58、名探偵の魂

「この服を着ていると、端末の操作効率が高まる気がします」


 相変わらず名探偵の格好をしたままの彼女がそう言った。


「変わらなさそうだけど……」


「きっと、名探偵の所作をトレースすることによって効率化が図れるんです」


「本当は君が直接アーカイブに接続すれば一発なんだけどな」


 彼女は端末を操作する喜びで、僕の小言なんか耳に入っていないようだ。


「もう450年遡れましたよ」


「え? 早いな?!」


 彼女が得意げに僕を見た。


「えへへ」


「何か出来事に関する情報はあった?」


≪パンゲア≫で起こった出来事に対して、人々が反応を示したのなら、それがアーカイブに残っているはずで、そういったものは僕たちでもアクセスすることができる。


「ダメですね。自動報告レポートしかまだ見てないです」


「ということは、少なくとも、≪ゲラシオン・パーク≫の出来事は450年以上前に起こったということか……」

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