57、カタカタピコピコ

≪ゲラシオン・パーク≫で起こったことを知りたいというマルと共に、まずは僕たちがアクセスできる範囲でアーカイブには何が記録されているのかを見ていくことにした。


 彼女がボーっと座っている。


 ≪パンゲア≫の端末からアーカイブに接続できるのだが、彼女にはそもそもアーカイブに繋がる機能があるので、わざわざ端末を使う必要がない。


「エルさん、忙しそうです」


 気づけば、彼女が僕の端末画面に見入っていた。


「ああ、ごめん。僕は調べるの遅いからさ。君の方では何か分かった?」


 彼女はうーん、と首を捻った。


「どうしたの?」


「マルもカタカタピコピコ、したいです」


「端末使いたいの? 君にとっては効率悪いと思うよ」


「マルも端末使っていいですか?」


「いいけど……」


 彼女の顔がパッと明るくなる。そして、近くにある端末を確保しに走り出した。


 調査の時間が大幅に伸びそうだ……と思うと同時に、彼女が効率性を捨てていることに驚きを感じていた。

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