ジェイクさんの大きなザックには、まだまだ水がしまってあるようです。
keiさんように(-。-;
「とりあえず、私の水筒の水をどうぞ!」
keiさんはイリーさんから水筒受け取りニコニコしています。
たぶん、間接キスだなんて思ってるんですよ。
ペシっ。
keiさんに叩かれました。
こんな時ばかり感が良いkeiさんです!
街に着いたころは十分に暗くなってました。
酒場の2階に部屋を取りました。
ジェイクさんは携帯用の食料を食べると、街の様子を見に行きました。
さめ達3人は一階の酒場にご飯を食べに降ります。
さっそくkeiさんは飲み始める(-。-;
「異世界転生のアニメみたいな酒場!こう言うお店のシーンっよくありますよね。」
出かけたばかりのジェイクさんが、慌てた様子で戻ってきました。
「なにやら組織の奴らに見貼られているようです。」
少しだけ息を切らし、指の間に血が滲んでいます。
一戦交えた様子です。
「えっ私たちの行動は、ごく1部の人しか知らないはずですよね。」
イリーさんは不思議そうです。
「誰かにつけられている様子もなかったんですが、でっkeiさんはどこに行ったんですか?早急に行動した方が良さそうです。」
ジェイクさんは落ち着かない様子です。
「そういえばkeiさんはどこ行ったのかしら?さめさん知りませんか?」
イリーさんはお肉の串焼きとサラダを食べながら、コークハイを何杯か飲んでいました。
「多分、あそこでウイスキーバトルしてるの、keiさんじゃないですか?」
さめはkeiさんの使い魔なんで、keiさんの気配はすぐに解ります。
お店の真ん中の丸テーブルで、大きな男の人とウイスキーバトルをしています。
「おい小僧、立ってみろ!もう酔いが回ってきてるだろう。」
「あのー、kei小僧じゃないですけれど。本当におじさんに勝てたら、あそこのウイスキー樽をくれるんでしょうね。」
keiさんは立ち上がると、小さな樽のウイスキーを指差しましていました。
「ああっ、でも俺が勝ったら今日の飲み代はお前が払うんだぞ!」
クビっクビっ。
「お前さん、この辺のもんじゃないよな。」
おじさんはkeiさんのことを観察しています。
「はい、東の方からやってきました。謎の東洋人と呼んでください。」
なんですか?
その"謎の東洋人"って(-。-;
「東洋人、こんな田舎町に何のようだい。」
keiさんっ余計なことを喋らないと良いのですが?
「砂漠を歩いていてたどり着きました。」
「砂漠で迷ったりしたのかい?」
正解です!
「そうなの、街の光が見えたので助かった!」
「観光客がやたらと砂漠に出るもんじゃない。」
そうなんです。
GPSと地図を使って歩いていたのに、どうしても街にたどり着けなかったのです。
日が暮れてあたりが暗くなり始めると、ぼんやり街の光だ見えてきました。
この街には大きな建物がないので、流砂の山に阻まれて、見つけることができませんでした。
「観光ではありません。冒険者と呼んでください!」
グビグビっ
「 keiさん、出発しますよ!」
さめが呼びかけると"えー"って嫌な顔してます。
「おじさんとウイスキーの飲み比べをしてるんですが、今夜はお泊まりでしょう??」
「 keiさん予定が変わったんです。」
ジェイクさんはしゃがみこみ、keiさんに小声で伝えました。
「何ごちゃごちゃやってんだ早く飲め!」
「はーい、クビっ!」
「 keiさん、急いでください。」
ジェイクさんは詰めよります
「組織につけられてるようなんです。お酒をたくさん飲んでは動けなくなります。」
keiさんの耳元に手を当てて、ヒソヒソと話しています。
「また歩くの?」
keiさんはきょとんとしてます。
「とりあえずお酒はやめましょう。早くkeiさんもご飯を食べてください。」
イリーさんもやって、keiさんを急かしています。
やっと、keiさんは席を立ちました。
隣の席に座っていた大きな男の人が、席を立ってkeiさんに怒鳴りつけました。
「おいおい途中で逃げ出すのか?タダの勝負じゃない、金をかけてるんだ!」
「 keiさんそうなんですか?」
ジェイクさん、困り顔。
「 keiは知らないよ。」
「じゃあ、席に戻ってご飯にしましょう。」
keiさんを連れて行こうとすると、大きな人がジェイクさんの胸元をつかみました!
マズイ雰囲気です。
「おい怪我をしたくなかったら引っ込んでろ!」
ちょっとさめは緊張してきました。
でも、ジェイクさんは期待通り全然だいじょぶです。
胸元をつかむ大きな人の太い腕を、掴み返すとしばらくにらみ合いが続きます。
胸元をつかんでいた男の人の指が震えながら解けていきます。
きっとすごい握力で腕を掴んでいるんだと思います。
そして手が胸元から離れると、ジェイクさんは男の人の腕をつかんだまま、元の席に押し付け座らせてしまったんです。
さすが傭兵部隊さんです。
凄い怪力!
「揉め事は好かねえ、酒を落ち着いて飲めやしねぇ。俺はこのお兄ちゃんと勝負をしてただけだ。賭けを始めたのはお前らの勝手だろう!」
おじさんは集まってきたみんなを見て回しながら「引き分けっていうことでいいだろう。」となだめました。
みんなはちらりとジェイクさんを見て渋々と席に戻っていきます。
「兄ちゃん。これからバトルする時は、立ってみろ!と言われても立ったらダメだぞ!」
「なんで?」
「酒がまわるんだよ。」
「わあ、おじさんずるい!」
ジェイクさんがおじさんに深々とお辞儀していました。
「ご飯を食べてないのはkeiさんだけですよ。早く早く!」
「おう!ことを収めてやったんだ。兄ちゃんが飯食ってる間、姉ちゃん酌で酒を飲みたいな。」
ジェイクさんが断ろうとすると、イリーさんが手で制止しました。
「大丈夫ですよ。」とちらりとジェイクさんを見て笑っています。
「仕方がない、 keiさん早くご飯を食べてください。」
ジェイクさんは少々不機嫌です。
「 keiさん、いったいどのくらい飲んだんですか?」
心配なのでkeiさんに聞いてみました。
「あのちっちゃなグラスで7杯飲んだかなぁ。」
「ショットグラスで7杯だと200 mlぐらいなりますね。まぁkeiさんなら大丈夫でしょう。」
keiさんは串焼きのようなお肉をほおばりながらお酒を注文してます。
「もうダメです!」
ジェイクさんの厳しい言葉が…
「さめ、お豆のスープ飲んでもいいよ。
「こら!」
さめも少し厳しく接することにしました。
「ああっジェイクさん、イリーさんまでお酒飲んでますよ。」
おじさんに勧められて飲み始めちゃったんだね。
いや、自分から飲んだかも(~_~;)
ジェイクさんは大きな手で顔を覆って、困っています。
「 keiさん、おまめのスープをちゃんと飲みましたか?」
「飲んだ!」
「イリーさんまでお酒を飲んでるし、早く出発しますよ!」
「ラジャ!」
ジェイクさんはイリーさんを呼びに行きます。
ジェイクさんがおじさんにお金を払おうとしているけれども、おじさんは受け取ろうとしない様子です。
ちょっぴり陽気になったイリーさんが戻ってきました。
部屋に戻って荷物をまとめて出発です。
「keiさん、おじさんと何杯飲んの?」
「7杯飲んだよ、イリーは?
「あたしはコーラで割って5杯飲んだかな。あのおじさんは合計で12杯飲んでるんだね。」
もう、イリーさんまで…
「でも、あのおじさんはその前から飲んでたよ。」
「イリア姫、5杯も飲んだんですか!あっ申し訳ありません。イリアさん。」
ジェイクさんは"姫"と怒鳴ってしまい、すぐに謝った。でも、すごい怒っています。
keiさんもイリーさんも先々のことを、まったく考えていないようです(-。-;
この先にどんな冒険が始まるんでしょうか?
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