第5話 砂漠へ

「ほらっ雲もないのに天頂環アークができてるよ。」

keiはこんな気象現象が大好きなんでっす(^o^)/

「砂漠にも天頂環アークができるんですか?」

さめは不思議そう。あれって水蒸気だから、水のない砂漠に不思議だよね。

「私は初めて見ました。変わった形の虹ですね。」

今は道路から外れて本当の砂漠を走ってます。

朝日に向かって門を出てから1時間くらい、東に向かって走ってるってことになりますよ。

内陸に行くなら南に走らないといけないじゃないのかなぁ。とkeiは思うのです。

「ねぇねぇ日の出の方向に向かって走ってるって事は、東に向かってませんか?」

「 keiさん楽しみにしててくださいね。もうすぐスペクタクルな冒険が始まりますから…。」イリーったら、意味深!

一大事だと言うのに、イリーなんだか楽しそうです。

「 keiさん、大丈夫かなぁ。」

さめは心配そうにkeiのことを見ています。

どんな作戦をたてたの?

寝ぼけていたので、聞かされてません!

一体何が始まるんだろう?

大きなイカが砂漠で大暴れ、ファンタジー映画にありそうです大サソリとか(^^)v

「アルク街までの最短距離まで、もう少しです。」

ジェイクさんはパソコンのなかの地図を見つめています。

「そうだ今のうちに朝ごはんを済ませておきましょう。」

そういうとイリーは後の荷台から、ピクニックのバックを取り出しました。

あっホットサンドo(^^o)

イリーは1箱ずつ配ってるんだけど、結構な量です。

半分に切られたホットサンドが5個入ってます。

8切り食パン5枚分です

フードコンテナに入ったコーンポタージュももらいました。

「さめくんは私のを一緒に食べましょう。」

「わーおいしい。このチーズすごい香りがして濃厚ですねぇ。」

最初に食べたのはいっぱいレタスにハムにチーズ、 keiがよく作るやつです。

チーズがスゴク香りも味も濃いの。

ハムもちょうど良い塩加減で、ふくよかな味わいです。

次のは薄くスライスした照り焼きチキンみたいなの入ってる。

「イリーのお家がピクニックに出かけるときは、いつもこんなおいしいお弁当持っていくんだね。」

「ピクニックに出かける時ぐらいは私が作りますよ。」

教わりながら作るんだろうな。と想像した。

「シェフは私たちの食事はもちろん、来賓の方々の献立作りなど、調理計画に忙しいみたいです。様々な国から色々な人が来るので、献立も多種多様なんですよ。」

あっそういえば、これkei用に和風照り焼きチキンなんだ(¨O¨;)

「この後、宿に着くまではゆっくり食べられる場所はありません。今のうちにたくさん食べておいてくださいね。」

まぁ…。

このあとゆっくり食べられる場所がないのですかぁ(-。-;

砂漠を走る四輪駆動車の中も、ゆっくりな場所ではないと思うのですが!

でも、車中ご飯は道の駅の旅ドライブみたいで楽しいです。

「そうだっ!ご飯を食べ終わったらkeiが運転してみたい。」

ええっ!

運転しているエルウッドさんが困った顔してますよ。

「じゃあ、いいです(フン!)」

ナビしていたジェイクさんが振り向き説明してくれました。

「彼に任せてください。ただまっすぐ走っているようで、砂漠にはたくさんの障害物が隠れているんです。」

確かにサファリラリーの映像で見た事ある。

車が砂でできた砂丘の尾根を飛び抜けて、バンパーから落っこちた。その車は砂に突き刺さってました。

砂の中に埋まった岩にぶつかってる車もあったよ。

当然、砂でスタックしてたり…

やっぱり、keiは無理かなー(^_^;)

残念!

「あまり、ゆっくりと食べていられませんよ。もうすぐ目的地に着きます。」

ジェイクさんは目的地と言っているけど、なんにもみえないのです?

「あの砂の尾根沿いに車を走らせますから、西側から見えない裏側降ります。」

降りましょう?

こんなところで?

砂漠の真ん中です…

「ほら、keiさんどんどん食べて!さめが食べてあげましょうか。」

「じゃぁ、1つはさめにあげる。」

急いで食べると逆流性食道炎でお腹がぐるびくなりそうだよ。

「イリアさん、私の荷物を取ってもらえますか。私が最初に飛び降ります。」

飛び降りる?

イリーはジェイクさんの大きなリュックサックを渡してあげてました。

あまりに重いのでkeiも手伝った。

「じゃあ、これがkeiさんの荷物!」

イリーがkeiの荷物も取ってくれた。

「ちょっと待って。スープを全部飲み終わってない。」

イリーも自分のザックを後ろから取り出していました。

「あらっ、イリーの方がおっきい荷物ですね?」

「砂漠になれないkeiさんに、重たい荷物はつらいでしょ。」

砂漠なら火星で経験済みなんですが…

しかも地球重力で!

「じゃあkeiさん、良いですか!鼻のあたりまでマントを被ります。腕のマントは両腕で合わせて顔をふさぎ、手で頭を抱えてくださいね。」

えっ走っている車から飛び降りるの?

イリーは普段と変わらず当たり前に説明してますよ。

「飛び降りたら、胎児のように丸くなって、砂漠の上を転がってください。」

やっぱり飛び降りるんです!

「そうそう、頭を打ったり首をひねったりしないように、顎を弾いて、しかっり頭を押さえいくださいね!」

ええっ!

「走ってる車から、飛び降りるの!」

ジェイクさんはkeiを見てニコリとして、事情を説明してくれました(・_・;

「組織に後を付けられ、見貼られているかも知れないのです。降りたことがバレないように車を止められないんですよ。」

よく解りましたが…

「 keiさん、イリアさん、行きますよ!」

えー本当に飛び降りるんですか~

ジェイクさんはハツラツとした笑顔です。

「 keiさん!冒険の始まりです♪」

そして、親指を立ててグッドのサインです。

イリーもニコニコしてる…

「keiさんを怖がらないように気を使ってくれてるんですよ。」

さめの言うとおりかも、でも怖いものは怖い!

ジェイクさんはドアを開けると、大きなリュックサックを落としました。

そして、飛び降りちゃいました!

「さぁkeiさん、勇気を出して!」

ドアに立ち外を見るとと、そんなにスピードは出てないみたい。

「 keiさん。硬めの圧雪バーンで転倒するのと、おんなじですよ。」

偉そうにさめったら、スノーボードしたことないくせに!

「ほらkeiさん、ザックを投げたら、ぴょんて飛び出してばいんですよ。」

ぽいっ!

ザックはコロコロ転がってる

「さて、keiさん。」

ぴょん!

ぴょん!

「口で言っても仕様がないでしょう!」 

さめはイリーのお腹のウェストバックで、スポンジに包まれています。

「じゃあ、いちにのさん!で行きますよ。

いち!

に~の!

ポン!


ぎゃ~ーー

ゴロゴロゴロゴロゴロゴロ

後から押された!

でも、スピードは出てなかったみたい。

「 keiさん大丈夫だった!」

「いまイリー後から押したでしょう(-。-;」

「ごめんなさい。車が揺れたもんだからぶつかっちゃた。」

絶対ウソ!

「 keiさん、イリアさん、大丈夫でしたか?」

ジェイクさんも大きな荷物を抱えて走ってきた。

「この砂丘をもう少し下ってから、身を隠しましょう。」

身を隠すと言ってもね。

ジェイクさんはゴザのようなものを3枚広げて、スコップで砂をかけています。

その中に1人ずつ入るらしい

「この中で身を隠していましょう。」

「私たちはたぶんつけられているんです。こうやって身を隠して、あの車はオトリになります。車が向かうこの先の街には私の従姉妹が住んでます。私の身代わりになってもらう予定です。」

ござの中はやっぱり暑い!

「どのくらいこの中にいるの?」

「 1時間も入っていればいいでしょう。」

ジェイクさんの声が聞こえたよ。

「 1時間もこんなところ入ってるの?」

退屈だし、寝ちゃおうかなぁ…

「 keiさん起こしますから寝てていいですよ。」

寝ようと思うと眠れない病。

てか、とにかく暑い!

暑さを忘れられるような楽しいことないかなぁ。

イリー、衛星WiFi持ってきたかな?

「スマホでゲームしててもいいかなぁ。衛星携帯をつけて!」

「はーい!」

衛星携帯て便利だよね。

「だめです。keiさん!」

ああっ、さめがいつの間にかkeiのポッケに入ってる。

「こんなところで電波を出したら、組織に見つかっちゃいます。それにスマホは必要な時以外は使っちゃいけません。ネットにつなげなくてもゲームとかだめです。」

大切な時に使えるように、節電ってことですよ。

「カリカリぐるぐる充電器持ってきたよ。」

「それでもダメです!」

あああ退屈だなぁ~


ああっ!

keiっいいこと考えた。

「イリー、しりとりしよう!」

「楽しいかもしれませんね。賛成!」

keiは日本人なので。えっへん(^^)v

「じゃあイリーから、しりとりで初めていいよ。」

「しりとり」

「りんご」

「ゴマすり」

「リス」

「推理」

「リイリイリイ、リクエスト

「とっくり」

「ん-利己主義」

「祇園祭」

「なんかイリーずるい!"り"ばっかり」

「変ですねぇ。 keiさんの番ですよ。」

「リンク」

「曇り」

「りばっかり」

「リハビリ」

「もう―そうじゃなくて!」

イリーったら最後は「り」になる言葉ばっかりが出てきます。

外国人なのに!

「イリーなんかインチキしてるでしょう。」

「してませんよ。はい、keiさんの番。」

「陸卵(りくたまご)」

「ゴキブリ」

「あっ、ちょっと待ってイリーさん。keiさんはインチキしてます。陸卵なんていう言葉はありません。」

「ちゃんとありますー!調べてみなよ。でもスマホ使えないんだっけw」

「絶対にありません!」

イリーに勝てない!

「しりとりなんてしなければよかった。全然つまらないね(-_-;)」

「面白いじゃないですか。」

イリーは楽しそうです。絶対負けませんオーラが伝わってくる(-。-;

「りばっかりで、全然つまんない。」

イリーったら意地悪そうにクスクス笑ってるのが聞こえてきた。

「イリーさん、日本語を勉強する時に、誰かとしりとりなんてしたんじゃないですか?」

たしかにサメの言うとおり!

「ええ、たくさんしましたよ。良く卓球をしながら、しりとりしました。中学生なる頃には私に勝てる人は誰もいませんでした。

やっぱり!

「イリーさん、猛者ですね!」

「他の語尾でもできるんですよw」

わーやっぱりずるい(-_-;)

「しりとりなんてつまんない!」

「 keiさんがしりとりをしよう!って言ったんですよ。」


「もういい頃でしょう、そろそろ出かけましょう。」

ジェイクさんの声がするとkeiのゴザを剥がしてくれた。

「誰も迎えが来ないようですが...」

イリーがマントを直してくれた。

「keiさん、ここからは歩いて行くんです。」

えええええええっ歩いてく(・・;)

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